( 159834 )  2024/04/15 00:06:06  
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円安・株高で投資初心者が注意すべきポイントとは(イメージ) 

 

「日経平均株価4万円超え」「バブル超えの株高」──メディアでは連日“好景気”が報じられているが、果たしてそれを実感できている人がどれだけいるだろうか。そもそも、株価だけがいくら上がっても、物価は上がるばかりで、肝心の賃金が上がらない。こんな状況では、庶民が豊かさを実感できるはずはない。 

 

【表】「金利上昇」が企業や私たちの生活に与える影響 

 

 株価のことよりも、家計に直結する「物価」のほうが気になるという人も多いだろう。いまの物価高の背景には、急激な円安によって輸入物価や輸送費、そのためのエネルギー資源の価格が高騰したことなどがある。 

 

 そこに追い打ちをかけるのが、今後「1ドル=160円」まで円安が進むという見立てだ。 

 

 賃金を上げられないまま金利が上昇し円安が進めば、銀行への利払いに加えて原料高も抱えた多くの企業が、少しでも利益を出そうと再度値上げを試みる可能性がある。そうすれば、私たち消費者は「もっと貧乏になる」かもしれない。ファイナンシャルプランナーの松岡賢治さんはこう指摘する。 

 

「ドル円相場は、いつ160円を超えてもおかしくないでしょう。一方で、為替レートはアメリカの金融政策に左右される部分が大きい。アメリカは日本とは反対に、今年2、3回は利下げするとみられているので、日米の金利差が縮小し、むしろ円高傾向になる可能性もあります。 

 

 とはいえ、為替レートが直接物価に影響することは少ないので、円高になったからといってすぐに物価高がおさまるわけではない。事実、昨年の140円台のときも、年初の145円台のときも、物価は変わりませんでした」 

 

 大きな経済的変動が起きているいま、手をこまねいていると「貧乏なまま」でいるばかりか「もっと貧乏」に落ちていくことになる。 

 

 収入増の見込みはなく、物価が下がる期待もできないならば、自ら資産を増やすしか道はない。老後に備えてせっせと貯金をしても、物価高で現預金の価値はどんどん目減りしてしまう。 

 

 資産増のためには、やはり新NISA(少額投資非課税制度)などで投資をするのが効果的。現在人気を集めているのは、全世界の株式に分散投資できる「オルカン」や、アメリカを代表する株価指数「S&P500」に連動する投資信託だ。経済評論家の加谷珪一さんが解説する。 

 

「いずれもドル建てで、海外優良企業に投資するものが大人気です。多くの人が外貨建て投資信託を買っているということは、みんなが“日本株はもうヤバい”と感じている証拠にほかならない。これから資産形成をするなら、日本だけでなく海外にも目を向けるといいでしょう」 

 

 この株高を受けてチャンスとばかりに新たに新NISAや個別株の取引を始める人が激増しているが、いまは初心者は特に慎重になるべきタイミングだ。 

 

「もし今後円高になれば、いまの日本の株価を牽引している輸出企業は業績が下がる。それを受けて株を売る人が増えることで、株価は下がりやすくなるでしょう。もし1ドル=140円程度に円高が進んだら、株価はいまより10%ほど下がっても不思議ではない。日経平均が3万7000円や3万6000円台まで落ち込む可能性も充分にあります」(松岡さん・以下同) 

 

 

 そうなると、日経平均が4万円台のいま、新NISAで日本株の投信に大金を投じるのは“高値掴み”になる。下落で慌てて売ってしまえば、大損していまよりもさらに貧しくなる人も出るだろう。 

 

「積み立て投資は相場の上下に一喜一憂せず、無理のない額を長期で続けることがいちばん大切です。“今後は株価が下がる可能性が高いから、下がってから買うべきだ”ともいわれますが、それは投資に慣れている人の考え方。初心者に株価の見極めは難しく、暴落を待ち続けて、何年も始められない方が損失です。せっかく誰でも投資しやすい新NISAを使うのですから、わざわざ難しく考える必要はありません」 

 

「資金に余裕がないときなどは、新NISAをスパッとやめる勇気も必要」だと、松岡さんは説く。 

 

「新NISAでなくても、資産形成はできます。『iDeCo(個人型確定拠出年金)』は今後70才まで運用できるようになるともいわれているので、いま働いているなら新NISAよりも税制メリットが大きいiDeCoを選ぶのもひとつの手。60才以上なら『個人向け国債』で、より安定的な運用をすることもおすすめです」 

 

 国や企業に期待しても、このままでは富めるどころか貧困は進む一方。目先の数字に惑わされないマネーリテラシーを身につけることが、なによりの資産になる。 

 

※女性セブン2024年4月18日号 

 

 

 
 

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