( 157558 )  2024/04/08 22:15:56  
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訪米を前に記者団の取材に応じる岸田文雄首相=8日午後、首相官邸(春名中撮影) 

 

岸田文雄首相(自民党総裁)は8日からの国賓待遇での訪米を政権浮揚につなげたい考えだ。首相は昨年末から最大の火種だった党派閥パーティー収入不記載事件で安倍派(清和政策研究会)の幹部らに処分を科し、区切りをつけたが、党内からは処分への不満がくすぶる。衆院解散・総選挙や秋の総裁選に勝ち抜く求心力を回復するためにも、得意の外交で反転攻勢に打って出る構えだ。 

 

【写真】米国訪問に向け出発する岸田首相と裕子夫人 

 

「事件への対応で首相の体力が相当奪われたのは確かだ」 

 

側近の一人は首相を取り巻く政治情勢について、こう語る。 

 

年明け以降、外交や経済で支持率を底上げし、通常国会中に衆院解散・総選挙を行い、秋の総裁選で再選を果たす-。もともと首相が描いていたシナリオは昨年末、東京地検特捜部が政治資金規正法違反の疑いで安倍派と二階派(志帥会)の事務所を家宅捜索したことで大きく狂った。年明けの南米訪問は見送りとなり、元日からは能登半島地震への対応に追われた。 

 

今回の訪米では、平成27年の安倍晋三元首相以来、日本の首相としては約9年ぶりとなる上下両院合同会議での演説に臨むほか、日米比首脳会談も予定する。首相が党内の処分を訪米前に終えたのも、事件に区切りをつけ、外交成果で局面を変えたい狙いがあるからだ。 

 

首相には、過去にも政権が窮地に陥った際に外交で局面を転換した成功体験がある。令和4年後半には、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題や閣僚の辞任ドミノなどで支持率急落に苦しんだが、翌5年3月のウクライナへの電撃訪問や、成功裏に終えた同年5月の広島での先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)などで支持率を上昇させ、求心力を回復した。 

 

強固な日米の結束を世界にアピールするため、重要な訪米となるのはもちろんだが、政権の立て直しに向けた思惑も交差する。(永原慎吾) 

 

 

 
 

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