( 180375 )  2024/06/13 16:48:12  
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 【ワシントン=田島大志、田中宏幸】13日にイタリアで開幕する先進7か国(G7)首脳会議で採択する首脳声明のうち、主要議題の一つである経済安全保障分野の原案が判明した。半導体など重要物資のサプライチェーン(供給網)強化に向け、特定国への依存を避けるための共通原則で合意する。原則に基づき、調達先選定の際の具体的な基準をG7が連携して策定する方針だ。 

 

【表】G7サミットの主な日程 

 

 半導体や電気自動車(EV)で中国製など安価な製品が市場を席巻し、依存度が高まっていることを意識したものだ。公共調達などの際、価格だけに着目しないよう新たな共通基準が必要だとの考えで一致した。 

 

 原案では「(調達先の)多様化によるリスクの低減と依存関係の減少が必要だ」との認識を示し、安全性や多様化、透明性など持続可能な重要物資の調達に向けて考慮すべき原則を確認した。G7加盟国以外に働きかける方向性も明記した。 

 

 これらの原則に基づき、今後、G7としての厳格な基準を策定するとした。原案では具体例として、データ保護やサイバー防御、労働者の権利などへの十分な対応などを列挙した。 

 

イタリアでのG7サミットに出席するため、羽田空港を出発する岸田首相(12日午後)=三浦邦彦撮影 

 

 貿易の制限で他国に圧力をかける「経済的威圧」を巡っても、「失敗させるために友好国と協力して行動をとる用意がある」とし、各国の法制度や国際法に沿い対抗手段の構築を進めることも盛り込んだ。 

 

 共通基準を策定する背景には、中国による過剰生産問題がある。米国などは、中国政府による自国企業への産業補助金で旧世代半導体やEV、太陽光パネルが安価に世界市場に氾濫している現状を問題視している。バイデン米政権はG7を通じて圧力を強めたい考えだ。 

 

 一方、日本や欧州にとって中国は重要な貿易相手国だ。日欧は、中国製品の排除は避け、重要物資を巡り中国への依存度を下げてリスク低減を目指す考えで、経済安保分野では中国の名指しはしない見通しだ。 

 

 

 
 

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