( 167376 ) 2024/05/06 01:43:07 0 00 悪質かつ危険な“物理攻撃”も(イメージ)
混雑する街中や駅構内で、突然女性にぶつかってくる男性のことを、「ぶつかり男」あるいは「ぶつかりおじさん」と呼ぶ向きがある。2010年代後半から、その被害を訴える声がSNSで拡散されるようになり、ぶつかってきた瞬間を捉えた動画も多数投稿されている。
残念ながら、現在でもこうした迷惑行為は後を絶たないようだ。なかには、ぶつかり行為以上に、悪質かつ危険な“物理攻撃”もあるという。実際に被害に遭った女性たちに話を聞いた。
都内のIT系企業で働く女性・Aさん(20代)は、電車のホームでたびたび被害に遭っているという。
「これまで何度も駅構内で“ぶつかり男”に遭遇しました。私は中学高校時代に、JRの埼京線と山手線を使って通学していたのですが、数えきれないほど男にぶつかられた経験があります。『たまたまぶつかっただけ』か『わざとぶつかっている』かは、実際に被害にあえば確実にわかります。避けても、こちらに向かってくるので。
とても強い勢いで肩にぶつかってきたり、胴体をぶつけてきたりされると、後ろによろめいて倒れそうになることもあります。過去には、すれ違いざまに胸に肩を強くぶつけられたことや、サラリーマンからカバンをお腹に叩きつけられたこともあります。
痛いですし、なによりも恐怖と抵抗できない悔しさで悲しくなる。警察に通報してよいのか、通報して犯人が見つかるのか、いろいろ考えてしまい、結局は泣き寝入りするしかありません」(Aさん)
一方、長年、駅構内での迷惑行為に苦しめられてきた会社員女性・Bさん(30代)は、あることがきっかけで被害に遭う回数が激減したという。
「幼いころから、何度も“ぶつかり男”に遭遇しています。友人の女性も、『よくぶつかってこられる』と話していますし、ターミナル駅を利用する女性は少なからず、被害にあったことがあるのでは。
ぶつかられるだけならまだしも、すれ違いざまに手をぎゅっと握られたり、耳元で卑猥な言葉を囁かれたこともあります。一瞬で通り過ぎてしまうため、追いかけることも声をあげることもできず、本当に気味が悪かった。とくに、通勤中のオフィスカジュアルのような格好をしているときに、よく狙われました。
ただ、職場が変わり、黒髪でフェミニンな服の系統から、メンズライクなファッションに変えて以降、被害がグッと減ったんです。インナーカラーで髪の毛の内側を金髪にしたり、革のジャケットやドクターマーチンなどを履くようになってから、ほとんどぶつかられなくなりました。その他の迷惑行為も年に1回くらいに減りました。結局、犯人は見た目が弱そうな女性を狙っているんでしょうね」(Bさん)
Bさんが指摘するように、“ぶつかり男”の被害に遭った女性のなかには、「ファッションを変えたら被害が減った」という人は少なくない。
人権関係の相談窓口で勤務しているカウンセラーの女性・Cさん(50代)は、このような迷惑行為や暴力行為を行う人の心理について、次のように説明する。
「街中や駅構内でのこれらの事案は、中高生からシニアまで、幅広い世代の女性がターゲットとなっています。通り過ぎる際に胸を揉む、わざと胸にひじや肩をぶつける、お尻を鷲掴みにする、妊婦さんを狙う、といった悪質な例もあります。
日頃のフラストレーションを自分よりも弱い存在にぶつける、いわゆるストレス解消行為として行われている場合もあれば、ミソジニー(女性蔑視)により、年齢問わず女性をターゲットにする場合もあります。男性である自分よりも肉体的に弱く、また抵抗の声をあげづらい存在がとくに被害に遭いやすい。
もちろん、被害に遭ったら駅職員さんに伝えて被害届を出すこともできます。今では駅構内に防犯カメラも多いですし、犯人を特定することも不可能ではありません。泣き寝入りする被害女性が減ることを願っています」(Cさん)
ぶつかり行為だけでなく、さらに悪質な加害行為の被害にあっている女性たちがいる。被害を目撃した際には、周囲が手を差し伸べるなどのサポートも必要だろう。
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