( 178315 )  2024/06/07 15:26:39  
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写真提供: 現代ビジネス 

 

 SNSで絶大な人気を誇る広島県安芸高田市の石丸伸二市長(41)が、7月に迫った都知事選への出馬を表明した。 

 

【当落予測】「次の総選挙」で落選する「裏ガネ議員」の全実名はこちら…! 

 

 前編記事『「こいつら殺されても仕方ないよな?」暴走する支持者たち…SNSで大絶賛される安芸高田市長・石丸伸二氏「人気の正体」』に引き続き、石丸市長の言動をつぶさにウォッチしてきた取材不足氏が、その「実像」を明らかにする。 

 

写真:時事 

 

 石丸伸二氏は、これまでに訴訟を2回起こされ、いずれも敗訴している。 

 

 石丸氏が起こしたトラブルの中で最も深刻なのが、前編記事でも言及した「恫喝でっち上げ事件」だ。被害の大きさと故意性において、その悪質さは群を抜いているため、詳しく解説しよう。 

 

 発端は、議会中にいびきをかいて居眠り(後に軽い脳梗塞と判明)する議員だった。石丸氏は、それを直接注意するのではなく、Twitter(現・X)を使って全世界に発信。あまりの非常識な行動に議員たちも総出で注意をした。 

 

 すると、今度は「非公開の会議の席で『議会を敵に回すと政策に反対するぞ』と議員から恫喝された」としてメディアに告発。その後もTwitterを使って執拗にこの件を投稿する。 

 

 恫喝をしたと名指しされた議員はTwitterで「恫喝議員」とバッシングされ、筆舌に尽くしがたい苦痛を受けた。それは今なお続いている。 

 

 だが、恫喝されたという発言は、その場に15名の議員と市職員がいたにもかかわらず、石丸氏の他に聞いた者がいないのだ。 

 

 密かに録音されていた音声(約30分の会議のうちの24分14秒)も公開されたが、こちらにもそのような発言は一切入っていなかった。それどころかむしろ石丸氏の方がその議員に啖呵を切っている様子が録音されていたのである。 

 

 被害者となった議員は、これらを根拠に石丸氏に主張の撤回と謝罪を求めたが、石丸氏はこれを拒否。議員は名誉回復のためやむなく提訴するに至った。 

 

 裁判で石丸氏は「恫喝は録音される前にあった」「会議は40~50分あったと思う」(市職員が開始と終了の時刻をメモしているのでそれはあり得ないのだが)といった主張を展開したが、2023年12月26日に下った判決では、「恫喝があったとは認められない」として、安芸高田市に33万円の支払いが命じられた。 

 

 石丸氏ではなく安芸高田市に支払いが命じられたのは、当初議員は石丸個人を訴えていたのに、石丸氏が「市長としての行為なので石丸個人に責任はなく安芸高田市の責任だ」と主張したのが認められたためである。しかし石丸氏はこれを公言していない。 

 

 

 敗訴の判決を受けた後の会見で石丸氏は、公僕たる議員が市に賠償を負わせることになったことに触れて、「その構図がまず面白くないですか? 何やってんだっていうね」と揶揄した。 

 

 実際は自分が市に責任を負わせたのに、あたかも議員がそうしたかのように「面白い」とテレビカメラの前で語るのが、石丸氏なのである。 

 

 さらに翌月の記者会見で石丸氏は「議員が恫喝したことの真実相当性の扱いに不服がある」などと控訴の意向を語ったが、実際に広島高裁に提出された控訴理由書には、一審の判断である「恫喝があったとは認められない」に対する反論は一言もなく、「“恫喝された”という発言は断定的ではなかったため名誉棄損には当たらない」といった苦しすぎる主張が書かれていた。恫喝などなかったことを自ら認めたようなものである。 

 

 もちろん石丸氏はこれも公言していないため、信者たちは「音声が編集されている」「恫喝がなかった証拠はない」などと言っては、未だに恫喝の存在を信じている状態である。 

 

 トラブルはこれだけではない。 

 

 市長選でポスターを制作してもらった印刷業者からも提訴されている。石丸氏は公費負担分の約35万円を代金とする合意があったと言い張っていたが、結局こちらも約73万円の残金を踏み倒した事実が認められ、敗訴した(二審も敗訴して上告中)。 

 

 石丸氏の発言を見ていて感じるのは、おかしな表現だが、一貫した支離滅裂さである。本人はことあるごとに「すべて計算づくです」と自らの計算高さをアピールするが、計算でやっているとしたら計算違いばかりということになる。 

 

 そのほか、個別の政策論議においても石丸氏の感性は常人とは大きく異なる。例えば、約10年間続いた婚活事業を廃止したときに、その理由として挙げたのは、 

 

 ・結婚という極めて個人的な話に公が関与する理由は本来ない 

・婚活事業は結婚に対する強迫観念を助長する害悪 

・LGBTなどマイノリティーへの配慮を欠く 

 

 というものだった。 

 

 市が婚活事業をして憤るLGBTがいるとは思えないし、結婚したい人をサポートすることがなぜ強迫観念を助長するのか理解することは難しい。そんな声が本当にあるのかと議員に問われた石丸氏は、逆に「強迫観念を助長しない証明」を相手に求めるという間違った論法で議員を“論破”した(トホホ)。 

 

 このような、逆質問による責任転嫁も石丸氏の得意技だ。 

 

 

 公約に掲げていた「世界で一番住みたいと思える町」の具体的成果と計画を議会で聞かれた際には、「じゃあ皆さんは何を言って議員に当選されたんですか。16人全員のそれぞれの胸に聞いてください。果たして責任を果たしているのか」と、これまた“論破”。少しまともな中学生でもこんな反論は恥ずかしくてできないはずだが、それを普通にやれるのが石丸氏なのである。 

 

 そもそも、議場で議員たちを罵倒したり論破したりすること自体がおかしい。そこでどれほど言い負かしたところで、議決権を持っているのは議員たちなのだから、意味がないばかりかマイナスにしかならない。 

 

 市長や執行部がやるべきことは、議員の同意を得るための説明や説得なのに、罵倒してどうするのか。それは新聞記者に対しても同じである。 

 

 おまけに石丸氏は、政治経験ゼロの元銀行員なのに、なぜかベテラン議員や新聞記者を指導できると思い込み、「勉強不足」「社会の公器として恥ずかしい」などと強い言葉を使いながら指導に邁進する。 

 

 なにしろ素人なので間違っていることも多いのだが、それすらも意に介さず、もはや“言ったもん勝ち”状態なのだ。本人が負けたことに気づかないのだから、これほど恐ろしい論客もいないだろう。 

 

 つづく記事『「プライベートを詮索されるのはキモい」と激昂…! 安芸高田市長・石丸氏が台風接近中に「千葉のトライアスロン大会」に参加した「呆れた言い訳」』では、東京都知事選へ立候補した石丸氏に対して感じる「不安」について、過去の言動を挙げながら解説する。 

 

取材不足(石丸市長ウォッチャー) 

 

 

 
 

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