( 177380 )  2024/06/04 15:52:59  
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 東京都知事選挙に参議院議員の蓮舫氏が立候補を表明した。蓮舫氏を巡っては2022年の参議院選挙の東京選挙区(改選6)にて、67万票を獲得。朝日健太郎氏(自民党)92万票、竹谷とし子氏(公明党)74万票、山添拓氏(共産党)68万票につぎ、4位だった。蓮舫氏が2010年には約171万票獲得したことを考えると得票力は大幅に落ちている。さらにいえば、前回の都知事選で小池百合子都知事は360万票を獲得している。この選挙に勝ち目はあるのか。仮に蓮舫都知事が誕生した場合何が起きるのか。永田町関係者は「恐ろしいぐらいに他人の批判しかしてない」と分析するが……。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏が解説する。第1回ーー。 

 

 蓮舫参議院議員が東京都知事に立候補した。東京15区での衆議院補欠選挙における立憲民主党・共産党の協力関係が功を奏したこと、静岡県知事選や東京都議補選(目黒区)での立憲民主党の候補が勝利などを受けて、東京都知事について野党系候補者が名乗りを上げた形となる。 

 

 蓮舫議員自体は「完全無所属」の立場で出馬を宣言したが、そのような表面上の立場を真に受けるほど都民は愚かではない。蓮舫議員は5月29日都議会野党系各会派を訪問し、その支持を事実上取り付ける動きをしている。自・公・都民ファーストは日程調整上の理由で訪問が実現しなかったが、立憲民主党や日本共産党からは歓迎ムードであった。 

 

 この際、重要なポイントは立憲民主党だけでなく日本共産党が蓮舫議員に対し「花束を贈るほどの歓待ぶり」を示し、新聞赤旗でもその模様が報じられたことだ。日本共産党の都議会議員らもXなどのSNSで蓮舫氏に対する好意を露にしており、東京都知事選挙において蓮舫議員は立民・共産からの支持を固めたと言えるだろう。 

 

 そのため、蓮舫都知事が誕生した場合、都議会の立憲民主党・日本共産党が共通して掲げる政策は極めて高いと見做すことができる。そこで、今回は両党が2021年の都議会議員選挙時にほぼ同一の内容を掲げている新組織・新ハコモノ・新予算について抜粋し、それらを「新3大公金チューチュー組織」と命名し、東京都知事選挙の争点とすることを提案したい。 

 

 「新3大公金チューチュー組織」とは、①気候変動都民会議、②ジェンダー平等推進局、③東京都平和記念会館である。 

 

 まず、第一に「気候変動都民会議」について確認しよう。2021年東京都議会議員選挙における立憲民主党マニフェスト「東京政策2021」には下記の記述がある。 

 

 

『5 環境快適都市の実現へ 

 

5-①原発に依存しない社会の推進 

 

5-①「気候変動非常事態宣言」を踏まえて、CO₂などの温室効果ガスゼロの早期実現に取り組みます。また、気候変動対策を、都民と協働で推進するため、ICTなども活用して「気候変動都民会議」(仮称)を開催します。』 

 

 グリーン政策は近年巨額の予算がつくようになりつつあり、様々な組織が同政策の関連予算獲得を狙うようになっている。脱炭素を打ち出せば何らか補助金が得られる「打ち出の小槌」扱いだ。「東京政策2021」にも様々な補助金政策が並んでいることから、気候変動都民会議のメンバーにも多くの環境予算や環境規制からメリットを享受する人々が並ぶことは想像に難くない。 

 

 ただし、東京都が現状以上に巨額の気候変動関連予算をつけてバラまくとしても、そのための財源は必要となる。東京都は巨大な予算を持つ組織ではあるが、あくまで地方自治体の一つに過ぎないため予算上の制約は存在しているからだ。その財源確保のためのヒントは日本共産党の「2021都議選 訴えと重点公約」にハッキリと示されている。その答えは新たな「増税」である。 

 

『④温室効果ガス排出ゼロの東京を、2050年までに実現 

 

▽温室効果ガス排出量の多い大企業に対し、都独自に「炭素税」を超過課税します。』 

 

 このように日本共産党は前回の都議会議員選挙で「炭素税」による増税を主張している。実際、東京都他都道府県レベルでの炭素税導入議論は存在しており、東京都独自の炭素税導入の動きは政治的に進む可能性は十分にある。ただし、このような新税を課すことは東京都内の企業活動にコスト増による負の影響をもたらし、コストプッシュインフレなどの物価高に苦しむ都民に追い打ちをかけることになる可能性が高い。 

 

 したがって、蓮舫知事は立憲・共産の両党の意向を受けて、「気候変動都民会議」を創設して炭素税を増税するという、新たなバラマキ&増税を実行する可能性がある。それが違うと言うなら選挙戦の中で明確に否定してほしい。 

 

渡瀬 裕哉 

 

 

 
 

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