( 152663 )  2024/03/25 00:46:49  
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りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員 

 

JR芸備線の一部区間の存廃を巡り、26日に広島市で開かれる再構築協議会での議論は、鉄道の需要減少への対応という観点だけでなく、地域経済全体との関係を念頭に置きながら進めるべきだ。芸備線と同様の問題は各地で起きており、議論の行方は日本全体の地方のあり方に関わってくる。 

 

議論には3つの観点が含まれるべきだと思う。 

 

一つは地方の生産性の向上に向け鉄道の役割をどう考えるかだ。人口減少は鉄道の需要減少だけでなく、地方経済での人手不足の深刻化を招く。新規の構築が不要な鉄道などの既存インフラをどう活用するかは重要な観点となる。 

 

もう一つは脱炭素だ。エネルギー効率に優れる鉄道の特性は、多くの客や荷物を一度に輸送すれば発揮される。この環境への優しさは、脱炭素を進めることに貢献する。 

 

最後に訪日客(インバウンド)の足としての鉄道という観点だ。インバウンドは成長分野であり、一層の広がりに向け、鉄道は高い潜在力を持つ。 

 

赤字の地方路線を具体的にどのような姿にするべきかは、地域により事情が異なるが、3つの観点を踏まえながら、関係者は議論を深めていってほしい。(聞き手 黒川信雄) 

 

 

 
 

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