( 149627 ) 2024/03/16 00:09:56 1 00 福井県の美浜原発3号機は40年以上運転されており、地裁に対して運転差し止めを求める仮処分申し立てが市民グループから行われましたが、大阪高裁は市民グループの即時抗告を棄却し、美浜3号機の運転を継続することを決定しました。 |
( 149629 ) 2024/03/16 00:09:56 0 00 美浜原発3号機
運転開始から40年を超えている福井県の関西電力・美浜原発3号機をめぐり、市民グループが運転差し止めを求めた仮処分申し立てについて、さきほど大阪高裁は、市民グループ側の即時抗告を棄却しました。
関西電力の美浜原発3号機(福井県美浜町)は、1976年に運転を開始。原発の運転年数は原則最長40年と定められていますが、2016年に国の原子力規制委員会から20年の運転延長を認められたため、現在も稼働しています。
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今回の判断を経て、美浜3号機の運転は継続することになります。
福井・滋賀・京都の3府県の住民ら9人は、
▽美浜3号機は経年劣化が進んだ“老朽原発”であり、炉心損傷(=核燃料を納めた燃料被覆管の破損)といった重大事故のリスクが大きい
▽美浜3号機は基準地震動(原発で想定される最大の揺れ)が運転開始時点から大幅に引き上げられていて、安全面での余裕を食いつぶしている。地震に対する安全性も確保されていない状況
などとして、2021年に運転差止の仮処分を大阪地裁に申し立てました。
これに対し、関西電力側は、 ▽福島第一原発事故後に定められた新規制基準にしたがい、適切な保守管理を行って十分な安全性を確保している ▽基準地震動の変更を踏まえて耐震補強工事を行った などと反論。
美浜原発
大阪地裁は2022年12月、
▽関電の高経年化対策は新規制基準の要求を満たしていて、運転開始から40年以上が経過しているとしても、重大事故が生じる具体的な危険性は認められない
▽新たな基準地震動に対応する形で耐震安全性評価を行っている点を踏まえれば、基準地震動が運転開始時点から引き上げられているとしても、そのことで安全性が低下したとはいえない
などとして、住民側の申し立てを却下。これを不服として、住民側が即時抗告していました。
大阪高裁での即時抗告審では、“原発と活断層との距離”も主な争点となりました。
住民側は「原発敷地の境界(端)と活断層との距離を基準とすべきで、美浜原発と最も近い活断層との距離は、約500mにすぎない。いわゆる『震源極近傍』の危険な状態だ」と主張。
一方で関電側は、「震源極近傍の議論は、敷地内を活断層が通る日本原電・敦賀原発が念頭に置かれている」「原子炉建屋と活断層との距離を基準とすべきで、その場合、美浜3号機と活断層までの距離は少なくとも1kmは超えている」と反論していました。
大阪高裁
大阪高裁は3月15日の決定で、「運転期間が40年を超えているので、設備の経年劣化が懸念されることは否定できない」と指摘した一方、「新規制基準の下で行われた点検で有意な欠陥や劣化は認められず、関電の対応が不十分との主張は採用できない」と判断。
また、距離の近さが指摘された活断層についても、「地震発生時に大規模な地上変異を生じさせうる断層だと示す、的確な資料は見当たらない」などとして住民側の主張を退けました。
結果として大阪地裁の決定を全面的に支持。即時抗告を棄却しました。
大阪高裁の決定を受け、関西電力は「当社主張を裁判所にご理解いただいた結果であると考えている。引き続き、安全性・信頼性の向上に努め、今後も立地地域をはじめ、社会の皆さまのご理解を賜りながら、美浜発電所3号機の運転・保全に万全を期していく」とコメントしています。
(MBS大阪司法担当 松本陸)
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