( 179465 ) 2024/06/11 01:14:02 0 00 共産党が作成した蓮舫氏のビラ(一部画像処理しています)
【有本香の以読制毒】
「共産党を利用した女」vs「共産党に利用される女」―。20日に告示を迎える東京都知事選(7月7日投開票)は、こんな戦いになりそうだ。あるいは、「学歴疑惑」vs「国籍疑惑」の対決と言った方がいいだろうか。小池百合子都知事はいまだ3選出馬を表明していないが、メディアは事実上、小池氏と立憲民主党の蓮舫参院議員の一騎打ちと構図を決めている。
【グラフでみる】共産党の党員数・「赤旗」部数
蓮舫氏は、早々に派手な宣伝を展開している。同党の枝野幸男前代表らと行った街頭演説が、公職選挙法の禁じた告示前の選挙運動「事前活動だ」との非難を浴びたのは記憶に新しいところだ。
このほか先週末には、都内一部地域で目を疑うビラが配られて話題となった。
ニッコリ笑う蓮舫氏の顔写真が大写しとなり、「新しい政治へ」「蓮舫参院議員 都政に挑戦!」「小池都政をリセット!」などと見出しが入り、「政策」が書かれたカラーのビラ。しかし、その下部には、発行者として「日本共産党」と記されている。「あれ、蓮舫さんっていつの間に共産党の人になったの?」と見た人が勘違いしそうな代物だ。
このビラの内容も公選法が禁じる「事前運動」が疑われる要素満載だが、筆者が注目したのはその点ではない。なぜ「共産党製」となったのか、である。
東京都の人口は約1400万人。うち有権者は約1150万である。超巨大選挙区でたった1人を選ぶ選挙だ。だから、知名度が勝つための必須条件となる。
テレビタレントから転身して東京の参院議員を約20年務め、国会での噛みつきパフォーマンスでおなじみの蓮舫氏。知名度はそれなりに高いが、やはり小池氏には及ばない。
ちなみに2004年、蓮舫氏初当選の際の得票は92万票。6年後の10年には171万票まで伸ばし、16年にも112万票を得たが、直近の20年には67万票、4位での当選というところまで下げた。参考まで、小池氏は前回の都知事選で366万票をたたき出している。
蓮舫氏が今回、都知事選挙への出馬を決意した理由の1つは、この得票力・存在感の低下だろう。
自民党の不人気に乗って出れば相当の得票が見込める。敗けたにしても、善戦すれば衆院くら替えの前宣伝になる。ちなみに、蓮舫氏のくら替えが噂されたのは東京の新26区(目黒区、大田区の一部)。以前は立憲民主党で蓮舫氏の同僚だった松原仁・元国家公安委員長(無所属)の選挙区である。
とはいえ、自民党の不人気に乗じるだけでは、366万票の小池氏にまったく勝ち目がなく、存在感を上げるにも心許ない。そこで不可欠だったのが共産党との尋常ならざる共闘なのだ。
そもそも、東京全域での選挙には金もかかる。東京全域を選挙区とする参院議員だった蓮舫氏もそれは承知していようが、1100万人がたった1人を選ぶ選挙となると、参院の何倍もの認知度が要求される。
しかし、ビラ一つ配る、ポスティングするといっても、700万を超える世帯があるのだ。印刷代、配布のコストだけで軽く千万の桁に乗る。
そこで今回、ホワイトナイトとなったのが、機関紙「しんぶん赤旗」を持つ共産党ではないのか。通常、印刷代と配布代で一部5~6円かかるカラーのビラも、赤旗のシステムで印刷し配布すれば、ぐっと割安。ほとんど共産党持ちかもしれない。
これは莫大(ばくだい)な借りになりかねない。当然、政策も共産党と一体化し、都政が共産化する。
思い起こせば8年前、自民党に逆らって出馬した小池氏は、選挙戦の最中に共産党の古典的ネタだった「築地から豊洲への市場移転」をヒョイと拾って政争の具にし、自民党を血祭りにあげた。しかし、共産党にビラをつくってもらうような「蜜月」はさすがになかった。
私は8年前、小池氏の市場移転延期を激しく批判したが、その小池氏より今回の共産党製「蓮舫ビラ」はひどい。共産党に担ぎ上げられる都知事の誕生は見たくない。都民の一人として「最悪を避ける」ことを考えねばなるまい。
■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。
【都知事選主な立候補予定者】
小池百合子71 知事 無現
蓮 舫56 参院議員 無新
石丸 伸二41 前安芸高田市長 無新
田母神俊雄75 元航空幕僚長 無新
清水 国明73 タレント 無新
黒川 敦彦45 つばさの党代表 諸新
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