( 145428 ) 2024/03/03 23:45:52 0 00 敦賀を出て北陸トンネルに入る下りの「サンダーバード」。敦賀止まりになれば、この姿を見ることはできない
北陸新幹線の金沢-敦賀(福井)間が3月16日に開業するのに伴い、関西、中部から北陸に向かう在来線特急「サンダーバード」「しらさぎ」が敦賀止まりになる。北陸3県を貫き、多くの優等列車が走った北陸線はかつて「特急銀座」と呼ばれたが、その看板を下ろすときがやってきた。
【写真】大阪から青森を目指した「白鳥」。特急銀座の花形だった=昭和51年
国鉄時代は米原(滋賀)から直江津(新潟)まで353・8キロで結んだ北陸線。北陸新幹線が金沢、今回の敦賀と延伸する度に並行在来線として、特急が存在しない第三セクター鉄道に移行。JRとして残るのは、大半が北陸でない滋賀県を走る米原-敦賀の45・9キロのみとなる。
北陸線初の特急は昭和36年10月に登場した「白鳥」。気動車のキハ82系の列車は大阪を出ると直江津で、北上する青森行きと長野方面に南下する上野行きに分かれて運転された。上野行きは、北陸新幹線が目指す、首都圏と関西圏を日本海沿いを通って結ぶルートを思わせる。
続いて39年12月には新型の特急型電車481系(485系)による「雷鳥」(大阪-富山)、「しらさぎ」(名古屋-富山)が登場。その後、北陸線は「特急銀座」となっていく。
「サンダーバード」の愛称がついた681系(683系)が本格導入されたのが平成7年4月。それから約1年後、8年5月の時刻表の北陸線ページを見ると「雷鳥グループ」は681系を使用した「スーパー雷鳥(サンダーバード)」、485系使用の「スーパー雷鳥」と無印の「雷鳥」とバラエティーに富んでいる。和倉温泉行きのほか、富山地方鉄道に乗り入れて立山、宇奈月温泉に向かう列車もあり、広いネットワークを誇っていた。
上越新幹線と長岡(新潟県長岡市)で接続した「かがやき」は北陸新幹線の最速列車の愛称に残る。青函トンネルで北海道を目指す寝台特急「日本海」「トワイライトエクスプレス」のほか、青森行きの「白鳥」も現役だった。さらに「加越」「北越」「きらめき」「白山」。約100本の特急が行き交った。
今回のダイヤ改正で北陸と東京は多くの区間で所要時間は短くなる。しかし、発駅を敦賀に限ると「しらさぎ」+東海道新幹線の方が早いケースがある。
東京行き最終の「かがやき」は敦賀を20時11分に出て東京には23時32分に到着するが、「かがやき」が出た4分後、名古屋行きの「しらさぎ」に乗り、米原から東海道新幹線「ひかり」を利用すると「かがやき」より26分早く、東京にたどり着ける。料金(通常時の指定席利用、企画キップなど適用せず)も1890円安い。名古屋で「のぞみ」に乗り換えれば、さらに早い。運転区間は短くなっても、60年前から走り続ける「しらさぎ」は重要な役割を担うことになる。(鮫島敬三)
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