( 155198 )  2024/04/01 14:52:47  
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部屋の当面閉鎖となり、宮城野親方への影響は大きい 

 

 元幕内・北青鵬の暴力問題で春場所で師匠代行を立てていた宮城野部屋だが、3月28日の日本相撲協会理事会で「4月以降は当面閉鎖とし、宮城野親方(元横綱・白鵬)や20人の所属力士ら全員が伊勢ヶ濱部屋へ転籍する」ことが正式に決まった。この決定により、宮城野親方が“失う収益”も非常に大きいものになるという 

 

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 2月の臨時理事会では、宮城野親方は委員から年寄への2階級降格と3か月の20%報酬減額の処分が下っていた。 

 

 新しく広報部長に就任した佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は「制裁を与えているわけではない。あくまでも一時預かりだ」として、「毎場所、浅香山理事(元大関・魁皇)、伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)から執行部が状況の報告を受ける」としている。 

 

 預かり期間は未定。伊勢ヶ濱親方が来年7月9日に65歳の定年を迎えるため、「来年5月の夏場所後が目途ともされているが、かつて木瀬部屋が再興を認められた時は閉鎖の2年後だった。今回は長ければ5年、10年のスパンになる可能性もゼロではない」(若手親方)とみられている。 

 

 再興の可能性は残されているとはいえ、宮城野親方にとっては失うものが大きい。金銭面での損失も決して小さくない。 

 

 相撲協会の年寄は役職によって報酬額が違う。理事、副理事・役員待遇、委員、主任・参与、年寄の5段階に分かれている。宮城野親方は月額報酬100万1000円の委員から、78万4000円の年寄に降格して、約22万円もの減額とった。年収では約260万円も下がり、再雇用の親方(参与)より報酬額は低くなる。 

 

 宮城野親方の場合、3か月間はさらに20%の減給処分があるために月15万6800円が減らされて、月額報酬は62万7200円となる。役職によって賞与も変わり、委員と年寄では年間で約43万円の差がある。年収ベースではこの1年は約367万円も下がる計算になる(減給処分の影響がなくなる来年以降で考えれば約304万円ダウン)。 

 

 また、部屋を運営する親方には協会から運営資金が支給される。弟子を入門させると協会から補助金として力士養成費(幕下以下力士1人につき月7万円)、相撲部屋維持費(力士1人につき場所ごとに11万5000円)、稽古場維持費(力士1人につき場所ごとに4万5000円)と、力士1人につき年間180万円が支払われる。20人の力士なら年3600万円となる。宮城野部屋では十両の伯桜鵬を育てたということで支払われる養成奨励金の年間114万円もあったわけだから、計約3714万円を失うことになる。 

 

 宮城野親方自身の報酬の約304万円ダウンと合わせて年間約4000万円の減収となる。それが2年続けば約8000万円、5年で約2億円、10年で約4億円の損失となる。 

 

 もともと、旧東関部屋を間借りしていた宮城野部屋では、新たに部屋を建設するために東京・日本橋で土地147坪を購入している。評価額15億円とされるが、当面とはいえ部屋閉鎖で年内での引っ越し計画も立ち消えになった状態だ。現在は駐車場として利用されているものの、固定資産税も安くないだろう。北青鵬の暴力を放置してきた宮城野親方にとってはあまりにも大きい代償となった。 

 

 宮城野親方が失った収入の多くは弟子が転籍する伊勢ヶ濱部屋に支給されることになるが、約40人の大所帯になったマンモス部屋では新たなトラブルも予想される。その面倒に見合う額かは、ひとつ屋根の下で生活をスタートしてみないとわからない。 

 

 

 
 

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