( 165503 )  2024/04/30 17:53:54  
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【阪神-ヤクルト】ヤクルトに競り勝ち、今季3勝目を挙げた先発の大竹耕太郎(左)を迎える阪神の岡田彰布監督=27日、甲子園(松永渉平撮影) 

 

米大リーグ・メッツ傘下3Aシラキュースに所属する藤浪晋太郎投手(30)の阪神への電撃復帰のシナリオが、近未来に始まる可能性があります。藤浪は制球難でマイナー降格後も調子を取り戻せず、25日のガーディアンズ傘下3Aコロンバス戦では、⅓回を1安打4四球、1暴投で6失点。続く28日のコロンバス戦でも⅓回2安打2四球2失点と炎上し、防御率15・88と壊滅的な状況です。メジャー再昇格は絶望的で選択肢の一つが日本球界復帰ですが、メッツが「藤浪を手放す環境が7月下旬に来る」と大リーグ関係者は話します。その時の受け皿は「岡田阪神」しかありません。 

 

【写真】なんでここにいるの…?ブルペンで投球する藤浪晋太郎を見つめる阪神新人選手たち 

 

■10試合で8勝1敗1分け 

 

すごく強い!という印象はありません。でも28日のヤクルト戦(甲子園)にも4-3で競り勝って、ここ10試合の成績は8勝1敗1分け。この間、相手をねじ伏せたような試合は19、20日の中日戦(甲子園)だけで、あとは競り合いながら終わってみれば勝っている試合が続いています。そして、いつの間にか貯金は5(14勝9敗3分け)まで膨らんでいます。 

 

虎党待望の語録を23日のDeNA戦(横浜)の試合後から再開した岡田彰布監督(66)は、勝ってハシャグわけでもなく、淡々と試合を振り返っています。ただ、しばらく語録を封印した反動からか、言葉の中に「ハッキリ言うて」と「お~ん」の登場回数がメチャ多く、これが勝利の余韻に浸るファンからすればたまらない味!なのです。さすがに天下人は〝庶民〟の気持ちをよく理解されていますね。 

 

■悪夢の防御率15.88 

 

さて、阪神が好調な一方で、海の向こうで怪投!?する元虎戦士の状態は一向に上がってきません。今季、1年契約の年俸335万ドル(約5億300万円=為替レートは入団合意時)で大リーグ・メッツに入団した藤浪の苦戦が続いているのです。 

 

メッツとの契約では、年俸以外にも出来高で最大85万ドル(約1億2800万円=同)が支払われる付帯条件がついていました。一方でメジャー保証はなし。それがアダ!?になったのか、制球難でシーズン早々にマイナーに降格しました。3Aでも悪癖は悪化の一途。登板した直近4試合は全て失点し、防御率は15・88というとんでもない数字になっています。 

 

もはやメジャー再昇格は夢のまた夢。28日現在、メッツはナ・リーグ東地区で14勝13敗で、ブレーブス、フィリーズに続く3位につけています。まだまだシーズン序盤とはいえ、チームは上位争いに生き残らなくてはならず、ボールがどこに行くのか見当もつかない右腕を再起用する可能性は薄いでしょう。 

 

 

昨季は7月にアスレチックスからオリオールズに移籍し、その後は30試合に登板。中継ぎの一角としてチームの地区優勝に貢献しました。その時のような投球が継続できていれば、他のメジャー29球団のどこかが興味を持つかもしれませんが、現状の姿であればそれも絶望的ですね。 

 

■メッツには渡りに船 

 

では、藤浪の今後はどうなるのか。メッツは今季、藤浪に約5億円の年俸を支払います。本人から辞めたい-と言ってこない限り、支払いは続きます。大リーグの年俸は日割り計算で、シーズン稼働期間中に全額が支払われます。なのでシーズンが3月下旬からスタートし、9月末に終了となれば、約6カ月で全額が支払われるので、藤浪の場合は月ベースならば約8300万円ぐらいですか。たとえば、このままの状況で4カ月が経過したとすれば、メッツは約5億円のうち3億3千万円余りの支払いを終えます。 

 

その時はちょうど、7月下旬を迎えていますね。日本のプロ野球のシーズンにおけるトレードと新規契約が可能な期限は7月31日です。もし、日本のプロ野球のどこかの球団がメッツに対し、トレードマネーを支払う形で藤浪の譲渡を申し入れたらどうなるでしょうか…。 

 

メッツとすれば、①メジャーでとても使えない②3Aでも敗戦処理でしか起用できず、他の投手陣への負担が増す③2Aや1Aに降格させることも年齢的に厳しい④年俸の支払いの大半が終わっていて、残りの年俸の何%かをトレードマネーで補塡(ほてん)できる-という悪くない放出条件がそろうことになります。日本のプロ野球界から譲渡要請が来れば、それはメッツにとっては渡りに船の可能性があります。 

 

■受け入れ先は古巣一択 

 

しかし、この設計図には大きな疑問が浮上してきます。果たして制球難の藤浪をトレードマネーまで支払って獲得に向かう球団があるのだろうか?です。現状の姿を見ると、それこそ1千万円のトレードマネーすら惜しい気がしませんか。そのままシーズンが終われば、藤浪はフリーになりますね。何もシーズン中に急いで獲得に向かう必要性はどこにもありません。 

 

 

ただ、一部の大リーグ関係者によると、「藤浪の代理人のスコット・ボラス氏とメッツとの水面下の話し合いが近い将来、始まるだろう」と言うのです。メッツとすれば、藤浪を在籍させ続けることにネガティブな背景が生まれるのであれば、シーズン終了を待つよりも早めに対応した方がいいとジャッジするのではないか。無償トレードで放出することも選択肢の中に入ってくるのでは-という読みです。そして、藤浪の新たな受け入れ先は「岡田阪神」一択になるはずです。他の11球団が今の藤浪に触手を伸ばす可能性は皆無でしょう。 

 

■藤浪再生プラン 

 

岡田監督は2022年のシーズンオフ、15年ぶりに阪神監督に復帰しました。ちょうどその時、藤浪はポスティングシステムを利用して大リーグのアスレチックスに年俸325万ドル(約4億2千万円=同)で移籍しました。岡田監督と藤浪は微妙にすれ違ったのです。もし、藤浪に救いの手を差し伸べるのであれば、それは古巣の阪神しかないでしょう。そして、自分の手で藤浪を再生する…というプランが目の前に現れた時、名将はそこから目を背けることは絶対にしないはずですね。 

 

なので、ボラス氏とメッツとの「藤浪去就会談」は7月下旬の岡田阪神復帰を念頭に置いて、近未来にスタートを切る…と大リーグ関係者は見ています。藤浪の「7・31」阪神電撃復帰シナリオは、フィクションとは言い切れない状況がそろいつつありますね。 

 

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【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。 

 

 

 
 

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