( 151230 )  2024/03/20 23:47:24  
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 外国為替市場で円安が加速している。19日のニューヨーク市場で対ドルの円相場は一時1ドル=150円90銭台まで下落。その後も円安は止まらず、日本時間20日夜時点で一時1ドル=151円台後半まで円安・ドル高が進んだ。日本政府・日銀が円買いの為替介入に踏み切った2022年10月につけた1ドル=151円94銭に迫っている。 

 

 日銀は19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げを決めた。従来は「利上げ=円買い」がセオリーだったが、今後も日本では緩和的な金融環境が続くとの見方が市場に広がり、政策変更後に逆に円売りが進む異例の展開となった。 

 

 19日の東京市場で1ドル=149円台前半で取引が始まった円相場は、日銀が同日昼過ぎに政策変更を発表した後、150円台まで下落。海外市場もこの流れを引き継いだ。 

 

 利上げした国の通貨は買い注文が集まりやすくなるのが通常だ。しかし、今回は日銀の植田和男総裁が19日の記者会見で、急激な金融引き締めに慎重な「ハト派」姿勢を強調し、警戒していた市場に安心感が広がった。日銀幹部も講演などで事前にマイナス金利の早期解除と、緩和的な金融環境の継続を示唆していたこともあり、市場は日銀の政策変更後も日米の金利差が開いた状況に変わりはないと判断している。 

 

 市場が注目するのは、米連邦準備制度理事会(FRB)の動きだ。物価上昇(インフレ)抑制のため金融引き締めを続けた結果、政策金利の誘導目標は5・25~5・5%と22年ぶりの高水準となっている。2023年12月会合では「24年中に3回利下げする」との見通しを示唆しており、FRBがいつ利下げに転じるのかが焦点となっている。 

 

 米国のインフレ圧力は想定以上に強く、FRBの利下げのタイミングが夏以降にズレ込み、金融引き締めが長引くとの観測も出ている。このことも市場でドルを買って、円を売る動きを誘っている模様だ。【ワシントン大久保渉】 

 

 

 
 

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