( 164376 ) 2024/04/27 16:13:15 0 00 岸田内閣の支持率25%続く低迷
NNNと読売新聞が今月19日から21日まで行った世論調査で、日米首脳会談後も岸田内閣の支持率は25%と低迷が続いています。そのようななか迎えた衆議院の3補欠選挙。自民党内からは「全敗でも仕方がない」とのあきらめと同時に、敗戦した場合「幹事長が責任を取るのが当然」という声も聞こえます。後任として期待されている人物とは―。日本テレビ政治部の竹内デスクと菅原解説委員の同期コンビが解説します。
【動画】幹事長に石破氏?狙いは支持率アップだけではない
内閣支持率の推移
【竹内】 岸田首相の訪米後、内閣支持率はどうなるかと世論調査の結果に注目していましたが、今回もまた横ばいの25%でした。去年11月に岸田内閣が発足して以来初めて20%台となって以降、この半年間ずっと20%台が続いています。 【菅原】 ここが岩盤ということでしょうか。 【竹内】 確かにそういうことをいう人もいます。ある野党議員は「底を打った。岩盤にあたっている。ここからは落ちないのでは」と話していました。 【菅原】 一方で、「支持しない」という回答は過去最高で、また伸びていますよね。 【竹内】 そうなんです。今回、岸田内閣を「支持しない」と答えた人は66%で、前回3月の調査よりも4ポイント上がりました。これは岩盤の支持層とは別の、特定の党派を支持しない、いわゆる無党派層が離れていったという見方ができます。
日米首相会談でバイデン大統領と握手を交わす岸田首相
【菅原】 岸田首相の訪米前は、「得意の外交で支持率アップも」といっていた人もいました。実際、他社の調査では上がったところもありますね。 【竹内】 そうなんです。共同通信、テレビ朝日や朝日新聞、毎日新聞は数ポイント上がっています。私たちの調査で支持率は横ばいでしたが、日米首脳会談について「評価する」が55%と、訪問自体の評価は低いわけではありませんでした。 【菅原】 永田町の反応はどうですか? 【竹内】 野党議員は「訪米があったからこそ、今までよりは下がらなかったのでは」という見方をしていました。一方で、首相に近いベテラン議員は、「やはり訪米だけでは上がらない」と分析していました。“政治とカネ”の問題で、岸田首相は自民党内の処分を決めたうえでアメリカに行くことにより、“ちょっと、ひと息つく”ことを狙っていたと思います。その意味では、支持率が上向いているところもありますし、私たちの調査でも下がりはしませんでしたから、「局面が良い方向に変わった」とまではいえないものの、「現状維持は何とかできた」という見方はできるかと思います。実際、首相の周辺は「海外訪問で大きく上がることはない」と、冷静に受け止めているようでした。
応援のため島根県入りした岸田首相
【菅原】 次のポイントとしては、補欠選挙があると思いますが、情勢は今のところどうですか? 【竹内】 ここでもやはり、“政治とカネ”の問題が大きく影響しています。そもそも自民党は、東京15区と長崎3区には公認の候補者を立てられず、いわば“不戦敗”のカタチとなりました。なんとか島根1区は公認候補を立てましたが、今のところ“劣勢”という分析です。 【菅原】 “島根でも負ける”というのは、かなり自民党にとって大きいことですよね。 【竹内】 そうなんです。島根といえば“保守王国”と言われていて、竹下元首相をはじめ、青木元官房長官や、櫻内元衆議院議長、細田前衆議院議長と、そうそうたるメンバーを輩出しています。しかも、自民党は衆議院の小選挙区で、島根では負けたことがありません。2009年に当時の民主党が政権を取ったときでさえ、島根の小選挙区で自民党の候補者は負けませんでした。ですから、その島根で劣勢ということは、それなりのことだといえます。
【菅原】 今回、3敗となれば、さすがに政局ということになりますか? 【竹内】 もちろん負けることは政権のダメージにはなると思いますが、ずっと自民党は低迷が続いてますよね。岸田政権はもちろんですけれど、自民党自体の低迷も続いているので、もはや“負け”は織り込み済みになってしまっているところもあります。首相を支える議員の一人も「全敗でも仕方がない」といっていますし、政権の幹部も「『今回ばかりは自民党にお灸を据えてやろう』という、“うねり”がすごい」と話していました。 【菅原】 そうすると、すぐに“岸田おろし”はなさそうですか? 【竹内】 そうですね。やはり自民党議員の中には「岸田首相では選挙は戦えない」という人が、それなりにいることはいます。ただやはり、首相の側近は「自民党自体が沈んでいるのに、『岸田首相さえ代えればよい』という状況ではない」と分析しています。また、政局に強い自民党議員のひとりは「“ポスト岸田”がいないなかでは、政局にはならない」と話しています。補欠選挙で負けたからといって、「すぐに首相を代えよう」とまではいかないという見方が多いのです。
茂木幹事長
【菅原】 では、今の閉塞感を打開するために、自民党は何が必要と考えているのでしょう。 【竹内】 取材をすると、首相を支えている議員のひとりは「この局面を転換するには人事しかない」と。 【菅原】 それは党役員人事、内閣改造までやるということですか? 【竹内】 今は通常国会の会期中ですから、大規模なものにはならなそうです。ただ、この補欠選挙に不戦敗を含めて全部負けた場合、“茂木幹事長を交代させる”という見方が出ています。自民党の幹事長経験者の一人は「選挙に負けたら幹事長が責任を取るのは当然だ」と話しています。 【菅原】 ですが、それこそ“状況を打開できるような人”を充てないと意味はないということになりますよね。 【竹内】 首相の相談にも乗っている、あるベテラン議員は、後任について「もう石破“幹事長”しかないだろう」と言い切っていました。
「次の自民党総裁には誰がふさわしいか」2024年3月調査
【竹内】 ここ最近の世論調査では「次の自民党総裁にふさわしいのは誰か」と聞くと、ずっと石破氏が1位でした。具体的には去年12月、今年2月、3月の3回聞いて、いずれも1位は石破氏でした。やはり、自民党としても世論を無視できないということだと思います。
石破氏に“冷ややか”な麻生氏
【菅原】 選挙が近くなってくると余計、“世論で人気のある人”という気持ちが強くなってくるのは、そうだと思いますが、麻生副総裁は石破氏が“ダメ”ではないですか。 【竹内】 そうなんです。麻生氏と石破氏の関係が良くないというのは、ある意味、永田町では有名な話です。実際に、麻生氏の周辺は「石破さんとはやっぱりウマが合わない」と。「(麻生氏は石破氏を幹事長などの)要職に起用することには後ろ向きだろう」と評価しています。一方で、石破氏と親しい議員は「石破“幹事長”なんて言ったら麻生さんは怒っちゃうだろう」といっていました。そこはそんなに簡単ではなさそうですね。ただ、政権の中枢は「人事なんてやるときには、麻生さんに気を使わずにやらないといけないんだ」と。「石破さんや小泉進次郎さんみたいな、オールスターの人事をやらないといけない」と話しています。つまり、ここまで低迷しているのだから、「誰が誰のことを嫌い」ではなくて、思い切った人事をやらなければいけないというわけです。
【菅原】 人事をやって、顔ぶれを一新させて、支持率がちょっと上がったところで解散・総選挙というのは、よくあるパターンです。今年は総裁選も控えている中で、それはありそうですか? 【竹内】 支持率が回復して「これは選挙で戦えるのではないか」というぐらいまでいけば、ありえなくはないんでしょうが、そこまで楽観的な見方はあまりありません。政府関係者の一人は「『人事をやって解散に打って出る』という人もいる」とは認めていますが、「現実には厳しいだろう」と話しています。別の政府関係者も「人事をやってから解散というのは聞くけれども、難しいよね」と。
石破元幹事長
【菅原】 そうなると、石破氏を幹事長に取り込むメリットは、“ちょっと支持率上がるかもしれない”というのと、もうひとつは9月の総裁選に出られないように、石破氏を“封じる”というような側面もありますか。 【竹内】 そうだと思います。世論では“有力な次の総裁候補”と見られているわけですから、有力な対抗馬になり得る石破氏を、岸田さんからすれば、身内に取り込むことによって「封じ込めておきたい」と狙っているようにも見えますよね。実際、首相の相談にも乗ってるベテラン議員も「人事をやって解散に打って出るにしても、それができなくて、そのまま総裁選を迎えるにしても、石破氏は取り込むべきだ」と話しています。 【菅原】 石破氏自身は幹事長を受ける気持ちはあるのですか? 【竹内】 その見方は分かれています。石破氏の周辺は「岸田さんの“延命”に手を貸すことになる」と否定的に見ている人もいます。一方で、自民党の関係者は「そんなことをいってる余裕は(自民党には)ないんだ。自民党の底力を見せられるような布陣にしないといけない。石破さんは自民党が苦しい時には断らない」と話しています。 【菅原】 では、実際に人事に着手するとしたら、日程は? 【竹内】 今回の補欠選挙が終わると、連休中、岸田首相はヨーロッパと南米を訪問します。首相に近い議員は「人事をやるにしても連休明けになる。海外訪問中に人事案を考えるしかない」という見方を示していました。
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