( 146216 )  2024/03/06 13:16:32  
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在京メディアでは、次期首相争いについての世論調査が行われており、石破元幹事長がトップであることが多い。

しかし、筆者は世論調査だけでは表面的な情報に過ぎないと指摘し、高市経済安全保障担当相など、実力を持つ候補に注目すべきと述べている。

河野氏や小泉氏の人気も安定しているが、過去の総裁選挙での成績や支持率、派閥の影響など、詳細な分析が必要だとしている。

(要約)

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写真:gettyimages 

 

 昨年末あたりから、在京メディアでは「次の首相は誰が良い?」などと銘打った世論調査が相次いでいる。『週刊現代』(12/30・1/6号)がまとめた調査結果を見ていただこう。 

 

【ランキング】岸田総理は15位に転落…上位6名に「自民」、あの意外な議員の名前も 

 

 これ以降も、全国紙や在京テレビ局が同じような調査を実施しているが、自民党の石破元幹事長がダントツのトップで、小泉進次郎元環境相らが続くという傾向は、どれも似たようなものだ。 

 

 ただ、筆者は、世論調査というものは「スープの味見」程度のものだと思っている。表面をスプーンやおたまですくい、「全体もこんな味だろう」と判断するだけでは、お鍋の下のほうに何が沈殿していて、どんな味になっているかには気づきにくい。 

 

 世論調査だけを見れば、「ポスト岸田」の1番手は、従来どおり、石破氏となるが、筆者はそう考えていない。 

 

 ここからは、『週刊現代』の調査をもとに、橋下氏や野党のトップなど現実味が乏しい人を除き、個別に、会社の中の立ち位置に例えながら見ていくことにする。 

 

写真:gettyimages 

 

 『週刊現代』の調査で、7位にランクインした高市経済安全保障担当相。筆者は、「今度の総裁選挙では、憲政史上初となる女性宰相が誕生する可能性がある」と期待しながら取材しているが、そのうちの1人が高市氏である。 

 

 岸田首相は、9月に予定される自民党総裁選挙での再選出馬に向け、「支持率は下がっても意欲満々」(旧岸田派衆議院議員)とされるが、岸田首相が出る、出ないに関わらず、ほぼ間違いなく手を上げると見られるのが高市氏だ。 

 

 高市氏は2022年12月12日、防衛費増額で岸田首相が増税を打ち出した際、「知らされていない。戸惑った」と不満を漏らし、2024年1月16日には、能登半島地震の復旧を優先すべきだとして、大阪・関西万博の延期を進言している。 

 

 2021年9月28日に行われた自民党総裁選挙で高市氏を支持した議員は語る。 

 

 「経済安全保障は重要だけど、岸田内閣の中ではあまり目立ってないんだよね。高市さんとしては、岸田さんとは一線を画してますよとアピールしたかったんだろうね」(旧安倍派参議院議員) 

 

 その高市氏は、去年秋、「『日本のチカラ』研究会」という勉強会を立ち上げた。最初は、参加議員が10人程度だったのが、近頃は20人近くにまで増え、総裁選挙に出馬するために必要な「推薦人20人」にめどが立った。 

 

 この先、「保守派のジャンヌ・ダルク」として旧安倍派の残党を結集できれば、「ガラスの天井」を突き破る可能性もゼロではない。 

 

 その高市氏は、前回の総裁選挙で、岸田首相に次ぐ114票の国会議員票を得た。ただ、今回、安倍元首相の後押しはない。 

 

 その代わりに、政治資金パーティー裏金事件を受け、自民党内で派閥の解体が一気に進んだことで、旧二階派や茂木派など幅広く保守派議員の支持を得やすくなったことは追い風になるだろう。 

 

 

写真:gettyimages 

 

 どの世論調査を見ても、石破氏を筆頭に、「小石河連合」と呼ばれる小泉氏や河野氏の人気は堅調だ。 

 

 ただ、前回の総裁選挙で、河野氏は1回目の投票で国会議員票がわずか86票と、岸田首相の146票はおろか高市氏にも大差をつけられた。決選投票でも、47都道府県票では39票を得たものの、国会議員票で拡がりを欠き、総理総裁の椅子を逃している。 

 

 あれから約2年半、マイナカードのトラブルや健康保険証の今秋廃止で批判の矢面に立ってきた影響もあり、筆者が永田町で「河野氏待望論」を耳にすることはほとんどない。 

 

 出身派閥の麻生派は現存しているものの、麻生太郎副総裁が河野氏を推すとは考えられず、前回も推薦人に名を連ねた麻生派議員は3人に留まった。 

 

 国民からの支持は一定程度あるものの、党内で強い支持がない状況は今も変わらない。肝心の国民からも「?」をつけられてしまうと、「河野首相」の目はなくなる。 

 

 「災害時にはマイナカードを財布に入れて一緒に避難してください」 

 

 能登半島地震の被災地に向けて発したこの言葉(1月23日の閣議後会見)は、「また、言ってるよ」、「機械が流されたら使えないじゃん」と批判を呼んだ。このように、国民に良かれと思い語ったことが、逆効果になることが多いのが河野氏の難点だ。 

 

 皆さんの職場で言えば、「時代を先取りする敏腕部長だけど、経営陣や部下からの人望がなく、今以上の昇進は望めない」というタイプから脱皮できていない。 

 

 河野氏自身は、総裁選挙への出馬について、「しっかりと自分のやるべき仕事(閣僚としての仕事)をやっていきたい」と述べているが、支持議員がかぶる石破氏が出馬すれば、今回は支援する側に回ると推測している。 

 

 それは、一度、「中身の薄さ」が指摘され人気に陰りが見えながら、無派閥であるがゆえに注目度を取り戻しつつあるランキング2位の小泉氏にも当てはまる。 

 

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 つづく<【ランキング】次の首相になってほしい政治家「TOP20」…岸田総理は「15位」に転落、ダークホース、圧倒的人気の「意外な名前」も大公開! >では、小池百合子東京都知事の出馬の可能性や、石破茂の党内での評価も交え、「ダークホース」と言われる顔ぶれなども予測する。 

 

清水 克彦(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師) 

 

 

 
 

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