( 159792 )  2024/04/14 23:22:08  
00

日経平均株価が4万円台前後で推移し、ドル円は1ドル152円に近づく状況になっている。

木戸次郎氏がこの異例の市況について分析し、注目の10銘柄について解説している。

日銀が17年ぶりにマイナス金利政策を解除し、利上げに転じたが、円安は進行中で、政府の介入も効果が限定的。

円安の根本は米国の金利上昇との差によるものであり、日本の金利政策が変わらない限り逆転は期待できないと指摘。

家計や経済に影響を与える事象として、二極化や消費の停滞が懸念されており、今後は二極化が進行し治安や経済面での影響も懸念されている。

(要約)

( 159794 )  2024/04/14 23:22:08  
00

AdobeStock 

 

 日経平均株価は未曾有の4万円台前後で推移する一方で、ドル円は1ドル152円手前まできている正念場だ。この「前代未聞」の市況について、名物株式評論家・木戸次郎氏が分析するーー。注目10銘柄とあわせて解説していただいた。みんかぶプレミアム特集「日経5万時代に備えよ」第四回。 

 

 さて、日銀は2016年2月にマイナス金利政策を導入して以来、約17年ぶりにマイナス金利政策を解除し、利上げに転じたことで金融政策が大きく修正された。多くの専門家がマイナス金利解除で円高を予測したものの、ふたを開けてみれば円安は継続中どころか、152円を見据えるほどに円安が進んでいる状況だ。 

 

 こうした中でようやく重い口を開けた鈴木俊一財務相や神田真人財務官が「必要なら断固たる措置をとる」との発言をしたものの、その効果もほとんどなく、151円台後半を推移している。 

 

 蓋然性からしても後手後手に回る日本政府のことなので1ドル=152円を超えてから慌てだし、実際には153円~155円のゾーンに入ってからの準備・介入になるのではないかと考えている。 

 

 タイミングを逸した希望的観測による為替介入というのはトレンドが転換しづらいことは2022年9月22日に24年ぶりに実施した円安対策での為替介入が全くの無駄玉に終わったことでも明らかであろうと思う。 

 

 そもそもこれまで進んだ円安の根本は米国を中心とする外国の金利が上昇する一方で、日本のマイナス金利政策で長短金利が低位にコントロールされていた金融環境の差から生じたものだというのは周知の通りだ。つまりこの構造が変わらない限り状況が逆転することは期待できないということになる。だから誰しもが日銀の金融政策が緩和から引き締め方向への転換を期待していたわけだ。 

 

 今から思うと3月19日前のマイナス金利解除発表についてはメディア・リークが横行しすぎていたという問題点はあげられる。結局はメディア・リークによって手の内が完全に見透かされてしまい、発表直後からの円売りを容易にしてしまった点は否めない。 

 

 この「マイナス金利政策の解除」というのは目下、日銀が持っている円安対策に使えるツールの中でも「伝家の宝刀」であったのは間違いない。そのウルトラCを早々に使い切ってしまったということは目先の円安対策を使い果たしたと市場に見透かされ、その後は円安が進みやすくなってしまったということになる。円安加速は我々の想像を超える激しい動きとなりつつある。 

 

 

 好調な株式市場や不動産の陰で二極化と家計との乖離(かいり)がどんどん広がっていることは逃れようのない事実であろう。 

 

 消費者物価指数は2%を達成しつつあるものの、極端な円安で長期化する物価高が家計を圧迫し個人消費は明らかに伸び悩んでいる。23年10~12月期の実質GDPは2四半期連続でマイナス成長となり、景気の停滞感が強まっている。ガソリン補助金は何とか延長されたものの、来月には電気・ガス料金の補助制度が終了することで世帯当たり電気代は月額1475円、都市ガス代は455円増加する。このことは家計や小・零細企業に一層の負担となることは必至であろう。 

 

「一億総中流」と言われた時代は終わり、今後は益々二極化が進んでしまうと考えている。二極化が進めば米国のように治安は確実に悪くなるし、それこそ「闇バイト」なる物騒な存在がでてきているのもその表れだとおもう。 

 

木戸次郎 

 

 

 
 

IMAGE