( 163319 )  2024/04/25 01:38:02  
00

TBS NEWS DIG Powered by JNN 

 

現在60歳までとされている「国民年金」の納付期間を65歳までに延ばす案を、厚労省が議論しています。延長した場合、支払い額は単純計算でおよそ100万円増えることに。負担に見合った給付を将来受けられるのか、若者からは不安の声も聞かれました。 

 

【写真を見る】「国民年金」納付期間“5年延長案”を厚労省が議論 単純計算で約100万円負担増 見合った給付は受けられるのか? 若者からは不安の声も…【news23】 

 

■国民年金で納付延長案 大丈夫?100年安心の年金改革 

 

1500円で5時間歌い放題、ドリンク付きのカラオケ店に集まるのは年金受給者たち。生活ぶりを聞いてみると... 

 

年金受給者 

「年金だけじゃ食べていけません。食べるのがやっと。小遣いはないです」 

 

客(94) 

「私はおかげさまで自分の思い通りに、いつの間にか長生きしちゃったって感じよ。今の若い人は大変よね。私は先がないから言いたい放題だけど」 

 

老後の生活で頼らざるを得ないのが年金です。20歳から60歳までのすべての人が加入し、40年間保険料を納めている国民年金。厚労省は納付期間を5年間延長することを検討しています。 

 

立憲民主党 大西健介議員 

「国民年金の保険料は現在月額1万6980円ですので、単純計算で5年で約100万円負担額が増加することになります。かつて自公政権は100年安心の年金改革と言っていたのに100万円国民負担が増えるということを検討するのは約束が違うんじゃないですか」 

 

岸田総理 

「ご指摘の点は議論の材料に供する様々な試算のうちの一つであります。現状において年金の改革について決まったものはありません。様々な試算を議論の充実に供するために用意をするということ自体を否定するということもいかがと思います」 

 

延長案は、公的年金の将来の給付水準を点検するため、5年に一度行われる「財政検証」の一環で試算されるもの。検証結果は夏頃に公表される見通しですが、私たちの将来にどう影響してくるのでしょうか。 

 

自営業(62) 

「払いたくないっていったら払いたくないかもしれないけど、今の人たちのために払わなきゃいけないわけでしょ?それは仕方ないですよね。我々としては担わないといけないっていう部分もありますよね」 

 

 

会社員(53) 

「嫌だよ、大変だと思う。若者がいないので、仕方ないとは思います」 

 

福祉関係(24) 

「払ってそれが返ってくるか不安ですね。年金は年々減っているイメージですね」 

 

大学生(20) 

「(納付期間が)延びるのはちょっと嫌ですね、正直。多分、自分たちがもらう世代になったときは、もうあまりないかもしれない」 

 

会社員(30) 

「100万も払わなきゃいけないなんて嫌だなっていうのが率直。前に(老後)2000万必要みたいなこと言ってたじゃないですか。それを聞いて貯めなきゃなと思って貯めてます」 

 

■国民年金 納付5年延長案 受給額は? 

 

藤森祥平キャスター: 

現行の国民年金についてです。現在は20歳から60歳の方々が40年間で満額支払って、受け取り額が月額6万8000円です。現行の保険料の支払いは月額で1万6980円になっているのですが、今回の見直し案を5年間延長し、総額で納付額が約100万円負担が増えるということです。なぜ今、延長案が必要なのでしょうか。 

 

社会部 厚労省担当 岡村仁美 記者: 

将来的な国民年金の支給額を増やそうとしています。国民年金の月額の平均の支給額は5万6000円。一方、厚生年金の加入者は平均で14万5000円です。これだけの差がありますので、低年金で生活の苦しい方を減らすために、国民年金の受給額の底上げをしたいというのが狙いです。前回の試算によりますと、年間で約10万円、月額で約8000円増えるという計算になります。 

 

藤森キャスター: 

今回の案で影響が出てくるのは、国民年金だけを支払っている自営業などの方々です。企業などに勤めている厚生年金に加入している人たちは、実際に負担は変わりがないということになります。企業に勤めている人たちは、国民年金・基礎年金も受け取れる人たちだからです。大きく差が出るのではないかという見方があります。 

 

社会部 岡村 記者: 

影響が出るのは国民年金の方だけではありません。ベースとなる基礎年金の支給の半分というのは、税金で賄われています。納付期間の5年延長によって、国庫負担の税金が1兆円余り増えるのではないかという試算もありまして、1兆円をどうやって捻出するのか。税金ですからみんなにかかってくるということになりますね。 

 

 

■年金制度に不信感 現役世代は負担増 

 

藤森キャスター: 

年金制度に対する不満、不信感の声もあります。1990年は65歳以上を現役世代5.8人で支えているということでしたが、2025年になると2人で1人を何とか支えようと、年々かなり負担が増えています。 

 

小川彩佳キャスター: 

若い世代の不信感や不公平感というのは、理解できる話でもありますし、あてにしていないという方もいらっしゃるみたいですけれども、かなり世代間ギャップもありますよね。 

 

ジャーナリスト 澤 康臣さん: 

当然、不信感や不満があると思います。ただ気をつけないといけないのは、「現役世代VS高齢者」みたいな、世代間の「敵か?」「味方か?」「どっちの味方?」「何のため?」というのは非常に大切な議論だと思います。これは打倒するかされるかみたいな折り合いをつけないと議論が回らないのに、ちゃんとした議論ができなくなってしまう。私たちの伝え方や、政治の議論の仕方も問われているのではないのかなという気はします。 

 

小川キャスター: 

家族のあり方というのも今変わっている中で、その観点からも考えていかなければならないことがありますよね。 

 

ジャーナリスト 澤さん: 

4月19日から3日間、性的少数者の方々の取り組み「レインボープライド」がありました。家族の形、そういうものも含めて大きく変わっています。昭和の時代には考えられなかった大きな変化ですよね。考え方も含め、その時代から我々はもう卒業していないといけない。誰か1人にもし何かあっても、「サザエさん」のような大きい家族だったらみんなでできたかもしれない。今は2人レベルの世帯。そうすると1人が何かあったらじゃ済まない。社会全体で支えるというふうに、急いで切り替えていかないといけないところなのだと思います。 

 

小川キャスター: 

ただ、実際今の年金制度は既につぎはぎ状態になっているという感覚があります。さらに、制度の変更があって、この後も制度がどこかで変わっていくことがあるかもしれないことを考えますと、実際現役世代が年金を受け取るときの支給額はどうなるのか。言われている通りの額を本当に受け取ることができるのか。皆さん不安に思われていると思うんですけれども。 

 

 

社会部 岡村 記者: 

どんどん制度も複雑になっているという部分もあると思うんですけれども、今回試算をする65歳までの延長についても、現役世代の受け取る額が減らないようにするということが根幹にはあります。延長をしないと、将来的には3割ほど基礎年金の給付が減るという試算もありまして、どうにか今の給付水準を保つためには、何か制度をいじっていかないといけないという局面にはあるわけですよね。 

 

藤森キャスター: 

何となくやらなきゃいけないこと、その大義とか狙いはわかるんですけれども、でもこのモヤモヤとした不信感がある中で政治と金の問題もあって、まともに説明をまだ受けていないような気もしていて。 

 

ジャーナリスト 澤さん: 

そもそも制度が、増築・改築を重ねた建物みたいになっていて、よくわからない。わからないものにお金を払うってのは怖いと思うんですよね。しかも今、問題になっているのは「政治と金」、つまり裏金です 

。嘘をついているわけですよね。そうなるとまさに不信です。そこに自分たちの大切なお金を払ってくれという議論は本当になじまない。つまり、透明で情報を開示してわかってもらう。メリット、デメリットも含めて包み隠さず説明するということが、最初の一歩なのではないかなという気がしています。 

 

小川キャスター: 

制度設計、そして説明で不信感を払拭してほしいですよね。 

 

======== 

岡村仁美 記者 

TBS報道局社会部 厚生労働省担当 

双子の育児をしながら子育て関連のニュースを取材 

 

澤 康臣さん(ジャーナリスト) 

早稲田大学教授 元共同通信記者 

パナマ文書報道など数多くの調査報道を行う 

 

■「みんなの声」は 

 

NEWS DIGアプリでは『年金制度』などについて「みんなの声」を募集しました。 

 

Q.現行の年金制度 どう思う? 

 

「修正しながら続行」…32.2% 

「抜本的に見直す」…54.9% 

「廃止すべき」…9.4% 

「その他・わからない」…3.5% 

 

※4月23日午後11時22分時点 

※統計学的手法に基づく世論調査ではありません 

※動画内で紹介したアンケートは24日午前8時で終了しました。 

 

TBS NEWS DIG Powered by JNN 

 

 

 
 

IMAGE