( 157053 )  2024/04/07 12:32:40  
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知事公舎を出る静岡県の川勝平太知事=3日、静岡市 

 

 静岡県の川勝平太知事が「職業差別」と捉えられかねない発言を批判され、任期途中で辞職する意向を表明した。川勝氏はこれまで、リニア中央新幹線静岡工区の着工を認めず、JR東海は目標としていた東京・品川―名古屋間の2027年開業を断念した。 

 

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 ―リニア中央新幹線の静岡工区とは。 

 

 山梨県から静岡県を通って長野県に至る南アルプストンネル(全長25キロ)の一部。山梨、長野両県では既に着工しているが、静岡県は17年に川勝知事が反対を表明し、工事を進められない状況が続いている。 

 

 ―なぜ川勝知事は着工を認めないのか。 

 

 トンネル工事による湧水で静岡県内を流れる大井川の水量が少なくなり、流域にある茶農家などに影響が出る恐れがあると県や関係市町が危機感を強めたためだ。川勝知事は南アルプスの生態系への影響や、工事で発生した残土の処理置き場の問題も指摘していた。 

 

 ―国やJR東海の対応は。 

 

 県とJR東海の協議がこう着する中、両者の間を取り持つ形で、国土交通省が20年に有識者会議を設置。21年に出した中間報告で、JR東海が湧水を大井川に戻す対策を講じることで、「中下流域の河川流量は維持される」との見解を示した。これを受け、JR東海は22年、工事による湧水と同じ分を、大井川上流にある「田代ダム」から取水する量を減らして水量を補う案を公表した。 

 

 ―静岡県内の反応は。 

 

 JR東海が示した案に流域10市町は前向きな考えを示す一方、県は慎重姿勢を崩さず、最終的に了承したものの、意見の相違が目立つようになってきていた。川勝氏の対応に、「県はスピード感を持って建設的な協議を進めていかなければいけない」(染谷絹代島田市長)と苦言を呈する声も上がっていた。 

 

 ―川勝氏の辞職で着工に転じるのか。 

 

 次の知事の考えによっては、静岡工区の着工に向けて動きだす可能性もある。川勝氏は6月県議会で辞職する意向で、候補者擁立に向けた動きが今後本格化する見通しだ。ただ、これからすぐに着工しても、開業が34年以降にずれ込むのは避けられない状況だ。 

 

 

 
 

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