( 172570 )  2024/05/21 02:22:00  
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本連載初登場の君島十和子さん。 

 

愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第37回。前編は、美容家の君島十和子さんが、免許取得から懐かしのベントレー所有時代までを振り返る! 

 

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「ベントレーの『コンチネンタルGT』は、力強いのにジェントルで、本当に運転するのが楽しいクルマでした」 

 

そう言いながら、君島十和子さんが最新のコンチネンタルGTCに歩み寄る。君島さんがこれまで乗ったクルマで、一番気に入ったのがベントレーの初代コンチネンタルGTだったという。 

 

運転免許を取得してからコンチネンタルGTに乗るようになるまでの道のりを振り返ってほしいと訊くと、君島さんは「実は、教習所に2回通っているんですよ」と、苦笑い。 

 

「18歳の夏休みに運転免許を取ったんですが、自分のクルマも私が運転できるクルマもなかったですし、ペーパードライバーもいいところでした。しかも夏休みにパパッと取るために、地方の合宿免許へ行ったので、東京の道を運転できる気がしませんでした。免許を取ったコースはあんなに空いていて運転がしやすかったのに、と(笑)」 

 

高校卒業後からモデルや女優の仕事が多忙になると、さらにクルマを運転するという行為が遠くなったという。 

 

「お芝居で運転のシーンがあっても牽引で撮影するので、実際に運転することはないんです。で、『そういえば免許証はどこにあるのかしら?』、みたいな状態になっていて、気がついたら(免許証を)失効していいました」 

 

転機となったのは、1990年代半ばに結婚したときだ。 

 

「出産を控えて、子どもの送り迎えなど、これからは免許が必要になるな、と、思ったんです。そこで改めて、免許を取りに行きました。前回の反省を活かして(笑)、今度は自分の生活圏で路上教習をする自動車学校を選びました。結婚当初、ほんの短い間でしたけれどメルセデスの『SL』に乗りましたね。ふたりがかりでないと取り外せないハードトップが付いていたことを覚えています」 

 

取り外し可能なハードトップを装備していたということは、1989年から2001年まで生産された4代目のSL(R129型)だろう。 

 

「本当の意味で愛車と呼べるのは、その次に乗ったメルセデスの『CLK』です。取りまわしがよくて、コンパクトなので駐車場でも停めやすくて、すごく重宝した記憶があります」 

 

君島さんが所有したのは、フルモデルチェンジを受けて2002年に発表された2代目のメルセデス・ベンツCLKだ。 

 

「幼稚園のお迎えに行って、習いごとの教室を経由して、夕飯の買い物をして返ってくるみたいな、一日に何時間もクルマの中で過ごすことが多かったんです。だから子どものためのクッションとチャイルドシートを積んで、好きなドライブ用の音楽や自分の着替えとかメイク道具一式も用意して、第二のリビングルームでした。スーパーとかデパートの駐車場にも停めやすくて、私って意外と運転上手くない? と、錯覚するくらい、機能的なクルマでした」 

 

 

CLKのあと、Eクラスをはじめとする何台かのメルセデス・ベンツを愛用してから、君島さんはベントレー・コンチネンタルGTを乗るようになる。 

 

「撮影用にご用意いただいたコンチネンタルGTCも、濃いネイビーに青いラインが入っていたり、インテリアにもブルーをあしらっていたり、コーディネートにこだわっていますが、わが家のコンチネンタルGTも(ディーラーと)相談をしながら決めました。まずボディカラーはパールホワイトの真っ白でもなければ冷蔵庫みたいな白でもない、陶器のように光の加減によってフワッと柔らかく見える白でした。ホワイトにもいろいろな種類があることを学びましたね。外観とインテリアのコントラストを楽しまれる方もいらっしゃると思うんですが、私はインテリアも白。ダッシュボードだけは白だと光を反射して見えにくくなるというアドバイスを受けてネイビーにしました。そうそう、カーペットもホワイト系にしたので、公園で遊んだ子どもが乗り込む時には、土足禁止にしたくなりました(笑)」 

 

ベントレーのようなクルマは、乗って楽しむことはもちろん、自分好みの1台に仕立てるという楽しみ方もあるのだ。 

 

「細かいところまでリクエストしたので、日本に届くまで少し時間がかかりました。でも、待つ時間も楽しいものでした」 

 

では、コンチネンタルGTに乗ってみた感想はどのようなものだったのだろう。 

 

「天井も低いし、快適か? と、いえばそうではないんですけれど、クルマとの一体感が忘れられないですね。12気筒エンジンだったのでスポーティな音がするんですが、走り出すとすごく軽やかで、道路の凸凹を感じさせずに滑らかに走ったこともよく覚えています。フワッとした浮遊感があって、『運転って楽しいな』と、私は運転が好きだなと思いました。下の子どもがまだ小さかったので会話をしながら一緒に乗った楽しい思い出もありますが、自分ひとりで乗るのもすごく好きでした」 

 

撮影用のコンチネンタルGTCの内外装を確認しながら、君島さんは「私が乗っていたものよりスポーティでスタイリッシュになっていますが、雰囲気のよさは共通していますね」という感想を口にした。 

 

「メルセデスからベントレーに乗り換えた時に、ベントレーのほうが好みかだなぁ、と、思いました。メルセデスはハンドルから手を放しても真っ直ぐ走ってくれそうでしたが、ベントレーは自分が操縦しないとどこかへ行っちゃいそうな感じがすます。そういう、自分が操作している実感を持てるところも、コンチネンタルGTの魅力でした」 

 

そして撮影用のネイビーのコンチネンタルGTCの運転席に座った君島さんは、「いつかもう一度、このクルマに乗ってみたいかもしれない」と、つぶやいた。 

 

君島さんのエレガントなたたずまいは、ベントレーと一体化しているように見える。 

 

後編となる次回は、こんなに好きだったベントレーとの別れから、いま興味があるクルマなどを綴る。 

 

1966年東京都生まれ。FTCクリエイティブディレクター、美容家。雑誌の専属モデルや女優として活躍後、結婚を機に芸能界を引退。その後、美容への意識の高さから多くのメディアで取り上げられる。現在はテレビや雑誌などにくわえ、自身のSNSでもさまざまな情報を発信する。 

 

 

文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・冨沢ノボル スタイリング・間山雄紀(M0) 編集・稲垣邦康(GQ) 撮影協力・鳩山会館 

 

 

 
 

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