( 174675 )  2024/05/27 17:47:04  
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写真提供: 現代ビジネス 

 

 ラーメン店の倒産が急増し、倒産件数が前年度比の約2.7倍にもなって過去最多を記録したという。 

 

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 東京商工リサーチによれば、2023年度の期間で負債1000万円以上のラーメン店倒産が63件発生したそうで、これは2022年度の23件と比較すると約2.7倍にあたる数字。さらに、かつての最多だった2013年度の42件を大幅に上回る結果となっているのだ。 

 

 同社は円安やウクライナ情勢などを背景に、小麦をはじめとする原材料価格の高騰や光熱費の上昇、人手不足に伴う人件費高騰が著しく、急激なコスト上昇に見舞われていることが原因だと分析している。 

 

 今、ラーメン店業界で何が起きているのか?  

 今回はラーメン店の相次ぐ倒産の理由や、ラーメン業界の最新の動向について、プライシングスタジオ代表取締役社長・高橋嘉尋氏に分析・解説していただいた(以下、「」内は高橋氏のコメント)。 

 

 ラーメン店の倒産が相次ぐ要因は、「1000円の壁」という問題が大きく関係してくるという。 

 

 「個人店の多いラーメン業界では、従来多くの店が他店との競争のために、1杯あたりの価格が1000円を超えないように調整してきました。これを『1000円の壁』問題と呼びますが、東京商工リサーチが指摘するコスト増によって、他店に負けじと価格競争を続けたり、自店のポリシーを曲げずに低価格で勝負したりする店は、おのずと経営が困難な状況に陥っているのです。 

 

 つまり、原材料費や人件費が上がっているにもかかわらず、多くのラーメン店がこれ以上値上げすると客足が遠のいてしまうという思い込みに囚われ、『1000円の壁』を超えないようにと、無理して薄利な経営を続けようとしてしまっているのです」 

 

photo by iStock 

 

 1杯1000円以上を払ってでも美味しいラーメンを食べたいと考える顧客層もいるものの、現実的に1000円を超えると「高い」と感じる層が多いのも事実で、店側も上げるに上げられない事情があるのではないだろうか。価格とコストの板挟みとなり、結果として店を畳まざるを得なくなっているのかもしれない。 

 

 だが実際には、「1000円の壁」を突き破って成功しているラーメン店も少なくないようだ。 

 

 

 「たとえば、高田馬場(東京都)にある『博多ラーメンでぶちゃん』は、業界内で先陣を切って早い段階で『1000円の壁』を大々的に突破した店で、博多ラーメンが1杯1000円を超える(特製ラーメン税込1200円)という価格が話題になりました。やはり当初は高すぎるといった批判はされていたものの、客数は減らず、むしろ集客効果が高まり、現在も繁盛しています。 

 

 その後、続々と『1000円の壁』を突破する店が増えているのです。ラーメンファンの熱量は高く、店主たちが謙遜ぎみに考えている需要よりも高いということでしょう。コストをまかなったうえできちんと利益が圧迫しないような価格まで1杯の値段を上げても、成立する余地があるということです。1000円を超えると絶対に勝負できなくなるということではなく、『1000円の壁』を超えることで生き残る可能性も高まっているのです」 

 

 商圏をきちんと読み解き、そこに合わせたブランディングを徹底していけば、個人店で1杯1000円を超えるところも生き残ることができる確率は高まっているということか。 

 

 記事後編は「もはや1000円越えは当たり前…いま東京のラーメン店に起きている驚きの変化」から。 

 

A4studio(編集プロダクション) 

 

 

 
 

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