( 160349 )  2024/04/16 14:39:53  
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工事が進むキオクシア北上工場の新棟(2月、岩手県北上市で) 

 

 経営不振が続く半導体大手、キオクシアホールディングスを巡り、東京証券取引所に株式を上場させる案が浮上していることがわかった。半導体業界は競争が激しく、規模の拡大が重要になる。昨秋打ち切られた米ウエスタン・デジタルとの経営統合交渉の再開も視野に入れる。 

 

【図】ひと目でわかる…キオクシアをめぐる構図 

 

 キオクシアは、東芝のメモリー半導体事業の分社化で設立された。株式の過半数を保有する米投資ファンドのベインキャピタルは15日、日本の銀行団と協議を行った。1兆円超を融資している銀行団に対し、上場の検討を伝えた模様だ。キオクシアは、返済期限が6月に迫る最大9000億円規模の借り換えに向けて、成長戦略を示すことが求められている。 

 

 主力とするメモリー半導体は需要が低迷しており、2023年4~12月期連結決算は、最終利益が2540億円の赤字だった。同業他社と競うために必要となる巨額の研究開発費や設備投資を捻出するのが厳しい状況にある。 

 

 上場案が浮上したのは、デジタル化の加速や人工知能(AI)の普及で、データセンター向けの需要が見込まれるからだ。もっとも、キオクシアの業績が上向かなければ、上場は認められない可能性もある。上場時の株価が安く、資金が十分に確保できない恐れもある。 

 

 キオクシアは現在も、かつて統合交渉を行ったウエスタン・デジタルと岩手県や三重県の工場で協業しており、関係は深い。「上場できても、他社との統合は不可欠だ」(キオクシア幹部)との声もあり、引き続き統合の可能性を模索する。 

 

 株式の上場は、これまでも検討されてきた。東芝から分社化されたメモリー半導体事業は、18年にはベインキャピタルや韓国のSKハイニックス、レンズ大手HOYAによる日米韓連合に約2兆円で売却された。 

 

 20年10月を予定した上場は、直前になって延期された。米政府が、キオクシアの主要取引先だった中国通信機器大手に対する規制を強化し、出荷が停止されることによる業績の悪化が懸念されたためだ。 

 

 21年にも上場を目指したが、市況の低迷で難航し、方針を転換してウエスタン・デジタルとの経営統合に向けた協議を始めた。この交渉も、将来の連携を見据えるSKハイニックスが同意せず、実現しなかった。 

 

 

 
 

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