( 160842 )  2024/04/18 01:33:56  
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写真:LIMO [リーモ] 

 

春は引っ越しの季節です。引越しの際に、「あまりテレビを見ないから」ということで、処分を検討する方がいるようです。 

 

【写真】NHK受信料、実際みんなは払ってるの?推計世帯支払率を見る。「割増金」に対するNHKの説明も 

 

荷物が少なくなれば引っ越し作業も少し楽になりますし、NHKの受信料を支払う必要がなくなり「年間1万2276円(地上波のみ/12ヶ月前払い)の費用が減らせる」というのが理由なのかもしれません。 

 

一般的に「NHKの受信料は、テレビを所有していなければ支払わなくてもよい」と思っている人もいるようですが、本当にそうなのでしょうか。 

 

今回は、NHK受信料の支払いが発生する場合と、2023年4月から始まった「割増金」について解説します。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

NHK受信料については、放送法第64条第1項で『NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は、NHKと受信契約を締結しなければならない』と定められています。 

 

これより、NHKの受信料は、放送そのものを視聴するか、しないかは関係なく、NHKの放送が受信できる受信設備を持っていれば、受信料の支払いが義務付けられることになります。 

 

この場合の、NHKの放送を受信できる受信設備、テレビ以外にどんなものがあるのでしょうか。 

 

●NHK放送が受信できる受信設備とは?  

 ・チューナー内蔵のパソコン 

 ・ワンセグ対応のスマートフォン、パソコン、カーナビ 

 ・テレビ視聴アプリの入ったスマートフォン、タブレットパソコン 

言われてみれば、パソコン、スマホ、タブレット、カーナビなどでもテレビを視聴することができ、NHKの番組を見ることができます。 

 

そのため、NHK受信料の支払いが発生しないのは、テレビ以外に、パソコン、スマホ、タブレット、カーナビなどを持たない場合となります。 

 

もし、テレビを処分したとしても、テレビの放送を受信できる上記の受信設備を持っていれば、NHKの受信料契約が発生します。 

 

なお、ラジオだけの設置であれば、受信契約は必要ありません。 

 

 

NHK受信料については、通信機器がラジオだけという場合を除いて支払う必要があります。 

 

しかし、NHKが発表した『2022年度末 受信料の推計世帯支払率(全国・都道府県別)について』によれば、2022年度の受信料の未納率は全国で「21.7%」。 

 

実際のところ、受信料を支払わない人がいるようです。 

 

そのため、2023年4月より放送法でNHK受信料の未納世帯に対する「割増金」の適用が始まりました。 

 

日本放送協会放送受信規約12条(放送受信契約者の義務違反および割増金等)で詳しい内容を確認してみましょう。 

 

『NHKは、放送受信契約者が次の各号の1に該当する不正な手段により放送受信料の支払いを免れたときは、当該放送受信契約者に対し、支払いを免れた放送受信料に加え、その2倍に相当する額である割増金を請求することができる。』 

引用:NHK受信料の窓口「日本放送協会放送受信規約」 

 

NHK受信料の未納世帯が、上記の規約の「不正な手段により放送受信料の支払を免れた場合」に該当すると、割増金が請求されることになりました。 

 

不正な手段により放送受信料の支払いを免れるというのは、以下の場合が挙げられます。 

 

 ・受信契約の解約に不正がある 

 ・受信料免除に不正がある 

 ・受信機設置の翌々月の末日までに受信契約書を提出しなかった 

割増金は「通常の受信料+2倍相当の受信料」となり、実質3倍相当の受信料を支払うことになります。 

 

次は、NHKが東京都内の3世帯を相手に、受信契約・受信料および割増金の支払いを求めて起こした民事訴訟とその結果についてご紹介します。 

 

NHKは、正当な理由なく受信契約の申し込みをしない世帯に受信契約を行い「受信料および割増金」の支払いを求め民事裁判を提起しました。 

 

その内、1世帯に対して東京地方裁判所は、「割増金」を含む6万8000円余りの支払いと、受信契約を命じました。 

 

裁判所による割増金に関する判断が出たのは初めてのことです。 

 

NHKによれば、今回の民事訴訟の対象になった3世帯に対しての契約締結のお願いは、文書の送付、電話、訪問などで誠心誠意の説明を行ったようですが、理解いただけなかったためのやむを得ずの手段だったと説明しています。 

 

民事訴訟と聞くと「なんだか怖い…」と感じるものですが、その事前段階には、NHK側からは、丁寧な説明があったと思われます。 

 

 

NHKの放送を視聴するといえば「テレビ」と思いがちですが、受信設備はパソコン、スマホ、タブレット、カーナビなど多岐にわたります。 

 

所持していれば、NHK受信料の支払い義務が課されるケースもあります。 

 

今回の、民事訴訟の件をきっかけに、割増金とあわせて確認しておきましょう。 

 

 ・NHK よくある質問集「受信契約とはなにか」 

 ・NHK受信料の窓口「日本放送協会放送受信規約」 

 ・NHK「2022年度末 受信料の推計世帯支払率(全国・都道府県別)について」 

 ・NHK「未契約世帯に対する受信契約・受信料および割増金の支払いを求める民事訴訟について」 

 

舟本 美子 

 

 

 
 

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