( 163906 )  2024/04/26 16:04:52  
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きらぼし銀行 

 

 地方銀行「きらぼし銀行」(東京)が会社社長による4億円超の不審な送金を見過ごした疑いのある問題で、社長から別に送金依頼を受けたメガバンク1行が取引を監視するシステムで異常を検知し、送金を拒否していたことがわかった。きらぼし銀行では同様の措置が取られないまま、口座残高が底をついたとみられる時点まで送金が続けられており、金融庁は同行側から事情聴取を行うなどして一連の対応を確認している。 

 

【図解】問題となっている「きらぼし銀行」を利用した送金の構図 

 

 社長は2022年、SNSで知り合った人物から投資を勧誘され、会社資金約7億5000万円を複数行の個人口座に移動させた上で、外国人名義を含む多数の口座に送金。このうち約4億6000万円を送ったきらぼし銀行では、犯罪収益移転防止法などに基づく送金目的などの確認が不十分だった疑いがある。 

 

 関係者によると、社長から支店窓口で送金依頼を受けたメガバンクでは、社長が「不動産の購入」などと目的を説明したことを受けて22年5月から複数回送金を実施した。その後、社長が複数の外国人名義の口座に1000万円ずつ送る依頼をしたことなどから、送金を監視するシステムが異常を検知。商取引では金額に端数が出るのが一般的だが、社長の依頼は端数のない「ラウンド数字」が多かったことも踏まえ、それ以降の依頼を拒否したという。 

 

 きらぼし銀行への依頼も、一日のうちに多数の口座に高額の資金を送ることがあった上、大半が「500万円」などのラウンド数字だった。だが同行では、支店から本店に報告が上がったり、異常に気付いたりすることもないまま、約80回にわたって計約4億6000万円を送っていた。送金先の口座の大半は、のちに捜査機関から「犯罪に使われた疑いがある」と認定されたが、資金はほぼ全額が引き出されていた。 

 

 金融庁もメガバンクが社長の送金依頼を拒否していた事実を把握。これも踏まえ、きらぼし銀行の不正対策の体制などについても確認を進めている。 

 

 きらぼし銀行は取材に、一連の対応について「回答は差し控える」とコメントし、「犯収法、当局ガイドラインや行内の規定・マニュアルに沿って適切に対応している」などとしている。 

 

 

 
 

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