( 151225 )  2024/03/20 23:44:27  
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日本銀行は、マイナス金利を解除し、金利を17年ぶりに引き上げることを決めました。植田総裁は会見で、「マイナス金利政策は、その役割を果たした」と述べました。この決定を受け、大手銀行が預金金利の引き上げに動くなど、生活にも影響が出ています。 

 

【写真を見る】時価71兆円…日銀の“日本株爆買い”が「負の遺産」に?「異次元緩和」と決別した日銀・植田総裁に残された課題は【news23】 

 

■日銀 マイナス金利解除 17年ぶりの利上げで影響は? 

 

トマト料理が売りの都内のイタリア料理店「トマト・トマト・デ・ルーチェ」。 

 

19日夜、取材に応じた店主は… 

 

アモビさん(トマト・トマト・デ・ルーチェ) 

「金利がちょっと心配なので、どのくらい上がってしまうのか」 

 

今後、銀行から融資を受ける際の金利が上がらないか心配している様子でした。 

 

というのも19日、日銀総裁は… 

 

日本銀行 植田和男総裁 

「マイナス金利政策といった大規模な金融緩和政策は、その役割を果たしたと考えている」 

 

マイナス金利を解除し、金利を引き上げることを決めました。 

 

2016年に日銀の黒田前総裁が導入した「マイナス金利」。 

 

民間の銀行がお金を貯めこまず、融資を増やすなどして、世の中の金回りを良くしようとする奇策でした。 

 

ただ、円安などの副作用も出ており、2023年に就任した植田総裁はマイナス金利の解除のタイミングを探ってきました。 

 

金利の引き上げは17年ぶり。理由について植田総裁は… 

 

日本銀行 植田和男総裁 

「2%の物価安定の目標が持続的安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断しました」 

 

さらに今回、異次元の金融緩和策として行われていた長期金利を低く抑える政策や、事実上、株価を下支えしていたリスク資産の買い入れも終了しました。 

 

先ほど不安を口にしていたイタリア料理店。期待もあるといいます。 

 

アモビさん(トマト・トマト・デ・ルーチェ) 

「海外、輸入品が下がると思うので、メリットかなと思っている」 

 

輸入しているワインやチーズなどは円安の影響で15%~20%値上がりし、苦しんでいました。 

 

アモビさん(トマト・トマト・デ・ルーチェ) 

「(円高になることで)材料が安くなると思うので、私たちもうれしいと思います」 

 

 

円高への期待が膨らみますが、今後について日銀は… 

 

日本銀行 植田和男総裁 

「現時点の経済物価見通しを前提にすると、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えております。緩和的な環境を維持することが大事だという点は留意しつつ、普通の金融政策を行っていくことになるかと思います」 

 

金融緩和策が続くとの見方が広がり、円相場は150円台まで円安が進みました。 

 

さらに日経平均株価は19日、前の日より263円高い4万0,003円60銭で取引を終えました。 

 

■大手銀行 預金金利20倍に 

 

小川彩佳キャスター: 

マイナス金利の解除で私達の生活にはどんな影響があるんでしょうか? 

 

23ジャーナリスト 片山薫記者: 

19日に早速、大手銀行(三菱UFJ銀行・三井住友銀行)が普通預金の金利を大幅に引き上げました。20倍にするということです。 

 

例えば100万円を1年間預けた場合、これまで10円しかつかなかった利息が200円になるということで、ちょっとずつ変わり始めてるかなと思います。 

 

小川キャスター: 

「金利のある世界」がやってくるということになりますが、これまで行われてきた異次元の緩和、そして、そこからの転換。これを真山さんはどうご覧になりますか。 

 

小説家 真山仁さん: 

ずっと異常だったと思います。ひどい言い方ですが、「正気に戻ってくれてよかった」というべきなのか。総裁が変わった段階で、「すぐ変えてくれるんだ」と思ってたんですが、なぜか日本って今、激変するのを嫌いますよね。激変すると責任取らされると思っているのか。 

 

でも、20倍かもしれないですが、これは嬉しくない。これだけ預けたら、せめてお札になってもらわないと。だから、これが第一歩であると、これでおしまいではないっていうことを願うしかないでしょうね。 

 

■時価71兆円…日銀“日本株爆買い”の後始末は? 

 

小川キャスター: 

ブレーキとアクセルを同時に少しずつ踏むという表現もありますが、日銀の植田総裁は、安倍元総理や黒田前総裁が推し進めた「アベノミクス」についてどのように評価するのか、ここも注目されましたが、いかがでしょうか? 

 

 

片山記者: 

19日、日銀は異次元の金融緩和策の功罪について今、検証を行っているということで、直接は言及しなかったんです。 

 

ただ、19日の会見の発言で気になったのが、植田総裁が、「異次元の金融緩和策の役割は果たした」「(今後については)普通の金融政策を行っていく」と話したので、異次元の金融緩和策から決別するという意思だけは示したという形です。 

 

小川キャスター: 

ただ、そうした中で気になる発言があったということですが? 

 

片山記者: 

植田総裁は過去の話をしていました。いわゆる副作用の話なんですが、「過去の異次元緩和の遺産が当面残る」と発言しました。これを負の遺産とは言わなかったんです。 

 

負の遺産というのは私の解釈ですが、過去に大量の国債の肩代わりを日銀がしてしまったこと。それと、時価71兆円のETF(=上場投資信託)、日本株の爆買いをこれまで大量にしてしまった。 

 

黒田総裁時代に毎年何兆円もエスカレートしていって、日経平均株価が下がると、それを買い支える形で日銀が株価を助けていたということがあるんです。 

 

これはいわゆる禁じ手で、世界の中央銀行でこういうことをやっているのは日本だけなんです。それがどんどん貯まっていって、含み額も含めると、時価で71兆円あるんです。 

 

普通だったら株は儲かったら売るんですが、売ったら株価が急落するんです。だから売るに売れない状態が続いていて、株価に影響を与えないように売却してくとすると、230年近くかかるんです。 

 

小川キャスター: 

大変なことですけどね。遺産について真山さんはどう思いますか? 

 

真山さん: 

これを払うのはこれからの若い世代ですよね。「異次元」って、今、少子化で使い出した言葉ですよね。 

 

本当に異次元の少子化対策をしたいんだったら、まず、日銀が保有する株を何とかしましょうよ。子どもたちにこんなプレゼントを残すっていうのは、大人として恥ずかしいと思わなきゃいけない。国は2度と「異次元」を使って欲しくないですね。 

 

■『新たな金融政策』などについて「みんなの声」は 

 

NEWS DIGアプリでは『新たな金融政策』などについて「みんなの声」を募集しました。 

 

Q.新たな金融政策をどう思う? 

「期待する」…37.7% 

「不安だ」…49.0% 

「その他・わからない」…13.4% 

 

※3月19日午後11時12分時点 

※統計学的手法に基づく世論調査ではありません 

※動画内で紹介したアンケートは20日午前8時で終了しました。 

 

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