( 170990 )  2024/05/16 16:24:41  
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(写真:読売新聞) 

 

 トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車が、車に搭載するソフトウェア開発で連携する方向で検討に入った。メーカーが個別に開発する自前主義からの転換を進め、一部の仕様を共通化して開発の効率化につなげたい考えだ。米中勢に電気自動車(EV)のデジタル化技術で先行されるなか、日本勢が協力態勢を敷いて対抗する狙いがある。 

 

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 経済産業省と国土交通省が月内にまとめる自動車のデジタル戦略に盛り込まれる。夏以降に具体策を協議し、2025年度以降の連携を目指す。スズキやマツダ、SUBARU(スバル)、三菱自動車など他の国内勢にも広げたい考えだ。 

 

 最近の車はハンドル操作やブレーキなど、基本機能もソフトが制御している。ソフトが中核部分を担い、その優劣が競争力に直結しつつある。「自動車大国」の堅持には、メーカーごとに仕様が異なる状況を変える必要があると判断した。 

 

 今後、「API」と呼ばれるソフトやシステム間をつなぐ役割を担う基盤部分の仕様の共通化を検討する。3社が仕様を共通化すれば、バッテリーやセンサーなどもメーカーの垣根を越えて搭載できる。参入障壁が下がり、スマートフォンアプリのように、外部企業による多様なサービス開発も期待される。音声認識や地図、自動運転といったサービス間の連携も容易になる。 

 

 ただ、新たな仕様の選定ではメーカー間の公平性を巡る議論などが避けられない。各社は必要性では一致しつつも、実現に向けてのハードルは多い。 

 

 それでも協調を急ぐのは、世界で車の設計・開発思想が刷新されようとしているためだ。米中の新興メーカーは、ソフトを設計や開発の中心に据えて車の価値を高める戦略をとる。 

 

 米テスラは、スマホのようにインターネットを通じて車のソフトを更新し、性能をアップデートできる。有償で機能も追加でき、販売後の車で稼ぐ仕組みづくりに成功した。中国は21年以降、業界でAPIを共通化する取り組みを進め、AI(人工知能)などの先端技術を搭載し始めている。 

 

 ソフト人材の育成も課題だ。会社の壁を越えて協調できる領域を設け、自動運転などの先端分野に人材を充てられる環境を整える。 

 

 

 
 

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