( 145773 ) 2024/03/05 00:28:33 0 00 写真はイメージです
自分で商品のバーコードを探し、スキャン・会計・袋詰めまでしなくてはならないセルフレジ。便利だと思う人がいる一方で、店舗側のサービスダウンと感じている人もいるようです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、「昔は店員さんが袋詰めまでやってくれたのに……」とぼやく投稿が寄せられています。身近な場所のIT化には、どんな問題があるのでしょうか。意見をピックアップしてみました。
【図解】セミセルフレジでの万引きを防ぐには
「最近の世の中が生きにくいのは、私だけですか?」のタイトルで投稿してきたのは、「疲れます」さん。子育て中の40代主婦ですが、闘病中のため、今は仕事をしていません。入退院を繰り返していた数年間で、自宅近くにあったスーパーやドラッグストアが閉店し、これらの店舗は車で20分かかる大型ショッピングモールへと集約されました。ネットスーパーだと配達料などがかかるため、仕方なく、自分で運転してモールに行くことが多いそうです。
「疲れます」さんは一連の投稿の中で「そこは店舗があまりにも広く、病人には歩くのがしんどいです。セルフレジがほとんどで、自分で商品のバーコードを探して、かごに入れなければいけません。昔は店員さんがやってくれたのに……。店員さんも店舗に数人しかおらず、聞きたいことが聞けません。人がどんどん減って、何をするにもネットで登録、と言われ、とうとう病院でも『現金でなく、できればカードで払ってください』と言われて驚きました」と訴えます。
そして「疲れます」さんは、「皆さん、不満はないのでしょうか? 私には、昔に比べてどんどん悪くなっているように思えるのですが、単に私が病気だからですか?」と発言小町で問いかけました。
この投稿には、約340件のレス(反響)が寄せられ、びっくりマークも約3000回押されています。
病院でのクレジットカード払いについては、「カードにポイントも付くし、現金をおろす手間もなくなるのでむしろ喜ばしい」といった意見が目立ちますが、セルフレジについては、賛否が分かれました。
「最初は戸惑いましたが、慣れたらセルフレジの方が早い。(有人レジでは)並んだレジの係が実習生だったり、財布の小銭をノロノロかき回しているお客にイライラすることもなくなりましたし。近所のユニクロなんて、カゴに入れた商品をセンサーが一瞬で計算してくれてビックリです」(「なんだかねー」さん)
「自分でバーコードを探し、自分で袋に入れる、これが私には快感なんで、なんで苦痛なのかわかりません。ぜんぶ自分の裁量で取り仕切れるって、すごくいいことじゃないですか」(「母親世代」さん)
セルフレジの操作に慣れた人にとってはナンセンスな話なのかもしれません。しかし、負担を感じている人もいます。
「セルフレジ、私も嫌いです。使い方がお店によって違うので、必ず何かしらに引っかかります。それを店員さんに注視されているのも落ち着かないです」(「マゼンタ」さん)
「通常であれば大して手間に感じなくとも、疲れている時のセルフレジはやっぱり面倒」(「キツツキ」さん)
「コンビニやチェーンの小売店、クリニックでも支払いが機械になりました。近所のスーパーはバーコードの読み取りは店員ですが支払いは機械です。タッチパネルでポイントカードはあるのか、あればポイントは使うのか、支払いは現金かカードか、いくつも選ばされて、最後に機械にお金を投入。機種は店ごとに違って統一されてませんし、初めての店だと戸惑います」(「まりの」さん)
病気の後遺症で手足が不自由になった夫と暮らす「日向」さんは、「私の住む地域もここ3年で、徒歩で行ける中規模スーパーが全部閉店。車でショッピングモールまで行かないとカーディガン一つ買えません。セルフレジでは、二つ三つ程度しか購入しないなら夫でもやれますが、たくさん買う場合は思うように体が動かず、疲れると必ず言います」とコメントしています。
有人レジとセルフレジのどちらかを選べるスタイルならまだいいのでしょうが、購入する商品が多いときや、疲れているとき、体調の悪いときには、ちょっとしたことでもつらく感じられるのかもしれません。
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このトピでは、飲食店や郵便局などでイラッとしたというエピソードもありました。
「飲食店の注文がスマホからとかいうのは味気ないなあ。運んでくるのがネコロボットなのも……。子どもは喜ぶけど、なんかさみしいなあ」(「うめ」さん)
「スマホでしか注文できない飲食店は、行かなくなりました。小さい画面でメニューが見づらいし、どのページを見たら欲しい情報があるのか、わかりにくくて、注文するだけでイライラ」(「専業主婦よ」さん)
「海外在住の友人に頼まれてEMS(国際スピード郵便)小包を送りましたが、送り状からinvoice(物品の中味などを英文で説明する書類)までパソコンで自分で作成し、プリントアウトしなければなりません。郵便局員の仕事を私がしなければならず、猛烈に腹が立ちました」(「昭和が良い」さん)
「扱い方がわからず、面倒」などと愚痴を言いたくなったときはどうすればよいのでしょう。
「遠慮しない」と書いてきたのは、71歳で一人暮らしの「海賊の妻」さんです。
「昨年からガソリンスタンドはセルフしかなくなりました。元来不器用なのでカードを読ませて、カード払いを押して、スマホを当てがいなどとしているうちに時間切れに……。奥から知り合いの店員さんが出て来て『いいよ手伝うよ』と言ってくれます。助かります。ラーメンを食べたいと思っても『何かの間違いでラーメン10杯も出てきたらどうしよう。麺多めとか野菜多めとか、これでいいのか』と思うと呼び出しピンポンを押してしまいます。何でも分からないことは聞いたり、手伝ってもらいます。やりにくいけど、やるしかないです。私、頑張っています」
人手不足の続く日本では、これからもあらゆる分野でIT化が進み、戸惑うことが増えていくでしょう。わからないときは「教えてほしい」と声を出して、不満をためこまない。そんな気概を持って暮らしていくのも、一つの対策なのかもしれません。
(読売新聞メディア局 永原香代子)
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