( 171435 )  2024/05/17 17:36:01  
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働く人の平日ランチ代は平均で452円…物価高などの影響で節約を意識する人が増えています。こうした中、16日に発表された1月から3月までのGDP=国内総生産では、「個人消費」がリーマンショック以来の4期連続マイナスとなりました。 

 

【写真を見る】ランチにいくら使っていますか?GDP「個人消費」4期連続マイナス “リーマン以来”の落ち込みに街の声は?【news23】 

 

■「850円、結構した」「500円でおさまったら良い」あなたのランチ代は? 

 

お昼時の都内の公園で「ランチ」にいくら使っているのか、聞きました。 

 

会社員(20代) 

「よく行く立ち飲み屋さんのランチ、お弁当だけ出しているので、そこで買ってきました。650円でした。おさえるときは500円で、おさまったら良いかなと」 

 

会社員(20代) 

「コンビニでおにぎりと冷やし中華を買いました。これで850円、結構しましたね。500~600円ぐらいで済ませたいなと」 

 

円安や物価高が続く中、ランチ代を抑える工夫も。 

 

会社員(20代) 

「わかめおにぎりとかが安いので、選んだり。円安とかが関係してきて、しょうがないのかなという気はしますよね」 

 

■コンビニの“大盛り”商品 値段はそのまま「増量」 

 

こうした中、人気を集めているのがコンビニの“大盛り”商品です。 

 

記者 

「元のサイズと同じ値段のまま25%増量しているということで、お弁当を手に取ると、ずっしりと重さを感じます」 

 

「ローソン」は今週から中部地区で、価格はそのままで内容量を25%増やす“大盛り”商品の販売を始めました。 

 

ローソン中部カンパニー 吉村俊亮さん 

「物価高でお客様が節約志向になっている中で、お客様にお得で楽しんでいただきたいと思い企画しました」 

 

卵焼きのサンドイッチは増量前と比べ、“極厚サンド”になっています。こうした商品に客は… 

 

客(30代) 

「その(据え置きの)値段で、食べられる量が増えるというのは良い。いっぱい食べられたほうがお得感がある。安くて多いに越したことはない」 

 

客(60代) 

「物価が高いから大盛りだと助かる、値段そのままだったら。(Q.物価高は実感するか)します。とりあえず要る物を買うんですけど、支払うときに『あ…高いな』と」 

 

 

■GDP=国内総生産は年率換算で-2.0% 政府は「緩やかな回復が続く」と見通し 

 

16日に発表された1月から3月期のGDP=国内総生産は年率に換算して2.0%のマイナスとなりました。 

 

特に根強い節約意識や買い控えが影響し、「個人消費」は4期連続のマイナスに。リーマンショックで経済が低迷した2009年以来、15年ぶりのことです。 

 

都内の家電量販店では… 

 

客 

「携帯とかも高騰していて、高いので替えるとしたら安いのに替えるか、使い続ける。買う気にならない」 

「日本で働いていて日本の物価で生きているので、日本の給料が上がれば話は変わってくるが、今みたいに停滞している状態で、物価だけが上がっているのが続くのであれば、今(の価格)が限界なんじゃないか」 

 

政府は今後について、「雇用や所得が増え、経済は緩やかな回復が続く」との見通しを示していますが、歴史的な円安で日本経済に影を落とす要因も山積しています。 

 

■「個人消費」4期連続のマイナス 物価高による「節約志向」が影響か 

 

小川彩佳キャスター: 

物価高がGDPに影響しているということです。 

 

23ジャーナリスト 片山薫 記者: 

GDP=国内総生産の約6割を占めるのが個人消費で大事な指標ですが、4期連続のマイナスとなっています。1月から3月期の個人消費はマイナス0.7%で、エコノミストの予想「マイナス0.15%」を下回った結果で、かなり深刻です。円安による物価高が節約志向を高めているというのが如実にあらわれた形です。 

 

藤森祥平キャスター: 

家計調査で、2023年度“消費を減らした”というものは、麺類マイナス5.0%、魚介類マイナス5.3%、乳製品マイナス6.3%、下着類マイナス6.2%、書籍マイナス5.8%となっています。 

 

小説家 真山仁さん: 

マイナス0.7%で騒ぐべきなのか、「誤差かもしれない」とも思いたいです。ムードで「ダメ」だと思ってしまうように感じます。日本人はムードに弱く元々臆病です。バブルがはじけてから、「国は助けてくれない」と思い始めていますから、少しでもマイナス要因があると「お金を使うのをやめよう」となってしまいます。 

 

 

藤森キャスター: 

これだけマイナスが続いていて、実質賃金も下がっていたら伝えないわけにはいかないですよ。 

 

真山さん: 

コロナが明けてから(お金を)使った反省もあるように感じます。コロナ禍でずっと我慢していた開放感から(お金を使ったということも)反省材料になって、「ほら見たことか」という状況になっているように思います。 

 

ただ、あまり騒ぎ過ぎない方が良いと思います。本が売れないというのは、本を読まなくても死にはしないということがあると思います。よく見ると、本当に命に大事なものの消費が減っているわけではなさそうです。「今、買わずに1か月我慢しよう」といえるものがある間は、安心して良いのではないかと思います。 

 

小川キャスター: 

ただ、私達も日々お伝えする中で、何か希望になるような兆しはみえないだろうか、そういった情報はないだろうかと探りますが、なかなか見えてこない状況です。その中で、教育費が下がっているというのは深刻な問題だと思います。 

 

藤森キャスター: 

家計調査によると、子育てに関係する消費は、塾代などがマイナス10.5%、仕送りはマイナス18.7%という結果です。 

 

片山記者: 

子育て世代の収入がかなり厳しいのだろうと感じます。2023年は30年ぶりの賃上げでしたが、結果を見ると20代や新卒の給料上がっていますが、ミドル層やシニア層の賃金は上がらなかったようです。そのため、子育て関係で抑えるしかなく、子どもにしわ寄せがいっている現状はあると思います。 

 

■「NISA貧乏」でお金を消費に回せない? 真山さん「NISAはやめた方が良い」 

 

藤森キャスター: 

今、ネットでは「NISA貧乏」という言葉があり、個人消費が盛り上がらない一つの要因なのではないかといわれています。SNSには「積立NISAとか、確実に引かれるものを計算したら、手取りが残り3万円くらいしか無かった」、「月10万円のNISA積立はきついな。5万円に戻そう」という声もあります。 

 

NISAで積み立てることで、使えるお金が減ってしまい消費を圧迫しているということです。 

 

 

小川キャスター: 

政府は「貯蓄から投資へ」とうたっていますが、逆に経済へのブレーキになってしまっているという見方もできるわけです。 

 

真山さん: 

物議を醸すかもしれませんが、NISAはやめた方が良いと思います。元々、日本人はリスクをよく分かっておらず、投資の意味も分からないのに、何となくみんなが「投資をしましょう」という状況です。 

 

若い人は貯金をしても金利が上がらないために、お金を動かした方が良いと思い、投資していると思いますが、若い人はお金を使うことを覚えた方が良いと思います。お金を使うと失敗しますが、失敗して初めてお金の価値が分かると思います。 

 

(NISAは)「絶対にお金は減らない」とうたっていますが、投資に「減らない」はありえません。金融庁がその旗を振っているというのは言語道断だと思っています。ぜひ、お金を使いましょう。お金を使って良いものを買うようになると、色々なものが動いていきます。 

 

「貯蓄より投資」とうたっていますが、NISAは結局もっと貯蓄していることになると思います。 

 

■6月からの“減税”や賃上げで消費戻る? 担当記者「トントンか、まだ苦しい人も…」 

 

小川キャスター: 

今後の個人消費はどうなっていくのでしょうか。 

 

片山記者: 

2024年度は物価高で、電気代やガス代も少し負担増えますので、11万円ほど負担が増える予想ですが、6月から減税が始まることで、(1人4万円の3人家族の場合)12万円ほど減税になるといわれていて、11万円と12万円で均衡が取れるかなという見通しです。さらに、モデルケースではありますが、賃上げで年間19万円ほど増えるだろうといわれていて、賃金が増えることで消費は戻るだろうというのが政府の思惑です。 

 

ただ、2023年も2022年も10万円ほど物価高で負担が増えているため、“トントン”か、まだ苦しいという人が多くなるかもしれません。そういう意味で、個人消費も経済成長もすぐには戻りにくいのではないかと感じています。 

 

 

 
 

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