( 177960 ) 2024/06/06 16:04:55 0 00 政府・与党連絡会議で発言する岸田文雄首相(左端)。右手前から4人目は公明党の山口那津男代表=4日午後、首相官邸
政治資金規正法改正を巡る自民党の迷走と国会の混乱が止まらない。党首会談で賛同を得たはずの日本維新の会と食い違いが表面化。再修正に追い込まれただけでなく採決を直前で取りやめる異例の事態を招いた。側近のみを頼みに政権運営を進める岸田文雄首相(自民総裁)の孤立ぶりが影を落としており、求心力が一層低下しそうだ。
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◇「採決は勘弁を」 「首相質疑と採決は勘弁してもらいたい」。4日未明、立憲民主党の安住淳国対委員長の電話が鳴った。この日朝から予定された衆院政治改革特別委員会での首相質疑と、その後の本会議採決の「ドタキャン」を自民が懇願しているとの内容が伝えられた。「そんな電話で起こされたのは初めて」。安住氏は4日午前、記者団の前で皮肉ってみせた。
自民が5月31日にまとめた規正法改正の修正案は、パーティー券購入者の公開基準額で公明の主張する「5万円超」を、政策活動費では維新の掲げる「領収書の10年後公開」をそれぞれ丸のみ。自民内には抵抗が根強く、麻生太郎副総裁も29日夜の首相との会合でパーティー券公開基準の引き下げなどに反対したが、今国会での法改正実現に執心する首相は「修正に応じます」と通告し、公維の抱き込みを優先させた。
与野党協議の最前線に立ってきた自民実務者の頭越しに首相が決断した駆け込みの修正は、週明け早々ほころびを露呈する。3日の衆院特別委で、維新は政策活動費の公開対象を「(1件)50万円超」とする自民当初案の記述が条文に残ったことを問題視。慌てた自民執行部は同日夜から与野党幹部に相次いで電話し、(1)衆院採決を先送りし、再修正する(2)予定通り4日に採決し、参院段階で再修正する―の2パターンの感触を探った。
(2)の場合は衆院に法案をもう一度戻す必要がある。参院で維新の賛同が確実に得られる保証もなく、会期末が23日に迫る中、終盤国会に不透明さが漂いかねない。自民幹部は「茂木敏充幹事長が参院での手直しに強く反対した」と説明。「茂木氏は参院自民に『借り』をつくりたくなかったのだろう」と指摘した。
◇「官邸の判断遅い」 首相と茂木氏の間に隙間風が吹くのは今や党内で公然の事実。それだけでなく、公明、維新両党との再修正に際しても党執行部には、ほぼ事後報告だった。「首相が相談するのはもっぱら側近の木原さん(誠二幹事長代理)。決まったことが伝わるだけだ」。麻生氏周辺は不満を漏らした。
維新執行部は「自公維」の枠組みにかじを切ったが、自民への「助け船」となる妥協に対して他の野党だけでなく党内からも批判がくすぶっていた。馬場伸幸代表は4日の党会合で「維新が存在しなければ(与野党で)ののしり合って何も前に進まなかった」と反論、自民の譲歩を引き出したことを自画自賛した。
政治改革を巡るドタバタ劇について、自民幹部は「恥だ。官邸の判断が遅いからだ」と政権の機能不全を指摘。政府関係者も「旧来型の国対政治、国民不在のコップの中の争いだ」とあきれた。
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