( 157868 )  2024/04/09 15:14:09  
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写真:LIMO [リーモ] 

 

2024年3月28日、新年度予算成立を受けて岸田総理が記者会見を行い決意を語りました。 

 

【退職金の一覧表】勤続年別・公務員の退職金を一覧で見る!やはり公務員は安定?理由が定年退職なら退職金は「2000万円超」という結果に 

 

その決意の中には、「物価上昇を上回る賃上げを定着させる」という内容のものもあり、本当に賃上げがされるのか? と興味を持った現役世代の方は多いのではないでしょうか。 

 

最近は、このように現役世代の賃上げに関する話題が多いですが、世間の声の中には就職氷河期世代を見捨てたままだという声も少なからず聞こえてきます。 

 

その声を受けて、国家公務員は令和5年から2年間、地方公務員は令和6年まで就職氷河期世帯を積極的に採用する方針となっています。 

 

実際、2023年度国家公務員中途採用試験では、就職氷河期世代の方165名が合格と発表されています。 

 

公務員といえば、給与も安定しており、定年時にはまとまった退職金を受け取れることから安泰だとも言われています。この機会に中途採用で公務員を目指す方も少なくないでしょう。 

 

では、公務員に転職して定年まで働いた場合、どのくらいの退職金を受け取れるのでしょうか。今回は公務員と一般企業の退職金事情を比較していきながら老後に対する備えについて考えていきたいと思います。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

公務員は、国や自治体に勤務し、営利を目的とせず社会作りを仕事としている人を指し、「国家公務員」と「地方公務員」に区分されています。 

 

それぞれの具体的な職種は下記のとおりです。 

 

 ・国家公務員:自衛官、裁判官、検察官、国会議員、大使 

 ・地方公務員:教員、役場職員、警察官、消防官、自治体議員 

2022年度時点で、公務員全体335万3000人のうち国家公務員は約58万9000人となっており、全体の17.6%を占めていました。 

 

地方公務員の場合は、勤務する都道府県や市町村によって給与水準や退職金が異なるため、今回は国家公務員の退職金について紹介していきます。 

 

次章からは、さっそく国家公務員の定年退職金の平均受給額をチェックしていきましょう。後半では、一般企業の退職金とも比較しているので、参考にしていただければ幸いです。 

 

 

国家公務員が定年退職時に受け取る退職金は、勤続年数により金額が変わります。 

 

内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」によると、国家公務員の退職金平均支給額(定年退職)は勤続年数ごとに下記のように推移しています。 

 

【常勤職員】 

 

 ・5年未満:158万7000円 

 ・5年~9年:446万8000円 

 ・10年~14年:713万7000円 

 ・15年~19年:1159万1000円 

 ・20年~24年:1309万2000円 

 ・25年~29年:1663万2000円 

 ・30年~34年:1991万7000円 

 ・35年~39年:2303万8000円 

 ・40年以上:2234万7000円 

【うち行政職俸給表(一)適用者】 

 

 ・5年未満: 84万8000円 

 ・5年~9年:451万8000円 

 ・10年~14年:675万7000円 

 ・15年~19年:1016万6000円 

 ・20年~24年:1352万4000円 

 ・25年~29年:1625万6000円 

 ・30年~34年: 2037万円 

 ・35年~39年:2189万1000円 

 ・40年以上:2139万1000円 

当然ながら、勤続年数が長くなればなるほど退職金は増えていきます。これは会社員でも同じことが言えますね。 

 

ただし、同じ勤続年数でも自己都合による退職や応募認定での退職であれば、金額が大きく変わることがあります。 

 

内閣官房の退職金に関する調査によると、国家公務員の退職金は下記のとおりです。 

 

常勤職員、行政職俸給表(一)適用者ともに、平均支給額は「2000万円」を超えました。 

 

このことから、国家公務員が定年退職をする場合の退職金は2000万円を超える可能性が高いといえます。 

 

では、一般企業の会社員ではどうなのでしょうか。ここからは、一般企業の会社員の定年退職金についてみていきましょう。 

 

前章では、公務員の定年退職金の相場について紹介しましたが、大企業や中小企業に勤める会社員の定年退職金はどのくらいなのでしょうか。 

 

最新の統計である中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」によると、資本金5億以上かつ労働人材が1000人以上の企業、いわゆる「大企業」のモデル定年退職金は、大学卒・高校卒それぞれ下記の結果となりました。 

 

 ・大学卒:2563万9000円 

 ・高校卒:1971万2000円 

※学校を卒業後ただちに入社して標準的に昇進した者のうち、事務・技術(総合職相当) 

 

一方、東京都産業労働局の調査データでは、企業規模が300人未満の企業の定年退職金については下記の結果となりました。 

 

【大学卒】 

 

 ・企業規模10~49人の退職金:979万3000円 

 ・企業規模50~99人の退職金:1141万8000円 

 ・企業規模100~299人の退職金:1323万円 

【高校卒】 

 

 ・企業規模10~49人の退職金:880万3000円 

 ・企業規模50~99人の退職金:1065万9000円 

 ・企業規模100~299人の退職金:1204万5000円 

※卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準 

 

上記を比較すると、大企業と中小企業では1000万円ほどの差があることが分かります。また、中小企業では「そもそも退職金がない」という会社も少なくありません。 

 

公務員と大企業に関しては、定年まで勤めることで退職金という大金を手にすることができますが、中小企業の場合は自助努力で老後の資金を積み立てておく必要があるでしょう。 

 

 

今回は、公務員と一般企業に勤める方の退職金事情について見てきました。その結果、公務員、一般企業に勤める方ともに、30年以上など勤務期間が長ければ長いほど受け取れる退職金は多くなっています。 

 

少し前の時代であれば、一度勤めた会社に長く勤めるという方は多かったですが、今はステップアップ等のために転職をすることも普通の時代です。 

 

昔と比べると働き方も自由になった時代だからこそ、会社から受け取れる退職金に過度の期待は持たない方が良さそうですね。 

 

今の50代・60代が現役として働いていた昭和。銀行の預金金利は高く、貯金するだけでお金が増え、多くの方は退職金と銀行預金で老後の生活に備えていました。 

 

しかし、今は銀行預金の金利も低く貯金するだけではお金は増えません。また、先ほどお伝えしたように働き方も自由になり、転職を何度か経験することも珍しくありません。 

 

いまは、銀行預金も退職金にも過度な期待ができない時代です。だからこそ、NISAやiDeCoで投資をしながら老後に備えていくことが非常に重要ではないでしょうか。 

 

 ・首相官邸「2024年3月28日 岸田内閣総理大臣記者会見」 

 ・人事院「2023年度 国家公務員中途採用者選考試験(就職氷河期世代) 実施状況」 

 ・人事院「国家公務員中途採用者選考試験(就職氷河期世代)の合格者発表」 

 ・内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」 

 ・東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」 

 ・厚生労働省 中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」 

 ・厚生労働省「退職給付(一時金・年金)の支給実態 」 

 

鶴田 綾 

 

 

 
 

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