( 158712 ) 2024/04/11 23:12:34 0 00 陸上自衛隊訓練場の整備計画断念の知らせを受け、喜ぶ「断念を求める会」のメンバー=沖縄県うるま市で2024年4月11日午後6時24分、喜屋武真之介撮影
南西諸島の防衛力強化の一環として沖縄県うるま市のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を整備する防衛省の計画が11日、地元の反対で断念に追い込まれた。政府は、軍事活動を活発化させる中国などを念頭に、南西諸島で自衛隊の増強を着々と進めてきたが、今回は保守系の市長や議員も含めた強い反発の声に異例の方針転換を迫られた形だ。
【写真】沖縄・うるまで陸自訓練場建設計画 ゴルフ場跡地に
うるま市では計画撤回の一報がもたらされると、市内の集会所で動静を見守っていた関係者から拍手が起こり、万歳する姿も見られた。県議や市議、自治会関係者らでつくる「断念を求める会」で共同代表を務める元自民県議の伊波常洋さん(73)は「住環境がよく、自然豊かな土地を守りたいと反対してきた。住民が団結すれば政府より強い力を発揮するとつくづく思った」と笑顔を見せ、「防衛省は他の土地で計画を進めるかもしれないが、その土地の人たちが反対するなら支援したい」と語気を強めた。
防衛省は那覇市を拠点とする陸自第15旅団を2027年度までに「師団」に増強するのに伴い、新たな訓練場が必要になるとして24年度予算案にゴルフ場跡地の用地取得費を計上した。しかし、整備予定地は住宅街に近く、住民らには事前の説明もなかった。予定地の近くにある市立宮森小学校では米国統治下の1959年に米軍機が墜落し、児童ら17人が死亡した。惨劇の記憶もいまだ生々しく、訓練場での事故などを懸念する声が広がった。
6月の県議選での争点化を避けたいという思惑もあって、反対の声は自民県議からも上がり、県議会は3月7日、全会一致で計画の白紙撤回を求める意見書を可決。同月20日にうるま市内であった計画への反対集会には保守系の中村正人市長も出席して「(政府に)粘り強く反対の意思を伝える」と述べた。
◇沖縄知事「計画に強い不信感」
訓練場整備計画について、玉城デニー知事は11日、記者団の取材に応じ「いろいろな計画をすべて隠密裏に進めているところに非常に(住民の)不信感が強い。このような計画の進め方はあってはならない」と防衛省の姿勢を批判。「県内で新たな施設を検討するのであれば、県としては米軍(基地)の閉鎖、返還を同時に考えたい」と述べ、今後の動きについても強くけん制した。【喜屋武真之介、比嘉洋】
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