( 176965 )  2024/06/03 01:57:30  
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写真:LIMO [リーモ] 

 

ロシアとウクライナの戦争が開始したことを発端として、ガソリン価格が上昇しました。 

 

エネルギーコストの急激な上昇に始まり早2年。買い物に行っても2年前の価格で買えるものはほぼなくなったのではないかと思えるほど、物価は変動しました。 

 

【図解】定額減税ってどうやって行われるの?仕組みをイラストでチェック(出所:国税庁など) 

 

こういった現状を踏まえて、2024年6月からスタートするのが「定額減税」です。 

 

「定額減税」とは、税額を一定額減額する減税法。1人あたり所得税3万円、住民税1万円の計4万円が減税されます。 

 

これにより納税額が減るため手取りが増えますが、実際「我が家はどれくらい減税されるの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。 

 

今回は「定額減税」について解説します。記事の後半では、具体的に「4人家族ならいくら減税されるのか?」「途中で103万円の壁を超えた場合はどうするのか?」「ふるさと納税や住宅ローン控除はどうなる?」といった疑問についても確認していきましょう。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

一般的に、物価が上がると賃金も同様に上昇していく傾向にあります。 

 

しかし現在は、賃金上昇が物価高に追いつかないため、実質的には苦しい状況が強いられていると問題視されています。 

 

それに伴い国民の負担を緩和するため、本来支払う所得税・個人住民税を一定額を差し引く「定額減税」が行われることになりました。 

 

2024年6月スタートの「定額減税」概要は以下の通りです。 

 

●定額減税の概要(対象・金額・開始時期など) 

 ・対象者:2024年分所得税の納税者である居住者本人と、同一生計配偶者及び扶養親族 

 ・減税対象:2024年分の所得税、住民税 

 ・所得制限:2024年分の所得税に係る合計所得金額が1805万円以下(高所得者は対象外) 

 ・減税金額:1人につき所得税3万円、住民税1万円 

 ・制度開始時期:2024年6月以後に支払う給与等から 

基本的には、減税により手取り収入が増えることでしょう。 

 

それでは、一般的な「夫婦+子ども2人」の家庭ではいくら減税されるのでしょうか。 

 

 

具体的にどのくらい税金が減るのか、モデルケースで確認していきましょう。 

 

●【定額減税のモデルケース】会社員世帯:会社員(夫)+専業主婦(妻)+子ども2人 

会社で働く夫(所得金額が1805万円以下)、専業主婦の妻、収入のない子どもが2人いるケースを考えてみましょう。 

 

以下のとおり、2024年は合計16万円の税金が減ると算出できます。 

 

 ・所得税:(本人)3万円+(家族)3万円×3人=12万円 

 ・住民税:(本人)1万円+(家族)1万円×3人=4万円 

合計 16万円 

 

ちなみに、納税が予定されていた所得税や住民税の金額が1人あたり4万円に満たない場合、定額減税の恩恵を十分に受けられない世帯がでてくると予想されます。 

 

こういった世帯には、減税額と納税額の差額が「給付金」として支払われる形が予定されています。給付金は、自治体の事務負担を考慮して1万円単位で支給されます。 

 

たとえば、2024年6月から12月までの期間における所得税額が1万8000円である単身者がいたとしましょう。 

 

このケースで減税額3万円との差額は1万2000円ですが、給付金は2万円が支給されることになります。 

 

こうした定額減税の「補足給付金」は、2024年6月以降に初回給付があります。年末調整や確定申告を終えた2025年6月ごろに不足額給付で2回目の補足給付金があります。 

 

つづいて「ふるさと納税や住宅ローン控除はどうなる?」「途中で103万円の壁を超えた場合はどうするのか?」という疑問についても検証していきましょう。 

 

定額減税の「補足給付金」を確認しましたが、6月の段階では専業主婦や扶養内パートなどで定額減税の対象です。 

 

夫と合わせて6万円減税が行われていたとして、12月の時点で「103万円の壁」を超えた場合はどうなるのでしょうか。 

 

結論から言うと「減税されていた3万円は返す」ことになるでしょう。 

 

年度途中で起きた変化については「年調減税」で修正されると覚えておくとよさそうです。 

 

 

定額減税は、住宅ローン控除後の金額から減税されます。 

 

そのため、住宅ローン控除の控除枠が無駄になることはありません。 

 

この仕組みにより、定額減税制度の対象者であっても住宅ローン控除を受ける人は、控除枠が有効に活用されます。 

 

つまり、住宅ローン控除を受ける人にも「定額減税制度」の影響が及ぶこととなります。 

 

また、ふるさと納税については、定額減税による影響はありません。ふるさと納税の計算においては「定額減税をされる前」の所得で上限額が決定されます。 

 

そのため、今までどおり所得に応じた限度内でふるさと納税を楽しむことが可能です。 

 

「定額減税」はスタートしたばかりであり、まだ議論を重ねている段階です。 

 

物価高が続くなかで、今後の動向によっては期間の延長や別の手段での減税が行われるかもしれません。 

 

今回の「定額減税」のように恩恵を受けられる税制は嬉しいものですが、国の制度は変化していくもの。 

 

常にアンテナを高くたもつ必要があり、さらに申請や手続きが必要な税制もあるため注意しましょう。 

 

難しいからといって使える制度を使わないのは、非常にもったいないことです。受けられる恩恵はしっかり享受できるよう、日々情報を収集していきたいですね。 

 

 ・国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A」 

 ・国税庁「定額減税 特設サイト」 

 ・国税庁「令和6年分所得税の定額減税のしかた」 

 ・LIMO(山本 大樹)「2024年6月スタート「定額減税」家族4人でいくら減税される? 年の途中で「103万円の壁」超えたらどうなる?」※記事の数字を一部引用しています 

 

足立 祐一 

 

 

 
 

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