( 156898 )  2024/04/06 22:05:08  
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海の水平線が湯船の水面と一体となり、浮かんでいるような感覚を満喫できる-。こうした絶景が売りの西日本のとある温泉宿。この露天風呂が、実は客室の一部屋から「丸見え」だったことが、インターネット上での女性客からの指摘で明らかになった。宿側は客室から他人の入浴姿が見えることを把握しながら、事前に説明していなかったことも判明し、謝罪した上で改善に乗り出している。 

 

【写真】温泉宿側が露天風呂のガラスに掲示した案内文 

 

■全裸の人の姿が… 

 

「朝、海を眺める為にベランダに出ていた友人の悲鳴で、慌てて私もベランダに出ると、露天風呂で寛(くつろ)ぐ全裸の人の姿が!驚愕(きょうがく)でした」 

 

3月中旬、友人らとともに1泊2日の日程で宿泊した女性客は、ネット上のレビューサイトでこう訴えた。 

 

グループは3階の客室に滞在。女性客への説明によると、宿側はこの客室から露天風呂の様子が見えることを数年前に把握したものの「不安をあおる」を理由に、そうした情報は部屋の宿泊客にも、露天風呂の利用客にも知らせていなかった。 

 

女性客は「到底考えられないことであり、宿には対策を講じるようお願いした」と怒りをにじませつつ、泉質や眺望、料理といったほかのサービスはしっかり堪能できたとも明かし、レビューには「『露天風呂一部丸見え』以外は素晴らしい天国みたいなお宿でした」と記している。 

 

■露出範囲は限定的? 

 

一連の情報は、ニュースサイト「産経ニュース」の「情報提供ページ」に寄せられ、女性客に続いて温泉宿の支配人も産経新聞の取材に応じた。 

 

「一部丸見え」と言及された露天風呂は、平成22年7月のリニューアルでオープン。時間帯によって男女が入れ替わり利用する。オープンから数年後、「(3階の一室から)のぞかれる可能性がある」と外部からの指摘を受けた。だが浴槽の深さは百数十センチ程度だったため、水面からは上半身の一部だけが露出すると判断。部屋の稼働は継続し利用は女性のみとした。 

 

露天風呂を巡ってはこれまで、宿の眼下を航行する船が停止しているといった苦情が時折寄せられ、海上保安庁などにも伝えていたが、今回同様の指摘はそれほど多くなかったという。 

 

 

対応策として温泉宿側では、この客室とベランダをつなぐ扉をロックした上で、浴室内に「女性限定客室より見える場合がある」と記した案内を掲示。女性客のレビューには「ご意見は真摯(しんし)に受け止め、取り急ぎしっかりと対策を取り、改善に努める」と返信した。 

 

■バランスに苦慮も 

 

軽犯罪法は、正当な理由なく浴場など、通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者を、拘留または科料に処すると規定する。 

 

露天風呂ののぞき見は同法に違反し、盗撮に及べば罪はさらに重い。今回のように、位置関係から他人の入浴姿が予期せぬ形で目に入った場合は通常、処罰対象ではないとみられる。 

 

そして何よりも露天風呂の大きな魅力は眺望や開放感。リスク対策を強めれば、そうした魅力の低下を招きかねず、運営側がバランスに苦慮することも珍しくない。 

 

冒頭の女性客は、そうした事情は理解しつつも「今回のケースでは、海に浮かぶ船などから見られる可能性は承知していたが、まさか客室から見えるとは思ってもみなかった。客にリスクの説明を怠っていたことが問題であり、同じようなことが起きないようにしてほしい」と求めている。(岡嶋大城) 

 

 

 
 

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