( 149049 )  2024/03/14 13:51:26  
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(ブルームバーグ): バイデン米大統領は日本製鉄によるUSスチール買収計画について、懸念を表明する声明を近く出す見込みだという。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。USスチール株は2020年6月以来の大幅安で取引を終えた。 

 

この声明は、日本製鉄からより良い条件を引きだそうとしている全米鉄鋼労働組合(USW)に対するバイデン政権の最新の支援表明となる。バイデン氏は大統領就任以来、労組寄りの姿勢を示してきており、トランプ前米大統領との再戦でも労組と組合員の支持獲得を目指している。 

 

一方、トランプ氏はこの取引を絶対阻止すると表明しており、政権の判断には政治的思惑も絡む。 

 

非公開情報であることを理由に関係者らが匿名で語ったところによると、声明で言及する範囲や、どこまで踏み込むかは明らかでない。 

 

ホワイトハウスはコメントを差し控えた。バイデン氏による懸念表明については英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が先に報じていた。 

 

FTが関係者6人の話を基に伝えたところでは、声明は岸田文雄首相が4月に訪米する前に発表される予定。米当局者と法律専門家が声明を起草し、ホワイトハウスは大統領の決定を内々に日本政府に伝えたとFTは報じている。 

 

関係者の1人は、日米同盟の重要性を語るバイデン政権にとって、岸田氏訪米を控える中でのこうした動きは「きまりの悪い」ものであり、バイデン氏もそれは理解しているが、「残念ながら選挙の年では政治の方が優先されるようだ」とFTに対して語った。 

 

この買収計画について警告を発してきたバイデン政権は、大統領選挙の激戦州であるペンシルベニアに拠点を置き、米国を代表する企業の1社だったUSスチール側に立ってきた。ただ、これまでのところホワイトハウスは取引の阻止を求めるまでには至っていない。 

 

林芳正官房長官は14日午前の記者会見で、FTの報道は承知しているとした上で、個別企業の経営に関する事案や外交上のやり取りについてコメントすることは「差し控えたい」と述べた。 

 

 

CFIUS審査 

 

日鉄のUSスチール買収計画は対米外国投資委員会(CFIUS)による審査を受ける。日本は友好的な同盟国であるものの、バイデン大統領の近くからは、国家安全保障上の懸念や組合員の雇用への脅威を理由に取引の阻止を求める声も出ている。 

 

日鉄とUSスチールは13日夜、「この取引の客観的かつ包括的な審査は、それが米国の雇用と競争力、経済、国家安全保障を強化すると証明することになり、米政権による精査を歓迎する」との共同声明を発表した。 

 

その上で両社は「われわれはこの取引を引き続き推進する方針であり、公平で思慮深い評価がなされて承認に至ると確信している」とコメントした。 

 

USWは同買収計画を強く批判してきた。デービッド・マッコール国際会長はブルームバーグとのインタビューで同計画をそのまま受け入れることはできないと述べている。マッコール氏は先週、ペンシルベニア州ピッツバーグで日本製鉄の森高弘副社長らと会談した。USWは2月の発表資料で、バイデン氏から支持してくれるとの「個人的な保証」を得たとしている。 

 

ホワイトハウスのブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は昨年12月、同買収計画が公表された数日後に、「国家安全保障やサプライチェーンの信頼性への潜在的影響の観点から厳格な精査に値すると考えられる」と表明していた。 

 

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原題:US Steel Falls as Biden Readies Statement of Concern on Deal (5)、US Steel Falls as Biden Weighs Statement of Concern on Deal (2)、Biden to Raise Concerns On Nippon Steel’s US Steel Bid, FT Says、*U.S. STEEL FALLS 13% AT CLOSE FOR WORST DAY SINCE JUNE 2020(抜粋) 

 

 

--取材協力:Brandon Sapienza、横山桃花. 

 

(c)2024 Bloomberg L.P. 

 

Lauren Dezenski 

 

 

 
 

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