( 171403 )  2024/05/17 17:00:08  
00

レゴランド・ジャパンが学童保育を開始し、社員の子育てをサポートしている。

長期休暇や放課後に小学生を預かる学童保育の需要が高まっており、会社内での取り組みが始まる。

レゴランドの学童ルームでは、レゴブロックを使って子供たちが遊べるスペースが提供されている。

学童保育の運営は外部委託され、専門スタッフが常駐している。

企業内学童は大手企業を中心に広がっているが、レゴランドは利用を無料にしている。

実施されたテスト実施では好評であり、今後もプログラムの充実や社員の働き方に対応していく。

(要約)

( 171405 )  2024/05/17 17:00:08  
00

テーマパーク内で遊ぶ学童の子どもたち(レゴランド・ジャパン提供) 

 

 テーマパークを探検し、レゴブロックは使いたい放題――。子どもたち垂ぜんのプログラムが並ぶのは、「レゴランド・ジャパン」(名古屋市港区)が企業内で始めた学童保育だ。学校の長期休暇に合わせて開き、子育て中の社員をサポートする。社員たちも知恵を出し合った。 

 

【写真まとめ】レゴランド学童ルーム、どんな感じ? 

 

 学童保育は、共働きやひとり親家庭の小学生を放課後に預かる。年々需要が高まる一方、待機児童の対策は、保育所より遅れているのが現状だ。 

 

 親が特に頭を悩ませるのは、夏休みや年末年始、大型連休など。 

 

 レゴランドは昨年5月、パートを含む社員約1500人のうち、フルタイム勤務と、それに近い600人にアンケートを実施した。子育て中やその予定のある96人が回答。利用したいサービスや、会社に支援してほしいこととして多かったのが、「長期休暇中に預かってくれるところがほしい」「子連れ出勤させてほしい」だった。 

 

 テーマパークは子どもの学校の休みがまさに繁忙期。会社としてもシフトに入る従業員を確保したい。ところが、「子どもの預け先がないから」と断る人がこれまでも少なくなかった。すぐに、社内で預かる方針が決まった。 

 

 プロジェクトリーダーになった伊藤智子さんは、開設に向け愛知県の子育て支援員研修を受講。保育士の知人から話を聞き、県内のファミリーサポート事業の現場も視察した。 

 

 どんな学童にするか、社員を集め構想を練った。「長椅子が欲しい」「壁は自由に絵が描けるようホワイトボードにして」「やっぱりレゴブロックで遊びたい」。社員のパパ・ママたちとブレーンストーミングを重ねると、アイデアが次々に浮かんだ。 

 

 そして今春完成したのが、オフィスの一角にある約100平方メートルの学童ルーム。明るい室内のあちこちに、レゴブロックが置かれている。運営は外部に委託し、保育士など専門スタッフが常駐する。伊藤さんも見守る。 

 

 預かるのは午前8時~午後7時で、定員15人。利用者は子どもと共に出勤し、昼休みも一緒に過ごせる。 

 

 長期休暇中の企業内学童は、大手企業を中心に広がりつつある。伊藤忠商事は昨年夏、社員と近隣の小学生を対象に5日間、開設し、注目を集めた。今年も開催する方向で検討している。 

 

 レゴランドの特徴は利用を無料にした点。対象者が限られるため、福利厚生として公平性の面から議論もあった。伊藤さんたちは予算も考慮し、利用者の一部負担を提案した。しかし会社側は「私たちは子どものテーマパークを運営する会社だから」と無償を決めた。 

 

 報道発表すると、SNS(ネット交流サービス)に「転職したいレベル」「こんな会社入りたい」などのコメントが投稿された。伊藤さんは「働きやすさで魅力を感じてくれる人がいるのはうれしい」と話す。 

 

 3月のテスト実施では、「子どもがそばにいて安心して働ける」「子どもが『ゲームをしないで過ごせた』『友達ができた』と喜んでいた」「『ここで働いていてくれてありがとう』と言われた」などと好評だった。 

 

 大型連休に本格スタートし、夏休みは40日間開く予定だ。子どもたちを飽きさせないプログラム作りなど、取り組む課題は多い。通常の週末・祝日や、未就学児の保育のニーズもある。伊藤さんたちは今後、多様な社員の働き方にどこまで沿えるか、さらに検討を進めていく。【太田敦子】 

 

 

 
 

IMAGE