( 160059 )  2024/04/15 22:17:45  
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撮影:堀内彩香 

 

26歳になった藤田ニコル。長くファッションリーダーとして活躍しながら、バラエティー番組でも人気を博す。昨年は「25歳で」という計画通り、結婚して話題をさらったが、さまざまな変化を感じているという。「結婚してからは、もっと自分のことをオープンに話せるようになって、性格も明るくなりました。ちょっと大人になったかな」。ファッションブランドのプロデュースやジムの経営など、実業家としての側面も目立つが、人生設計は「流れに身を任せて」。にこるん流、“成功の秘訣”とは。(取材・文:山野井春絵/撮影:堀内彩香/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 

 

撮影:堀内彩香 

 

3月初旬、藤田ニコルは新宿駅のショップに立った。クリエイティブディレクターを務めるブランドのリアルショップオープンイベント。熱心なファンが行列をつくり、開店するやいなや飛ぶように洋服が売れていく。スタッフの女性たちに時折アドバイスをする姿は、しっかりと実業家の顔だった。 

 

「スタッフとはちゃんとコミュニケーションを取りたい。距離ができちゃうとよくないので、やりにくいところとか、なんでも全部言ってくださいって伝えてます。みんなで集まって、質問コーナーとかもしましたよ。『インスタのフォロワー、どうやったら伸びますか?』とか、リアルな質問が出たりして、楽しかったです」 

 

年齢の近いスタッフたちが、キラキラした瞳で藤田を見つめている。藤田ニコルと一緒に働くことは、ファッションに携わる若い女性たちにとって、特別感があるのだろう。 

 

撮影:堀内彩香 

 

「ブランドも、ジムのほうも、スタッフには“愛のある伝え方”を心がけてます。何か指摘をするにしても、『ここはすごく上手だよね、だからこっちもこうしてほしいな』とか。私は芸能のお仕事をやっているので、すぐにパワハラとか言われても困るし、結構慎重になるところはありますね。でも、本心で話すようにはしてます」 

 

なぜ、商売の世界に身を投じたのだろう。 

 

「芸能界にいると、社会経験がどうしても薄くなるんですよ。大人としての自覚が身につかないまま、芸能界から離れたときに、何もできないやつが出来上がっちゃう。ってなるのが怖くて、社会のお勉強をするために、経営を始めたっていう感じです」 

 

4年前のインタビューでは、「30歳になったら、表舞台には出ていなくていいから、本当にやりたいことに時間を費やしたい」と語っていた。 

 

 

撮影:堀内彩香 

 

「言ってましたね(笑)。実際わからないので、流れに身を任せます。芸能界で需要がなくなるときが来たら寂しいから、かっこいい自分でいられるように、経営もそうだけど、たくさんお勉強して、いつでも違うことができる準備をしたい。原動力は……ワクワクしかないですね。『なんとかなる』って、自分のことを信じてるんで。もし明日、芸能が無理ってなっても、いける気がする。変な、謎の自信があります。もう貯金もしたし、何かあればそれを取り崩して、新しいことをしようかなとか。悔いがないように、芸能活動は頑張ってます。だからファンにも、会えるときに会っておきなよって、結構言いますね。推せるときに推せよっていう」 

 

モデルから始めた芸能のキャリアはすでに15年。バラエティーでも「ご意見番」的な立場で、遠慮なく発言しているように見えるが、実は常にアンテナを張り巡らせている。 

 

「芸能界って、やっぱり特殊ですよ。会社員とかだったら、まだ先が想像できるかもしれないけど、この世界は怖すぎる。一寸先は闇っていう感じ、本当に。ここがキラキラだとしたら、すぐ下に闇がある。誰かを引きずり下ろそうとする人がすぐそばにいるところで、みんな頑張ってるから。いろんなパターンを想定しながら、ずっと危機管理です。つらいっちゃつらいですね。だから毎日楽しむようにしてます。今日が最後かもしれないなあ……って、そこまで思ってないけど(笑)」 

 

撮影:堀内彩香 

 

26歳になった。30歳が見えてくる年齢だ。 

昨年結婚して、プライベートにも大きな変化があった。 

 

「私って、テレビで見てたら、明るいイメージがあると思うんですけど、前は全然社交的じゃなかったんですよ。人見知りっていう言葉はあまり好きじゃないけど、以前は壁を作っちゃってたので。仕事が終わったらすぐ帰りたかったし、雑誌の撮影でも、お昼ご飯は一人で食べたりしてたし。でも最近は、それがだんだん抜けてきて、もっと人としゃべりたいと思って、オフの時間でも、スタッフの人たちと関わることが好きになりました。自分でも、すごく明るくなったと思います。結婚して、自分には最強のパートナーがいるっていう安心感があるのかも。一人でストレス抱える必要もなくなって、家に帰るのが楽しくなりました」 

 

結婚は25歳でと決めていた。 

インタビューなどでも話すようにして、それが運命の相手の目に入るように心がけていたという。 

 

 

撮影:堀内彩香 

 

「いつ結婚したいかわからなかったら、プロポーズされるかもわからないじゃないですか。だから、いろんな種をまいてました(笑)。25歳で結婚して、20代後半に子どもができたらいいな。30代になったら、子ども服を手がけてみたいな、とか。そういう、フワッとした人生設計を立ててたんですけど、今のところ、順調です」 

 

若い世代には、「結婚する自信がない」という人も多いが、藤田は「あまり考えすぎないほうがいいかも」と言う。 

 

「結婚自体おすすめしようと思わないし、こだわらなくてもいいんじゃないですかね。私は自分で人生を決めました。ダメだったら別れればいいし(笑)。うちは親がバツイチなので、まあ、巻き返せるかなって。だからそこまで重く考えてなくて、したいからしたって感じです。今の人と一緒にいたほうが、たぶん自分は豊かになるなと思ったから。私を扱えるのは、たぶんこの人しかいないと。私は、わがままな部分や、だらしない部分があるから。仕事はちょっとできるかもしれないけど、家帰ったら全然ダメ。ご飯は全部、向こうに作ってもらってます。でも、子どもができたらご飯作ります」 

 

ゴロゴロしていても怒られないから、住み心地がいい、と笑う。夫婦+飼い犬の暮らしは、かなり快適なようだ。 

 

撮影:堀内彩香 

 

「これまではプライベートを隠して……まあ隠さなくてもいいキャラではあったんですけど、もっとオープンになれたので、すごく仕事はしやすいです。楽になりました」 

 

子どもができたら、ママタレ的な位置を目指す? 

 

「ダメです、私。ママタレになりたくないんです。炎上するのが怖いんで。コメント欄、消します(笑)。子どものことになると、いろいろ言われるじゃないですか。なめられそうだし、比べられそう。キラキラ発信しすぎたら、ヤバいと思ってて。だから、ママタレっていうくくりじゃなくて、何か、新しいのを作りたい。自分のライフステージに合わせた仕事はしたいです。それがたぶん、一番うそがないことだと思うから。子どもができたら子ども服もやるし、おばあちゃんになったら、キラキラの杖とか作るかもしれない(笑)。そのときに合ったお仕事の仕方をしていきたいです。需要があれば」 

 

 

撮影:堀内彩香 

 

最近は、トレンドについて質問されることがきつくなってきた、と藤田は苦笑する。 

 

「はやりとか聞かれるのは、きついです。もう、私の今の役割は終わろうとしているから、実際リアルにわかるJKの人とか、若い世代につなげていきたい。『任せた』って思いますね。 

 

撮影:堀内彩香 

 

でもお母さんと一緒にいると、自分はまだ18歳くらいのマインドになっちゃう。『大人たちは~』っていう口癖を使っていたら、お母さんにこの間怒られたんですよ、『もう大人だからね』って。それでハッとしました。しっかりしなきゃなって。30代になったら、契約のハンコとかなんでも理解して押せる大人になっていたい。何も知らなかったから、ビジネスメールの本を買ったり、経営者の友達にいろいろ聞いたりしてます。まだまだお勉強中です」 

 

最近うれしかったニュースは、とにかく明るい安村が再ブレークしたこと。安村とは同時期にブレークしたこともあり、特に仲がいいのだという。 

 

「安村さんって、本当にエネルギッシュで、ずっと面白かったんですよ。あまり表に出ていなかった時期もあったんですが、『好きなお笑い芸人は』って聞かれたら、ずっと安村さんって答えてたし、昔からのファンみたいな。でも当時は全然理解してもらえなくて、『ほかにいますか』って。今はまた大人気だから、本当によかった。昔、青山テルマさんと3人でディズニー行ったときも、七夕の短冊に安村さんが『もう一回売れたい』って書いてたのを見てたから、もう、うれしくてうれしくて(笑)。今は一番忙しくなっちゃったから、3人での食事もヤス合わせ。この間ようやくご飯に行けたんですけど、すごくパワーをもらいました」 

 

撮影:堀内彩香 

 

SNSを開けば、毎日さまざまなニュースに噛みついたり、傷ついたりするコメントがあふれている。藤田の存在感は、良くも悪くも、世の注目を集める。暮らしの中で、心が折れることはないのだろうか。 

 

「うーん、挫折とか、したことないんですよね。そう思ってないだけかもしれないんですけど。落ちても、時間は進むし、その間に頑張る人が出てきちゃう。だったら自分も前に進んだほうが、効率がいい。結局、みんな自分のことが大事で、あんまり人の意見なんて、聞いてるようで聞いてない、みたいな。聞くことも大事だけど、聞かないことも大事。自分の選択が、たぶん一番正しいと思うんですよ。失敗するかもしれないけど、それは自分の成長につながると思って、突き進んだらいいんじゃないですかね。あんまり比較したり、考えたりしなくていいと思います。なんでも自分で決めたらいいと思う」 

 

なぜその若さで、それほどまでに達観していられるのか。そう聞くと、大きな瞳をパチクリさせて答えた。 

 

 

 
 

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