( 147258 ) 2024/03/09 00:33:16 0 00 PTAは学校の先生と一緒に子どもの学校生活をサポートする団体(写真はイメージ)【写真:写真AC】
子どもが小学校入学と同時に加入することが多いPTA。共働き世帯が過半数を占める現代、子どもを取り巻く環境も変わり、PTAのあり方が問われることが多くなりました。SNS上ではPTAにまつわるトラブルなどネガティブな情報が話題になることもあり、実際に運営自体が難しくなっているケースもあるようです。そこで今回、PTAに関するアンケートを実施。見えてきた保護者の本音とPTAの現状について、PTAの専用支援サービスを展開している「PTA'S(ピータス)」代表の増島佐和子さんにお話を伺いました。
【画像】PTAがあって良かったこと、嫌だったことはある? 2000人の本音は…
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アンケートは2024年2月19日に、全国の10代から60代以上のYahoo!JAPANユーザーの男女2000人を対象に実施されました。(回答者の年齢構成:10代1%、20代4%、30代12%、40代28%、50代34%、60代以上19%、年齢を教えたくない2%)
PTA加入の現状は「入っていない」人が半数を超える【画像:Hint-Pot編集部】
まず、PTA加入の現状を確認するために、「今、PTAに入っていますか?(もしくは過去にPTAに入っていましたか?)」と質問。すると、「入っていない(入っていなかった)」との回答が58%と半数を超え、6割近い結果になりました。
その理由については「もともと入るつもりはない(なかった)」(32%)、「必要ないと思う」(21%)、「加入は任意だった」(18%)という意見が多数。対して、「入っている(入っていた)」理由では「なんとなく入るもの」(37%)、「周りが入っている(入っていた)」(34%)、「必要だと思う」(16%)という声が多く見受けられました。
PTAがあったことで「嫌だったことがある」は4割【画像:Hint-Pot編集部】
次に「PTAがあったことで嫌だった体験の有無」について問うと、「ある」が43%に対して、「ない」が57%と「ある」を上回っていました。嫌だったことが「ある」と回答した人の意見としては「仕事も休まないといけない」「家族との時間が持てない」など、使える時間と作業量のバランスにストレスを感じたようです。また「ボス系親の存在」「意見が対立し仲が良かった人とギスギスした関係になってしまった」など、人間関係で嫌な思いをしたケースも。
一方で「PTAがあったことで良かった体験の有無」も聞いたところ、「ある」が32%でした。具体的には、「先生と会話をする機会が増えた」「ネットワークが広がった」など多くの人と関わりを持てたこと、情報や体験を多く得られたことが挙げられています。
PTAが「必要」だと考える人は2割【画像:Hint-Pot編集部】
そこで、PTAの必要性について、その理由とともに質問。「必要だと思う」との回答が20%の少数に留まった一方、「必要ないと思う」が40%に。特徴的だったのは「どちらとも言えない」も40%となり、「必要ない」に並んだ結果になりました。
具体的な理由としては、必要派は「子どもの教育には親同士の協力が必要」「横と縦のつながりは大事」「学校だけではまかない切れない部分は確かにある」など、学校以外の部分で子どものサポートが必要だという声が。一方で「必要ない」派は「ただただ面倒くさい存在になってしまっている」「ほとんどの人が無理やりやらされている感じ」「やらない人がいて不公平」「揉める原因」など、存在や役割を疑問に思う理由が多くみられました。
「どちらとも言えない」派の理由は、「なくても良いが先生に負担がかかりそう」「学校の補助としての機能は認めますが、共働き家庭が大半になった現在、工夫が必要と思う」「共働き家庭が当たり前の時代に保護者の負担が大きすぎるので、外部委託でまかなえるならそうしてほしい」など。時代の流れに合ったPTA改革の必要性を指摘する意見が目立ちました。
実際に、これからのPTAはどうあるべきなのでしょうか。アンケートの結果を受けてPTA業務のアウトソーシングをサポートする「PTA'S(ピータス)」代表の増島佐和子さんに、現状や対策について伺いました。
――PTAとは、本来どんな役割を持って存在している団体なのでしょうか。
「そもそもPTAとはParent Teacher Associationの略で、保護者と教師が協力して学校運営に携わり、子どもにより良い教育環境を整えるために立ち上がった、社会教育関係団体のひとつです。加入義務を明示した法律もありませんので、加入は任意。保護者の自由意志が尊重されることが大前提となっています」
――共働き世帯が半数を超え、PTAで嫌だと思うことに「やることが多くてとにかく大変」など、時間と作業量のバランスを挙げる声もありました。実際にどのようなご相談が多いですか。
「相談は、保護者の方よりも、PTAの役員の方が多く、みなさん悩まれています。共働き世帯の増加や介護など、時代とともにPTAに十分に時間を割けないご家庭が増えています。できるだけ保護者の負担を軽減することで、無理のない組織運営をお考えのようです。そこで、各種ツールを使った作業効率化やアウトソースのサービス活用など、負担軽減のアドバイスをさせていただいています」
――活動参加が難しい家庭があり、役をやらない人がいて不公平などの声もありました。人間関係に悩むケースも多いようです。このあたりはどのように感じますか。
「物理的に活動参加が難しい家庭に対して無理にお願いするよりも、どうすれば参加したくなるか、または参加しやすいPTAになるかを考えたほうが前向きですし、円滑な運営にもつながります。また、PTAに加入し、会費を支払うだけでも十分に貢献しているということを理解するのも大切ではないでしょうか」
――「PTAは必要ない」と感じて入会する人が減ると、どのようなデメリットが考えられますか。
「PTAは会員による会費で支えられているので、加入者が減ることで運営費が減り、今までできていたことができなくなる可能性があります。その結果、『保護者と教師が協力して学校運営に携わり、子どもにより良い教育環境を整えるために立ち上がった団体』として、子どもたちの学校生活をサポートすることができなくなるおそれもあります。また、先生たちの負担増にもつながるかもしれません。ただ、必要ないと思われてしまう理由についても考える必要があると思います。今回のアンケート結果や自校の保護者の意見も参考に、業務の取捨選択やツールの導入、運営の見直しなど、検討すると良いのではないでしょうか」
――これから金銭的にも人手も不足していくと、PTAの存続は難しくなってしまいますね。
「実際にPTAを解散した小学校もあります。しかし、すぐに別の保護者の団体が立ち上がった例も少なくありません。ということは結局、PTAという名前の組織が必要なのではなく、保護者による、子どもたちの学校生活のサポートが必要ということですよね。名前はなんでも構わないと思います。ただ、組織の名前を変えることで、イメージやモチベーションが一新するのもわかりますが、そこに時間と労力をかけるのであれば、今あるPTAを少しずつでも変えていくという方法もあるかと思います。そういった前向きな変化を続けることが、PTAの存続にもつながるのではないでしょうか」
すべては子どもたちのために――。学校と保護者が協力しながら円滑に活動を進めるために、時代の流れに沿った新しいPTAの形を作っていく変革期にあるのでしょう。
※この記事は、「Hint-Pot」とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
Hint-Pot編集部
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