( 165553 )  2024/05/01 00:29:18  
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日本維新の会・馬場伸幸代表 

 

関西テレビの東京駐在・鈴木祐輔記者が、今注目されている重要人物たちにじっくり話を聞き、ホンネに迫るシリーズ。第2回の取材相手は、日本維新の会・馬場伸幸代表。大阪17区選出の関西議員である。 

 

2023年の統一地方選では大躍進を見せた維新だが、最近は伸び悩んでいる。FNN世論調査を見ると、維新の政党支持率は同年6月に9.3%を記録するも、2024年3月には半分足らずの4.4%まで下落した。4月にはやや回復して5.0%となっている。 

 

伸び悩みの原因は、維新が推し進めてきた「大阪・関西万博」にあると言われている。維新は次期衆院選の目標として、「野党第一党」「与党過半数割れ」を掲げるが…将来への戦略を聞いた。 

 

関西テレビ・鈴木祐輔記者 

 

―Q.万博で向かい風になっているのは、代表も感じているんですか? 

 

【馬場代表】「全然ないね。我が党の支持率って、国政とか統一地方選挙とか、大型選挙があってグーッと上がっていくんだよね。選挙が終わって3カ月、半年経つと、ヒューッと支持率が下がっていく」 

「鈴木さんは特に万博を絡めて『維新がアカン』という論調を張ってはるけど、ほんまにアカンのやったら、(3月の)鳥取県議会補欠選挙、みんなが『万博アカン』と思ってるのやったら通れへんと思うけどね。1億2000万人のうち1億人が反対してるんと違うから。ネガティブとポジティブの両方の情報を発信していくのは、メディアの皆さん方のお仕事違うかな」 

 

―Q.ものすごく力を入れてきた万博が、ものすごい批判を浴びた。内心『ちょっとやばいな』とは思いませんでしたか? 

 

【馬場代表】「全然ないな。必ず盛り上がるから。(1970年大阪万博の)当時の新聞見たら、『万博は無用じゃないか』『太陽の塔なんか要らんやないか』とか、今出していただいてる論調とほんま似通ってる。夏ぐらいになると、各パビリオンのコンテンツが発表されだすから、風向きも変わってくる。必ずグーッと評価が上がっていく。間違いないと思うからね」 

 

インタビューは、維新・吉村洋文共同代表(大阪府知事)が、万博批判をした番組とコメンテーターを名指しして「入れさせんとこうかな」などと語った、いわゆる「出禁発言」の後に行った。馬場代表は「イッツ・ア大阪ジョーク。わからんかな?」とSNSで擁護し、その態度は吉村共同代表が発言を撤回しても変わらない。話題は、維新がメディアから批判を受けた際の姿勢の話に及ぶ。 

 

 

日本維新の会・馬場伸幸代表 

 

―Q. 維新の皆さんの物の言い方が、メディアに対して注文されたり、批判するとすぐ「ネガキャン」と言ったりする。反対意見に真摯に耳を傾けない、独善的な空気感はないですか? 

 

【馬場代表】「それはね、プロ同士が話してるよね。意見が違うかったら激論になる。メディアの話を全く聞いてないわけじゃない。橋下さん(橋下徹元大阪府知事)時代から、記者会見は徹底的に最後まで、質問がなくなるまでやる伝統は、ずっと受け継いで、どんだけボロクソ言われてもちゃんとお答えしてる。だから主張を入れさせてもらうのは当たり前。プロ同士の、主張と主張がぶつかってるだけの話だから、我々が言うことに『なんで攻撃するんですか』って言う方が、ちょっと筋がおかしいと思う」 

 

―Q.僕らは話を聞きに行っている。戦うつもりで言ってないですよ。 

 

【馬場代表】「メディアの皆さん方って、国民を代表して、国民が聞きたいことを聞かせてもらいますよと。記者さんも真剣に聞いてくれなあかんし、こっちも真剣に答えてる。記者さんの聞いたことと180度違う意見を言われへんのは、ある意味怖いよ。(メディアが政党の)言論を抑え込んでるっていうこと。我々が『そんなこと言うたらあきませんやん』って、何で言うたらあかんの?俺らもプロとして真剣にやってる。そこはちょっと理解しといてもらった方がいいと思います」 

 

―Q. 僕らに対してもそうですし、他の主張をする党を「なくてもいい」と言って、存在まで否定するっていうのも、ちょっと微妙な感じがします。 

 

【馬場代表】「『ある政党ってどう思っておられますか?』って言われたから『要りません』って言ったわけ。『叩きつぶす』という発言もしたけど。まともにプロとして、国会議員の仕事をせえへんから言ってる。憲法審査会でもされてる。チンタラチンタラええ加減なことされてると腹立てへん?『まあボチボチやったらよろしいがな』って思ってるんやったら、神さんやと思う。 

 

国民・納税者をなめてるん違うかなと思う。そこに怒りを覚えへんことの方が、メディアとしておかしいと思う」 

 

 

日本維新の会・馬場伸幸代表 

 

―Q.政治改革について、他党でも「こういう政治改革をすべきだ」と案を出しています。立憲は「政治資金パーティー全面禁止」と言っています。維新は全面禁止ではない。なんか維新、弱くないかと。立憲よりも少しハードルを下げている気がするんですが。 

 

【馬場代表】「これはもう是非注目しておいていただきたい。我々は、政治資金パーティーのパーティー券を企業団体に販売することは、内規で禁止ということになったね。(立憲も)言うた以上やってください。今の段階では、高めの球を投げようと思ったらナンボでも投げられる。我々は有言実行という路線をずっと歩んできてるから、できる範囲のことは言うけど、立憲さんみたいに素晴らしいことは、今回は言えてないかも分からんけど」 

 

少し解説が必要だが、馬場代表の主張はこうだ。 

維新は政策を掲げた時点で自ら先に実行するが、立憲は規則ができるまでは実行しない。ここに大きな違いがあるという。 

 

【馬場代表】「他の政党がやらんでも、自分らでやったらええわけよ。旧文通費の領収書の公開も、今や国民民主党さんもやってる。立憲民主党も共産党もやったらええ。みんなやって自民党だけになったら、やらざるを得んようになる。それが政治の力。立憲が言う『皆がやらんと』『皆が約束して』とか、やらんの最初からミエミエやからね」 

「俺の目から見て、どう考えても納税者・国民のための仕事をしてるとは思わないから、(立憲の)不要論を言ってる。自民党って、腐ってもやっぱり、目の前の課題とかこなしていく立場におるし、責任もあるから。悪いこともいっぱいあるけど、ええことも時々やってる。何もええことしてないから。野党第一党の方々って」 

 

―Q.立憲が言っている「ミッション型内閣」。「自公過半数割れ」となったら、本当に呼び掛けが来ると思うんですよ。どっちが野党第一党になろうと。どうされますか? 

 

【馬場代表】「仮定の話やからね、その時が来んと、ほんまにどういう判断するか分からんけど。基本的な政策の部分、外交、安全保障、憲法、エネルギーっていう国家の基本は合致してなかったら、そこから派生してくる政策、法律がうまいことまとまるはずないもんね。それは細川政権だけじゃなしに、過去の歴史が証明してるから。だから俺は今の段階、今の立憲民主党さんと組んでも、ろくなことにならんの違うかなとしか、今は思われへんね」 

 

―Q.あくまで「今は」っていう… 

 

【馬場代表】「今はね」 

 

 

日本維新の会・馬場伸幸代表 

 

―Q. 馬場代表も昔は自民党にいらした。国会議員秘書も、地方議員もされていた立場から見て、過去の自民党と今の自民党、何か違いますか? 

 

【馬場代表】「平成元年(1989年)にできた『政治改革大綱』※は、ほとんどが第三者、外部の方々が作った。それを受け入れる間口の広さみたいなのが、当時は自民党にあったと思う。今は声すら上がらない。随分自民党も劣化したなと思う。若手の中で『こんなことやっててええんかい』と立ち上がる人間がおらん。そこが非常に憂うべき部分だと思うね」 

 

(※政治改革大綱…リクルート事件後に自民がまとめた総合的な再発防止策) 

 

―Q.例えば万博を開催するまでは、立憲と組むより、自民党に寄っておいた方がいいとか、そういうことはないですか。 

 

【馬場代表】「ないね。是々非々でやってきてるわけやから。万博は国家事業やから、やっぱり政府と助け合いながらやっていく。うちも大阪府・大阪市の首長を抱えてるから、敵対してできるわけないから、協調するのは当たり前の話だと思う。まあ、助け助けられっていうところはあると思うね。万博に関して言うと」 

 

―Q.だから、恩義のある自民党に対して、政権から引きずり下ろすようなことは、しにくいんじゃないですか。 

 

【馬場代表】「それやったら予算は賛成するん違う?どっかの政党、本予算に賛成してたけどな(2022年度予算案に国民民主党が賛成)。その後の混迷ぶりというのは、国民は見てると思うけどね」 

 

―Q.政権交代するかしないか微妙な選挙結果になった時に、自公からも「協力してくれ」と言って来るでしょう。立憲からも来るでしょう。どっちも可能性はあると? 

 

【馬場代表】「何党が何議席持ってるとか、そういう数の問題があるから、一概に言われへんけどね。我々はやりたいことがあるわけやんか。具体的な政策、『日本大改革プラン』をはじめとして、そういうことができることが確約される、担保される、そういうポジショニングを必ず取ると思うんだよね。名誉のためじゃなくて、ほんまに仕事させてもらうためにやる。そういう発想で、そのとき判断するん違うかな」 

 

 

 
 

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