( 169450 )  2024/05/12 14:39:56  
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日テレNEWS NNN 

 

将来は東京都心から埼玉県狭山市までつながる予定の幹線道路。その区間内にあり東京都が整備する都市計画道路「放射第7号線」。練馬区内の工事区間で建設をはばむように約200基の墓が立ち並び、いまだ開通できない道路。一体ナゼ? 日本テレビ報道局・調査報道班の川崎正明記者が調査しました。 

 

【動画を見る】ナゼ?道路の真ん中に200の墓 【#みんなのギモン】 

 

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一直線の道が続く工事中の幹線道路。その建設をはばむようにたくさんの墓が立ち並んでいた。その数、約200基。墓の立ち退きが進まないため、道路が開通できないという。 

 

近所に住む人 

「“お墓の件”で進んでいないと」 

 

墓のすぐ手前まで建設が終わっているのに、開通できない道路。一体なぜこんなことに──。 

 

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日本テレビの情報提供サイトに寄せられたギモンの声。立ち退きが進まないため、開通しない道路があるという。 

 

視聴者からのギモン 

「住民は開通を待ち望んでいます。ぜひ取材していただき、真実を明らかにしてほしい」 

 

このギモンを調査するのは、日本テレビ報道局・調査報道班の川崎正明記者。これまでに「渡りきれない踏切のナゾ」や「都会の空き家が増え続けるワケ」を取材し、ギモンに答えてきた。 

 

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川崎記者が今回向かったのは、東京・練馬区。そこにはたくさんの墓が…。そのすぐ脇には──。 

 

川崎記者 

「ここまで道路はきています。アスファルトで舗装された道路がここまで延びてきています。ギリギリの所まで道路が」 

 

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私たちはドローンを飛ばして上空から確認した。道路が開通している区間は、この交差点まで。その先は道路整備がほぼ終わっているが、車は通行できない場所が続く。さらに進むと、突然道路が途切れ、密集した墓が行く手をふさいでいた。 

 

墓の先も道路整備は、ほぼ終わっていて、約1.7キロにわたり一直線の道が延びていた。 

 

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この道路は、東京都が整備する都市計画道路「放射第7号線」。将来は東京都心から埼玉県狭山市までつながる予定の幹線道路だ。問題となっているのは、練馬区内の約2キロにわたる工事区間。整備が済んだ場所には、開通を見越してか、スーパーやドラッグストアが開店していた。しかし、放射7号線を通って店に行くことはできない。 

 

近所に住む人 

「待てど暮らせど(道路が)できない」 

 

 

並行して走る道路は、夕方になるとこのような渋滞が…。 

 

川崎記者 

「道幅が非常に狭く、車がすれ違うのがやっとです。車が歩道に入ってきます。これは危ない」 

 

歩行者 

「ここしか歩くところない。どうにかならないかね」 

 

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放射7号線は、今から18年前、国の認可を得て用地買収が始まった。開通していない2キロの工事区間で約200軒の家が立ち退いたという。 

 

吉田さん家族もその中の1軒。道路の計画線の真上に自宅があったために立ち退いた。家の跡を訪ねると…。 

 

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17年前に立ち退いた吉田聖子さん 

「その辺です。もう道路になってます。影も形もない。こういう家が建っていた」 

 

家族の思い出がつまった家を手放してから、はや17年。車は一向に走る気配がない。 

 

17年前に立ち退いた吉田典正さん 

「車がビュンビュン走っていれば、(昔の思い出も)忘れるかも。(車が走らないこの状態では)なんのために立ち退いたのか」 

 

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用地買収が終わり、立ち退きが終わった場所から道路の建設は進んでいった。ではなぜ、墓の部分だけが残ってしまったのか。 

 

墓を管理している寺は、今から500年以上前に開かれたという日蓮宗善行院。地域に住む人の「ぼだい寺」として、先祖代々の墓が立ち並ぶ由緒ある寺だ。私たちは、住職に話を聞きに向かった。カメラを回さない条件で話を聞くことができた。 

 

善行院・大庭一記住職 

「東京都は、寺の本堂と道路計画にかかっている墓の部分だけの移転を求めている」 

「約200基の墓のうち道路計画にかかっていない約70基の墓は移転の対象にはならない」 

「すべての墓と本堂を合わせて一つの寺と考えている。約70基の墓を残して、移転はできない」 

 

東京都は、道路建設に関わる部分の代替地しか補償しない方針で、それでは寺が分断されてしまう。寺が立ち退きに踏み切れない理由だ。 

 

善行院・大庭一記住職 

「私も檀家(だんか)も同じで、円満に速やかに寺と墓を新しい場所に移す。代替地も提示されたが敷地が狭く、すべての墓が入りきらない」 

 

寺側は立ち退きには同意しているものの、東京都の補償内容では寺と墓が分断されてしまう。これでは立ち退きに踏み切れないとして話し合いを続けているが、今も平行線だ。 

 

 

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ではなぜ、500年も前からある寺の敷地を横切るように道路を計画したのか。行政機関が作成した公文書などを保管している施設に、道路計画の資料が保管されていた。 

 

川崎記者 

「善行院、お寺ありました。この上に計画線が引かれています」 

 

国からの建設の認可がおりたのは2006年。しかし、道路計画自体は1962年に決まっていた。その理由は「城北方面の交通の円滑を図るため」と書かれているのみ。この資料からは、500年以上も前からある寺の敷地を横切る理由まではわからなかった。 

 

そこで私たちは、認可した国に寺を横切る理由を聞くと、国土交通省の担当者は、「当時のことを知る担当者がおらず、明確な答えはわからない」と回答。 

 

では、60年以上も前に計画が決まったのに、なぜ寺ともっと早く交渉してこなかったのか。東京都にも話を聞いたが、「まとまった用地が確保できたところから順次工事を行っています」「個別の交渉については回答を控えさせていただきます」と明確な回答は得られなかった。 

 

都は今後、部分的な開通を検討するというが、全面開通のメドはたっていない。果たして開通する日は来るのか、私たちは今後も取材を続けていく。 

 

(5月3日放送「QUESTION!#みんなのギモン」より) 

 

●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。 

 

お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。 

 

#みんなのギモン 

 

https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html 

 

 

 
 

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