( 165358 )  2024/04/30 15:08:59  
00

近鉄宇治山田駅に到着し、見送りの人たちに手を振られる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=3月27日、三重県伊勢市(代表撮影) 

 

伊勢神宮内宮の参拝に向かわれる秋篠宮ご夫妻=2022年4月、三重県伊勢市(代表撮影) 

 

伊勢神宮内宮の参拝に向かわれる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=3月26日、三重県伊勢市(代表撮影) 

 

伊勢神宮内宮の参拝に向かう秋篠宮家の長男悠仁さま=2022年10月、三重県伊勢市(代表撮影) 

 

近鉄宇治山田駅に到着し、見送りの人たちに手を振られる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=3月27日、三重県伊勢市(代表撮影) 

 

伊勢神宮内宮の参拝に向かう秋篠宮家の長男悠仁さま=2022年10月、三重県伊勢市(代表撮影) 

 

伊勢神宮内宮に到着された秋篠宮ご夫妻を迎える関係者=2022年4月、三重県伊勢市 

 

 天皇、皇后両陛下の長女愛子さま(22)の伊勢神宮訪問は、随所で多くの人が集まり、人気の高さがうかがえた。現地で気付いた点が一つあった。参道での一般客の立ち入りが制限されたことだ。秋篠宮家の長男悠仁さまの際は、この制限はなかった。一見すると愛子さまの方が皇族として重んじられているような印象を受けるが、この違いは一体、どこから来ているのか。各方面に聞き、取材をしていくと…(共同通信=大木賢一) 

 

感受性と文才、東大も狙えた愛子さまの「資質」 15年見続けた記者、圧巻の会見に抱いた深い感慨 

 

 ▽皇太子並み 

 

 伊勢神宮は、天皇と皇太子が参拝する場合、入り口に当たる宇治橋から先の内宮全体を立ち入り禁止にしている。 

 

 私は2022年4月の秋篠宮ご夫妻による参拝も見たが、この際も内宮全体の立ち入りが禁止され、ご夫妻が宇治橋を車で渡っていくのを見送った。秋篠宮さまは皇嗣。なぜこの対応になったのか。伊勢神宮はこう説明している。「皇嗣殿下は皇太子殿下と同等なのでそのようになった」。「同等」というのは、皇室典範特例法が皇嗣について「皇太子の例による」と定めていることを指す。 

 

 2022年10月訪問の悠仁さまの場合は制限がなかった。私は記者として、内宮の一番奥にある「御正殿」の石段下で待ち構え、歩いてきた悠仁さまの様子を一般客と一緒に間近で見た記憶がある。 

 

 今回の愛子さまは、内宮の参道を三分の二ほど入ったところにある「第二鳥居」で車を降りたが、一般客の立ち入りはここまで。報道陣もカメラ以外は奥に入れず、この場所で愛子さまを見送った。悠仁さまとの違いが気になった。 

 

 ▽「皇族に差はなし」 

 

 この違いはなぜ生じたのか。 

 

 伊勢神宮の広報室に質問したところ、こんな答えが返ってきた。 

 

 「両陛下と皇太子ご夫妻、皇嗣ご夫妻は別格ですが、それ以外の皇族方に差は設けていません。 一般客の制限は、あくまでその時々の警備や誘導の都合から決めています」。言い換えれば、愛子さま訪問は多くの人出が見込まれたため、その分だけ制限を厳しくしたということになる。 

 

 ▽身位規定なし 

 

 だが、私には別の疑問があった。皇族の身分に当たる「身位」のことだ。 

 

ご本人たちには失礼かもしれないが、天皇の娘という内廷皇族である愛子さまと、宮家の長男である悠仁さまとでは、そもそもどちらの身位が上なのか。 

 

 かたや宮家といえども順位2位の皇位継承資格者で、父は皇太子同等の皇嗣。かたや継承権こそないものの内廷皇族である天皇の娘。実際のところ皇室の中でどちらが重い身分なのかというと難しい。悠仁さまが18歳を迎え、成年皇族になったらまた事情が違ってくるような気もする。 

 

 

 では、今現在の全皇族の身位はどういう順番になっているのか。せっかくなので宮内庁報道室に正式に文書で質問してみたが、約2週間後に受け取った回答にがっかりした。 

 

 「身位については明確な規定がなく、身位の順序について定めた規定もありません」。皇后さま以下の皇族がどういう順で並んでいるのか、はっきりとは決まっていないというのだ。 

 

 規定がないのなら、一般参賀での立ち位置や、園遊会での並び順はどうやって決めるのか。この点を尋ねると「行事等での皇族方の並び方については、旧皇族身位令や、その他の過去の前例を参考に、その都度決定しています」とのことだった。 

 

 ▽旧法令の序列 

 

 参考にしているという「旧皇族身位令」とは、1910(明治43)年公布の法令のことだ。皇族の「班位」を次のように定めている。「班」は「順序」を表す。それによると、順序はこうなっている。 

 

 第1、皇后 

 

 第2、太皇太后 

 

 第3、皇太后 

 

 第4、皇太子 

 

 第5、皇太子妃 

 

 第6、皇太孫 

 

 第7、皇太孫妃 

 

 第8、親王、親王妃、内親王、王、王妃、女王 

 

 上皇后や皇嗣の現行法上の位置づけと皇位継承順を勘案して、これを現在の皇族に当てはめてみると、次のようになると思われる。 

 

 1、雅子さま 

 

 2、美智子さま 

 

 3、秋篠宮さま 

 

 4、紀子さま 

 

 5、悠仁さま、常陸宮さま、華子さま、百合子さま、信子さま、久子さま、愛子さま、佳子さま、彬子さま、瑶子さま、承子さま、絢子さま 

 

▽皇室典範では? 

 

 では、皇室典範に照らすとどうなるか。現行の皇室典範には身位に関する規定はないが、序列に関係しそうな箇所として、第2条「皇位継承順」、第5条「皇族の範囲」、第17条「摂政の順序」がある。 

 

 例えば「摂政の順序」を見ると、摂政になれるのは成年皇族だけなので、現在のところ愛子さまの順位が上だが、悠仁さまが成人すれば悠仁さまが上になる。 

 

 

  「皇族の範囲」でも、「親王」が「内親王」より先に出てくるので、悠仁さまが優先されると言えそうだ。「皇位継承順」に至っては、女性である愛子さまに継承資格はないので、登場すらしない。 

 

 調べてみて、予想以上に女性の地位が低い印象を受けたが、結局のところ、愛子さまと悠仁さまのどちらの身分が重いのかというと、決まっていないというのが結論のようだ。 

 

 今年春の園遊会には、愛子さまが初めて参加し、並び順は、紀子さま、愛子さま、佳子さまの順だった。悠仁さまは秋の園遊会では成年皇族となっているが、学校があるので参加しないかもしれず、来年1月の新年一般参賀でデビューする可能性が濃厚だ。 

 

 今年2月の一般参賀では、中央から右に、天皇陛下、皇后さま、愛子さまが並び、左には秋篠宮さま、紀子さま、佳子さまが並んだ。悠仁さまのデビューで、この立ち位置がどう変わるのか、注目される。 

 

 

 
 

IMAGE