( 160686 )  2024/04/17 14:17:59  
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入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより) 

 

「こちらの事実誤認だと主張していますが、私たちは何も誤解していません。誠実じゃないですよね」──悔しさをにじませて語るのは、今春、いなば食品株式会社の入社辞退したA子さんだ。 

 

【写真】天井からは雨漏り……「いなば食品」ボロボロ社宅内の様子、入社辞退者らのグループチャットのスクリーンショット他 

 

『週刊文春』の報道によると、静岡県内で勤務する予定だった一般職の女性たちが相次いで入社を辞退し、その割合は9割に達したという。「募集要項に給与が22万6000円とあったが、入社の段階になって、『給与は決まっていません』と言われ、あらためて問い合わせると、19万6450円と告げられた」や「静岡の社宅は雨漏りするボロ家」など、いなば食品の労働環境について報じられていた。 

 

“ボロ家ハラスメント”との報道を受けて、いなば食品は4月12日、〈この度は皆様方にマスコミ報道等にてのご心配をおかけ致し、衷心よりお詫び申し上げます〉とホームページで謝罪。今年1月に責任者が亡くなったことが原因で、社宅の改修作業が遅れたと説明していた。 

 

 また、NEWSポストセブン取材班がいなば食品に問い合わせたところ、担当者は「調査中のため、個別の問い合わせにはお答えできません」としつつ、“募集要項に給与が22万6000円とあったが、あらためて問い合わせると19万6450円と告げられた”と報じられた点について、以下のように説明した。 

 

「一般職の方が、総合職のお給料として提示されていた金額と比べて、“金額が低くなった”と事実誤認されたのだと思います」(いなば食品の担当者) 

 

 この“事実誤認”との主張に、前出のA子さんは「許せません」と怒りを示す。A子さんいわく、そもそも総合職の採用面接を受けたのだという。 

 

「募集要項には総合職の待遇しか書いておらず、それを見て私は総合職採用のつもりでいなば食品を受けたのですが、内定後に『一般職採用です』と言われました。なので一般職の給与などについて何度も質問したのですが、『わからない』という回答ばかりでした」(A子さん、以下同) 

 

 戸惑いつつも、「年に一度、総合職に移る機会がある」「家賃8割負担」などと聞いて、一般職で働くことを受け入れたA子さん。しかし、3月27日の入社式で違和感は増すばかりだった。 

 

「世間では“社宅がボロボロだから内定を辞退した”のように思われているかもしれませんが、内定を辞退した一番の理由は、企業としての在り方に違和感を覚えたことです。家賃8割負担と聞いていたのに『やっぱり違います』と言われ、じゃあ結局どうなるのか質問しても『会長に聞かないとわからない』という返答でした。 

 

 入社式が終わったのに給与もわからないままで、社員の方に『(金額を)楽しみにしていてね』と言われましたが、給与の金額ってそういうものじゃないでしょう。また、入社式の日の夜、それぞれの配属部署についてのメールが来て、いきなり工場勤務を命じられました。それまで希望は聞かれませんでしたし、工場で具体的にどんな仕事をするのかもわかりません。 

 

 あまりに説明不足ですし、当初想定していた働き方と全然違う。社宅も洗濯機すらない状況で、『ガスが通っていないから水でシャワーを浴びた』という子もいました。“新入社員を受け入れる体制が整っていないんじゃないか? このまま入社して大丈夫なのか?”と不安になりました」 

 

 

 NEWSポストセブン取材班は、入社式の翌日、静岡本社で新入社員たちが保護者も交えて取締役に抗議した際の音声データを入手した。「こんなところに大事な娘を預けられますか」と訴える保護者に対して、取締役は「東京のほうに担当の部門がある」「私のほうで詳しいことはわからない。自分がわからないことを今ここで発言するのは無責任」と口ごもりながら答えている。 

 

 いなば食品に再び問い合わせたところ、総合職で募集をかけていたことを認めた上で、以下のように回答した。 

 

「総合職での採用には至らなかった方々に『一般職という道もあります』ということでお話させていただきました。ただ、給与面も含めてしっかりとした説明ができず、内定者の方々が(情報を)把握しきれなかったというのは我々の改善すべき点です」(いなば食品の担当者) 

 

 いなば食品の回答については、あらためて詳報する。 

 

 

 
 

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