( 180075 )  2024/06/12 17:09:04  
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 趣味の釣りは、海や川や湖で、魚を食べるための釣りからスポーツフィッシングまで、楽しみ方はいろいろです。昔から多くの人に親しまれ、最近でもコロナ禍をきっかけに年代を問わずファンが増えています。 

 

【画像】他にもある!これが「守りたいマナー」です!画像を見る(12枚) 

 

 しかし、そんな楽しいはずの釣りなのに、「釣り場で釣りができなくなる」といったトラブルも起こっています。 

 

 釣り人自身による問題行為が原因といわれていますが、なぜ、そんなことを釣り人はするのでしょうか。 

 

 いま問題になっているのは、ゴミを始末しないで帰るというふるまいです。 

 

 釣り場にほおっておかれたゴミが、地元の人や次に訪れる釣り人を不快にさせています。ゴミ箱を設置しようにも、ゴミを回収する体制がない自治体なども多いようです。 

 

 SNS上では、こうしたゴミのマナーを守ってほしいという声が多くあげられています。 

 

増加する釣り人口をうけて、ルールやマナーを掲出する釣り場も(写真は西伊豆の田子漁港の取り組み) 

 

 地元でビーチクリーン活動をする人からは、「ビーチより港にゴミが多い」という嘆きがみられます。 

 

「きれいにした翌日なのに、港はもうゴミがたまっている」という書き込みとともに、手袋やタバコの吸い殻、使い捨てカイロなどのゴミ写真も投稿されています。 

 

 また、釣り人自身が同じように不快な思いを訴えることもあります。なかには、「ペットボトルとかは注意します」という人や、「思いやりがない人は釣りをするな、迷惑」と激高する人もみられます。 

 

 さらに、侵入禁止の場所に入る行為も悪印象を与えています。 

 

 たとえば、自治体や地元の人は、足場が悪く危険な場所や、漁業のため、あるいは自然保護のために必要な場所を侵入禁止エリアに設定しています。こうした理由を無視するような行動がマナー違反と受け取られているようです。 

 

 また、これは不法侵入にあたりますが、停泊中の漁船に勝手に乗り込む例もあるといいます。 

 

 SNSでは、「漁業関係者以外侵入禁止の港にクルマを乗り入れ、テントを張って釣りをする人がいる」など、問題行動を指摘する投稿があがっています。 

 

 そういう行為に対して、「他の人の敷地に入らせてもらっている意識はいつも必要だ」という声もみられます。 

 

 釣り人のなかには、「マナー違反ではすまない。漁業関係者だけでなく、海が好きな人全体に迷惑がかかる行為だ」という人もいます。 

 

 また、「マナー違反をしたくないから、釣ってよい場所を下調べする」「侵入禁止場所をその場で聞く」という人もみられます。 

 

 さらに、問題視されているのはこれだけにとどまりません。 

 

 「駐車禁止ゾーンに車を停めている」「路上駐車して釣りをしてる」「民家の前に停めてる」など、地元の人の生活を無視するような駐車のしかたを訴える声がみられます。そのほか、釣り針や糸、ルアーなど釣りの仕掛けを放置する、勝手に放流する、といった行動も指摘されています。 

 

 じつは、こうした行為は以前からみられましたが、いっこうに減らないばかりか急増しているようです。 

 

「マナー違反が多すぎて、もう勝手にして、と地主さんが黙認してしまってるケースもある」という声も寄せられており、地元の人としてはあきらめかけるような現状なのかもしれません。 

 

 

 そこで、こうした状況のなか、「釣り」の意識を変えようとする提案もみられます。 

 

 たとえば、「スポーツと同じくルールがある」と訴える人がいます。さらに、もっと進んで、「釣りをライセンス制にするといい」「港の釣りは有料化するといい」と制度化を求める人もみられます。 

 

 一方で、釣り人からは、「マナー違反するほかの釣り人」に対する不満も続出しています。 

 

 多いのは、「地元の釣り人は事情を知っているが、遠方から来る人がマナー違反をしている」というものです。 

 

漁港などの釣り場は、漁師さんの仕事の場。釣り人だけのものではないので「一緒に使わせてもらっている」という気持ちが大切です 

 

 また、最近になって釣りを始めた人のマナーの悪さをあげる人もいます。しかし、釣りの新人という人からは、「先輩はルール無用のように侵入禁止区域に入っていく」という驚きの声もみられます。 

 

 さらに、こうした対立について、「釣り人の敵は釣り人ってことか」という投稿もみられます。 

 

 ただ、あたりまえかもしれませんが、SNS上では誰かのマナー違反を疑問視する投稿が多く、行為をしてしまった人の声をみることはほとんどありません。 

 

 全体的に多いのは、「誰かのマナー違反のために、自分の通う釣り場が釣り禁止になるのではないか」という釣り人の危機感です。 

 

 「釣りを遠慮してください」という貼り紙が出現したことをうけて、これが釣り禁止に至ってしまったら困ると心配する人がいます。 

 

 また、マナー違反を語ることで釣り禁止になるのを早めてしまう、というジレンマを訴える人もいます。「魚が釣れた!」という投稿にしても、マナーの悪い人が来ないように地名を伏せるなど、釣り場を守ることに神経を使っているようすが伺えます。 

 

 あるいは、「問題行為を注意するのも怖くて、結局、見て見ぬふりをしてしまう」という嘆く人もいます。 

 

 このほか、釣り問題については、漁業関係者などさまざまな方面から声が寄せられています。しかし、ほとんどの投稿に底通しているのは、釣り場に近い生活者が、普段の暮らしや楽しみを部外者によって壊されたという悲しみのようです。 

 

 そして、その部外者も、自分の生活場に戻れば同じように感じることを認めたうえで、なんらかの方向をみつけようとする意見もみられます。 

 

 「最低限のマナーとか常識的に考えてくれたら、管理者も釣り人もお互い気分良く共生できるはず。そんな難しい話ではない」 

 

 「釣り人も、ゴミ放置やマナー違反を恨み続けるより、もっと効果的で効率的なふるまいができるかもしれない。なんらかの制度化を望む間に、何かできることがあるかもしれない」 

 

※ ※ ※ 

 

 釣りをめぐる問題は、釣り業界や漁業、観光、移住といった産業や自治体施策、自然保護などへ広く波及していきます。釣り禁止の動きなども、そうしたことを意識するきっかけになっているようです。 

 

Peacock Blue K.K. 

 

 

 
 

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