( 175620 ) 2024/05/30 02:25:07 0 00 鈴木俊一財務相(今仲信博撮影)
1人当たり4万円の定額減税制度が6月から始まる。手取りが増えることで、デフレ脱却への期待が高まる。ただ、一度にまとまった金額を受け取る給付金とは異なり、毎月支払う税金が減る仕組みに「分かりにくい」「複雑」との声も漏れる。企業や自治体も対応に追われている。
【表で解説】定額減税、年収360万円の単身サラリーマンの場合、毎月納める税と手取りの額は?
定額減税の規模は国と地方で合計3・3兆円。関連する給付を入れると5・5兆円に上る。「思い切った規模の支援を行うことで、デフレマインドを払拭するきっかけとする」。鈴木俊一財務相は言葉に力を込める。
6月はボーナス支給月で、令和6年春闘で妥結した賃上げが給与に反映され始める時期でもある。ここを目がけて減税を実施することで、手取りを増やし、物価高に負けない所得の伸びを実感してもらいたいというのが政府のもくろみだ。
■天引き翌月繰越も
対象となるのは、所得税の課税対象となる収入が1805万円以下(給与収入2000万円以下に相当)のケース。1人につき所得税3万円、住民税1万円が引かれる。所得税法上は控除扶養親族に入らない16歳未満も含まれる。夫婦と子供2人の世帯であれば、合計16万円が減税される。
所得減税の実施方法はさまざまで、会社員は6月の源泉徴収分から適用される。6月に減税しきれなければ、7月以降の税額から順次引かれる。
扶養親族3人で所得税が12万円減額となる人で、6月の控除前税額が給与分で1万1750円、ボーナス分で9万3千円の計10万4750円の場合、6月は全額が引かれる。7月に残りの1万1750円、8月に3500円が減税される。
個人事業主は確定申告の際に減税され、納税額が多い人は一部を7月と11月に分けて納める「予定納税」の際にも適用される。公的年金受給者も6月以降の源泉徴収から減税される。
一方、住民税は6月分は一律ゼロ円。7月から来年5月にかけてならして天引きされる。
■忙殺される経理担当者
定額減税は条件によって、1回当たりの減税額やタイミングが異なる。企業の経理担当者は従業員の家族構成の確認や、減税額の計算や管理に忙殺されている。給与明細への減税額の明記も義務付けられ、会計ソフト導入やシステム改修も急務となっている。
所得が低く減税額が4万円に届かなそうな約2300万人には、1万円単位で給付を行う。自治体もこうした対応に追われる。
与党内には、定額減税の来年以降の継続を模索する動きもある。岸田文雄首相の側近である自民党の木原誠二幹事長代理は26日のフジテレビの番組で「物価状況が改善せずまたデフレに戻る可能性があれば、来年だって考えないといけない」と述べた。鈴木氏は複数年度での実施は否定するが、「必要な場合には適切な家計支援を検討することは重要だ」との見解を示す。(米沢文)
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