( 146703 )  2024/03/07 15:14:44  
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 【チャールストン(米サウスカロライナ州)=淵上隆悠】米大統領選の共和党指名候補争いでニッキー・ヘイリー元国連大使(52)が6日、撤退を表明した。「スーパーチューズデー」で1勝14敗と大敗し、ドナルド・トランプ前大統領の岩盤支持層を崩すことはできなかった。 

 

【図表】トランプ、ヘイリー両氏の各州における得票率 

 

6日、米サウスカロライナ州で、撤退を表明するため会場に入るヘイリー氏=ロイター 

 

 ヘイリー氏は6日朝、地元サウスカロライナ州のチャールストンで記者団の前に姿を見せた。「私は米国中から寄せられた支持に感謝の気持ちでいっぱいだ。しかし、選挙戦を中断する時が来た」と淡々と語り、撤退を表明した。 

 

 指名が確実となったトランプ氏への支持は明言しなかった。「トランプ氏を支持しなかった有権者の票を党派を超えて得られるかどうかは、トランプ氏次第だ」と強調した。「良い政治とは人々を呼び込むもので、遠ざけることではない。今はトランプ氏が選択する時だ」と述べ、トランプ氏に変化を促した。 

 

 ヘイリー氏はインド系の移民2世で、サウスカロライナ州知事を経て、トランプ政権では国連大使を務めた。外交政策に明るく、指名争いでは孤立主義的な主張のトランプ氏と一線を画してウクライナ支援の継続を訴え、ロシアのプーチン大統領を称賛するトランプ氏を厳しく批判した。 

 

 保守派が重視する人工妊娠中絶問題で全国的な禁止を求めない考えを示し、穏健な政策を訴えた。「無党派」の有権者も投票できた1月のニューハンプシャー州予備選で43・2%を得票し、トランプ氏も民主党のバイデン大統領も支持しない層の受け皿となることを狙った。 

 

 ヘイリー氏は「トランプ氏には混沌(こんとん)がつきまとう」と各地での集会で訴え、トランプ氏が米連邦議会占拠事件など四つの事件で起訴されていることを批判した。トランプ氏と支持者からは激しい反発を受けていた。 

 

 【チャールストン=淵上隆悠】米大統領選の指名候補争いでは、共和党内でのトランプ前大統領の影響力が改めて示された。2020年大統領選での敗北を認めないといったトランプ氏と支持者の主張が党内に浸透し、穏健派との亀裂が深まっている。 

 

 

 トランプ氏は5日、フロリダ州での演説で「政治家が司法を武器化して政敵に向けている。この国ではこれまでなかったことだ」と述べた。21年の米連邦議会占拠事件など四つの事件で起訴されたことについて、バイデン大統領ら民主党が政治的な思惑で行っているとの主張だ。 

 

 こうした考え方は、支持者に浸透している。複数の米メディアが米調査会社エジソン・リサーチの協力を得て行った出口調査では、共和党のノースカロライナ州予備選に投票した人の65%が、トランプ氏が有罪になっても大統領になる資格が「ある」と答えた。 

 

 一方で、5日のスーパーチューズデーでは、トランプ氏に批判的な共和党支持者が一定程度いる実態も明らかとなった。AP通信によると、バージニア州ではヘイリー氏の得票率が30%を超え、首都ワシントン近郊のフェアファックス郡ではヘイリー氏がトランプ氏の得票を上回った。 

 

 

 
 

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