( 153363 ) 2024/03/27 00:12:21 0 00 人けのない備後落合駅で始発の出発を待つ車両=22日早朝、広島県庄原市
利用が低迷するJR芸備線備後庄原(広島県庄原市)―備中神代(岡山県新見市)間の存廃などを話し合うため、広島市内で26日、第1回再構築協議会が開かれた。国が調整役となり、沿線自治体やJR西日本、有識者らと協議した上で3年以内を目安に結論を出すが、路線の存続を願う自治体側と、利用者の激減に悩むJR側との意見の隔たりはまだ大きい。
【写真】広島市で開かれたJR芸備線の一部区間の存廃を話し合う「再構築協議会」の初会合
協議会の冒頭、議長に選ばれた国土交通省中国運輸局の益田浩局長は、昨年10月施行の改正地域公共交通活性化再生法に基づく全国初の協議会であることを受け、「前例がなく、運営する私たちも、いわば手探りの状態」と述べ、「鉄道の廃止ありき存続ありきという前提を置くことなく、議論を進めていく」とあいさつした。
続いてJR西の広岡研二広島支社長が庄原、新見両市の人口が約30年前に比べ3割以上減少し、対象区間の利用者はその減少率を上回る88%減であることを説明。「大量輸送という観点で鉄道の特性を発揮できていない」と述べた。
一方、自治体側からは広島、岡山両県の副知事と庄原、新見両市の副市長らが出席し、現状のままの体制で運行継続を求める意見を表明。広島県の玉井優子副知事は「芸備線は通学や通院で地域に不可欠。なぜ維持できないのかJRは丁寧に説明してほしい」と要請した。
協議会後の会見で、中国運輸局の益田局長は今後について「両論併記の結論では全く使えないので一定の方向性は出したい」とした上で、「JRと自治体に溝があるのは確かだが、協議会が開かれたのは進歩」と強調。協議会の設置が全国の赤字ローカル線への波及があるか問われると「こういう協議会なら参加してもいいとモデルケースとなるよう頑張りたい」と述べた。
◆再構築協議会 鉄道事業者または自治体からの要請に基づき国が設置する。昨年4月に制度を盛り込んだ地域公共交通の再編関連法が成立し、同10月に運用が始まった。事業者や自治体などで構成し、国が調整役を務め、事業者と、廃線を避けたい自治体側との協議が停滞しないよう議論を進める。3年以内をめどとする「再構築方針」の作成に向け、検討内容の有効性を検証する実証事業を実施できる。現時点でJR芸備線以外に設置に向けた動きは表面化していない。
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