( 145396 )  2024/03/03 23:15:09  
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女子校におけるトランスジェンダー生徒の受け入れについて、女子校出身者からは慎重な意見が出ている。

一部の私立女子中学校・高校がトランスジェンダーを受け入れる方針を検討している中、女子校の特性や伝統を重んじる声もある。

共学校が性的マイノリティに適切に対応する方が適切と考える人もいる。

女子校出身者たちは、慎重な議論とヒアリングが重要だと強調している。

(要約)

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女子校のあり方も問い直される時代に(イメージ) 

 

 近年、ジェンダーの多様性に対する意識が高まるなか、2024年2月時点で首都圏と近畿圏にある一部の私立女子中学校・高校が、「戸籍上は男性だが、性自認は女性」であるトランスジェンダーの生徒受け入れを検討していることが報じられた。男女別の枠組みに変化を迫り、別学のあり方を問い直すものとして注目を集めているが、一方で女子校出身者たちからは、より慎重な検討を求める声も聞こえてくる──。 

 

 小学校から高校まで12年間都内にある私立女子校に通い、現在は美容医療業界で働く女性・Aさん(30代)は「受け入れについては慎重になってほしい」と訴える。 

 

「私は12年間女子校に通いましたが、なかには高校生から『男性』という性自認を持ったトランスジェンダーを公言する友人もいました。そのなかで、男性の性自認を持つ私の友人が“あえて体毛を剃らない”、“男っぽい言葉遣いをする”という振る舞いにも理解を示していたんです。 

 

 また、女子校の生徒には部活の先輩などに対して“憧れ”か、“恋心”か、あるいは“性欲”かわからない感情を抱く経験をする人は珍しくありません。第二次性徴を迎える自分のカラダにも向き合っていく不安定な時期には、性自認や性愛の対象も不安定になりがちです。 

 

 時間をかけて育んだ友人関係のなかで、性の多様性を学んでいくことはよいですが、はなからトランスジェンダーを受け入れるという方針は、まだ未成熟な生徒たちに少なからぬ影響を与えると思うのです。受け入れについては、生徒へのヒアリングなども含め、もっと慎重な議論を重ねたうえで答えを出してほしいです」(Aさん) 

 

 祖母の代から都内の私立女子校に通っていた女性・Bさん(20代)は、今回の報道を目にして、「将来、娘を入学させられないかもしれない」と本音を語った。 

 

「私個人としては、学校側がトランスジェンダーを受け入れるのではなく、共学がトランスジェンダーを含む性的マイノリティに対して、より適切な対応を推進していくことが先決だと思います。私立である以上、生徒や保護者には『女子校で学び、そのことに学費を払う権利』があるわけで、それは戸籍上の女性だけの空間であることを前提にしています。 

 

 多様性を謳う社会に学校がどう対応していくか、『女性』の範囲を拡張するのではなく、従来どおりの『女性』の権利も大事にしてほしい。伝統的な価値観や校風を重んじ、“女子校”の意義を守るという判断は、決してマイノリティ差別には相当しないはずです」(Bさん) 

 

 Bさんは母校に子どもを入学させることが、夢のひとつだという。 

 

「私は祖母、母と同じ私立の中学・高校に通っていましたが、自分がいずれ娘を授かった際には母校に入学させたいと思っていました。でも、もし母校がこうしたトランスジェンダーの受け入れをするようになったら、別の学校を選んでしまうかもしれません。 

 

 それはトランスジェンダーの方がどうこうだからではなく、『私の知っている、いままでの母校とは違う』という理由からです。これほど大きな改革を進めていくのであれば、母校に思い入れのある卒業生たちの声もしっかりとヒアリングをしたうえで検討していただきたいです」(Bさん) 

 

 性的マイノリティの生きやすい社会に向けて、さまざまな領域で変化が求められている。「女子校」という存在のあり方もまた、こうした社会の風潮のなかで問い直されるときが来ているのかもしれない。いずれにしても、慎重な議論が必要だろう。 

 

 

 
 

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