( 174115 )  2024/05/26 00:49:54  
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衆院東京15区補選では妨害が相次ぎ警視庁が厳重警備に踏み切った 

 

【ニュース裏表 伊藤達美】 

 

4月に行われた衆院東京15区補欠選挙で、政治団体「つばさの党」の候補者とその陣営が、他候補の街頭演説に出向き拡声器で「クズ」「売国奴」などと大声を出すなどの妨害を行った事件を契機に、公職選挙法改正問題が急浮上している。 

 

【写真】タスキ姿で現れた根本候補が乱入、音喜多氏に対して紙を向けていた 

 

この団体は、ほかにもクラクションを鳴らした威嚇や、選挙カーを執拗(しつよう)に追い回すなどの危険行為を行ったとされる。つばさの党代表は「表現の自由の中で適法にやっている」と主張しているが、このような行為が憲法や法律が認めるものでないことは明らかだ。 

 

これを受け、自民党の茂木敏充幹事長は「必要な法改正をやっていきたい」と述べた。日本維新の会も自由妨害罪の適用基準の明確化を含む公選法改正案のたたき台を発表し、国民民主党と共同提出に向けた協議を始めた。 

 

当然である。警視庁は17日、つばさの党代表らを公職選挙法違反(選挙の自由妨害)容疑で逮捕したが、同様のことは再び起こり得る。 

 

一部には、「政治的意見の表明と選挙妨害に相当する行為の線引きは難しい」「まずは現行法の的確な運用にとどめるべきだ」として法改正に慎重な意見があるが、本末転倒の議論だ。このような事例が出てきた以上、取り締まりの法的根拠をきちんと整備した方が、権力の乱用を防ぐことになる。 

 

また、今回の事例は候補者を擁する陣営間の問題だが、一般聴衆であっても、行き過ぎた野次(ヤジ)や妨害行為は取り締まれるようにした方がよい。 

 

筆者は2017年の都議選最終日、当時の安倍晋三首相の街頭演説の正面に陣取り、横断幕やプラカードを掲げながら「安倍辞めろ」と叫び続ける聴衆を現場で目撃した経験を持つ。 

 

その声で、安倍首相の演説はかき消され、集まった聴衆は不快感だけでなく、恐怖すら感じていた。これも、紛れもなく「選挙妨害」であって、「自由な政治的な意思表明」の範囲を超えている。 

 

筆者は、選挙は自らの代表を選ぶためのもので、ある候補者を「当選させない」ための運動は〝邪道〟だと思う。 

 

つばさの党の行為は、自らの候補の当選を図るためというより、相手候補の落選などを意図しているといえる。 

 

 

「〝安倍辞めろ〟隊」も同じだ。安倍氏に「反対」であれば、自らと同様の主張を掲げている候補者の当選を期すために運動すべきであって、わざわざ、安倍首相の演説会場に押しかけるのは控えるべきだ。 

 

このような事態を放置しておくことは民主主義にとって良いこととは思えない。選挙において健全な議論が行える環境が確保できるよう、与野党が協力して、早急に法的な措置を講ずべきである。 (政治評論家) 

 

 

 
 

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