( 153333 )  2024/03/26 23:43:55  
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他に空席があるなかでの隣同士は気まずい?(イメージ) 

 

 電車や映画館、飲食店、駐車場などにおいて、空席が多数あるにもかかわらず、自身のすぐ隣にくる人のことをネット上では「トナラー」と呼ぶことがある。人は誰しも「パーソナルスペース」なるものを持っていて、そこを他人に侵犯されると不快感を催すもの。しかし、パーソナルスペースに関する感覚は人それぞれで、なかにはそれが希薄な人もいて、そういった人が「トナラー」になる可能性が高いと言われている。 

 

【写真】空席が多数あるのに、自身のすぐ隣にくる「トナラー」の例《カフェやサウナなど》 

 

 もちろん、他意があって「トナラー」になっているわけではないというケースも多いだろう。とはいえ、例えばなるべく両脇が空いている状態が好きな人にとって、わざわざ隣にトナラーが現れたら、気分は複雑だ。そういった場合、世の人々はどのような対応をしているのか。 

 

 神奈川県に住む会社員のAさん(30代女性)は、過去に何度か電車の中でトナラーに出くわした経験を振り返る。 

 

「私の家の最寄り駅は、都内と神奈川県内をつなぐ私鉄の終点。最寄りに近づくにつれてだんだん車内が空いていくわけですが、そういったときにトナラーがやってくることがあります」(Aさん) 

 

 Aさんは、トナラーがやってきた際には、できる限り露骨な態度を取らないようにしているという。 

 

「ガラガラなのに、どういった理由で私の隣に座ってくるのかが怖いです。もしかしたら痴漢なんじゃないかと勘ぐってしまうし……。疑うのはイヤだけど、そのまま隣にいられるのも嫌。できるだけさり気なくその場を去るようにしています」(Aさん) 

 

 トナラーがきたら、少し時間をおいて席から立つというAさん。 

 

「すぐに立つのではなく、スマホを見ながら少しだけ我慢。その後、視線はスマホから離さず、別の車両に移動します。スマホでも見ていないと、目のやり場に困りそうなので……。自意識過剰に思われるのも嫌なので、とにかくトナラーの視界から消えるようにします」(Aさん) 

 

 Aさん以上に、露骨にならないように“トナラー対策”をしているのが、都内在住の会社員・Bさん(40代男性)だ。Bさんの場合、自分がトナラーになっているのではないかと不安になることもあるという。 

 

「誰かが隣に座ってくることも嫌なんですが、混んでいる電車が徐々に空いてきた結果、自分と見知らぬお客さんが2人で並んで座っている状態になることがあります。 

 

 そうなると、自分が隣の人に不快感を与えているんじゃないか、と気になってくるんですよね……。隣に座っているのが女性だとなおさらです。そうなったら、できるだけ自然に席を立つようにしています」 

 

 席を立つタイミングにも工夫がある。 

 

「電車が次の駅に着きそうになったら、あたかもその駅で降りる準備をするかのような感じで立ちあがり、ドアの前で待機します。そして、駅に着いたら実際に降りる。次の電車がすぐにきそうなら、駅で待って次の電車に乗る。急いでいる時は、一旦降りて別の車両に移動する。自意識過剰かもしれませんが、気にする自分のほうがイヤなので」(Bさん) 

 

 

 電車や飲食店のほかに、トナラーの問題が生じやすい場所がパチンコ店だ。店内がガラガラであっても、わざわざ打っている人の隣に座る人がいる。パチンコ業界に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏がこう話す。 

 

「店内がガラガラのホールでは、誰かが打っている隣の台は避けるというパチンコユーザーが大半だと思います。最近のパチンコ・パチスロは、BGMや効果音が派手なものが多く、隣の台の音が気になるという人も珍しくない。空いているホールだと余計に他の人が打っている台の音が気になりますし、自分が負けている状態で隣の台が出ていたらイライラしてしまう人もいるでしょう。 

 

 単純にパーソナルスペースを侵食されるというだけでなく、心理的な不快感もあるので、他人から離れて打ちたいというユーザーは一定数いると思います。 

 

 一方で、何も気にせず、誰かが打っているすぐ隣に着席する人もいます。ただ、それでトラブルになったという話を聞いたことはないですね。たとえば、打ちたい機種が1台しか空いてないなら、隣で誰かが打っていてもその台に座るのは自然なことなので、パチンコ店の場合は必ずしも“不快”には当てはまらないのでは」 

 

 パチスロでは出玉を左右する「設定」という機能があり、高い設定の台ほど勝ちやすくなる。過去の出玉データなどからその設定を予測し、台選びをする上級者もいる。 

 

「高設定狙いの客にしてみれば、パーソナルスペースよりも“勝てるかどうか”が優先される。隣で誰かが打っているかどうかなど関係なく、高設定だと予想した台に座るわけです。そういった台選びが当たり前になっているので、必ずしもトナラーだからといって嫌悪されるわけではありません。この辺の事情はパチンコホール特有のものでしょうね」(藤井氏) 

 

 状況によって捉えられ方も違えば、人によって対応も違うトナラー。もし違和感をおぼえることがあったとしても、なるべく穏やかに対応したいものだ。(了) 

 

 

 
 

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