( 180495 ) 2024/06/14 01:19:55 0 00 初任給は上がったみたいですけど、私の給料は…(イメージ)
売り手市場が続く中、優秀な学生を獲得しようと多くの企業で初任給が上昇している。トヨタ自動車は、2024年度の新入社員の大卒初任給を22万8000円から2万6000円引き上げ25万4000円。くら寿司は全社員に一律3万円のベアを実施、2025年春入社の大卒初任給も3万円増の月額26万円にする見込みだ。
一方、初任給が上がったからと言って、必ずしもそれが従業員の賃上げに結びつくとは限らない。なかには「中堅の給料は据え置き」という企業もあり、“いびつな給与体系”に嘆きが漏れているようだ。
メーカー勤務の20代男性・Aさんは、入社5年目だが「入社する時期を間違えた」とぼやく。
「初任給が20万台半ばになったことで、新人と入社3年目~5年目の社員はほぼ同じ給料です。それでも、昇給のスピードは違うはずと思っていたのですが、そうではないようです。新入社員は私と同じ年齢になる頃には、数万円も多く給料をもらっているということです。もうちょっと遅く生まれたかったです……」
こうした給与体系については、Aさんだけでなく、社内から複数不満の声が上がっているそうだ。
「会社の成長に貢献している中堅社員も大事にしてほしいです。働くモチベーションは下がる一方です。同僚と飲むときは『給料が上がらないのっておかしくない?』とよく愚痴をこぼしています。
7年目の先輩は昇格したのに、新人と数万円くらいしか変わらない現実に、『やってられないよ』と言っています。ちなみに新人については『給料が高いんだったら、その分自費でどっかで学んでくればいいんじゃね?』と言っていて、あまり育てる気もないようです。そのうち先輩は転職する気がします」(Aさん)
新入社員と給料が逆転した人もいる。IT企業勤務で入社10年目の30代女性・Bさんは、「毎日、辞めたい気持ちしかない」と憂鬱そうだ。
「新入社員の初任給が5万円ぐらい上がったようです。羨ましいけど、上の世代も大事にしてくれないのはなぜなのでしょうか。給料を上げないと辞めるというんだったら、別に上の世代だって辞めるのは同じなのに。
“新人のほうが辞めるやすい”という理屈なのであれば、上の世代の我慢に甘えているだけですよね?」
そんなBさんの先輩で40代女性・Cさんは、氷河期入社。「羨ましい限り」と諦めの境地だ。
「就職先があるだけでありがたかった私たちからしたら、好きな会社を選べて給料もいいとか、本当に羨ましいです。しかも周囲はみんな『何かあったら辞めるかもしれない』とめちゃくちゃびくびくしていて、すごいチヤホヤ(笑)。
何を言ってもどうせムダなので、もう私は貝になるだけですね。上の世代が明るく元気に働いている姿をみせることが、結局人材確保になると思うのですが、違いますかね?」
Cさんは、「いま会社にいる40代はよほどじゃないと会社は辞めないかもしれませんが、30代はヤバいと思います」という。なぜか。
「私がそうだったのでよくわかるのですが、30代半ばぐらいまでって、ギリギリどこにでも転職できる気がしてしまうというか、30代になると『このままでいいのか』と焦るんですよね。ただでさえそういう世代なのに、下が仕事も覚えてないうちから高い給料となると、やってられないとばかりに脱出する人も出てくるのでは」
中堅社員だけでなく、管理職の退職を懸念する人もいる。メーカー勤務で入社3年目の20代男性・Dさんは、「初任給を無理して上げないでほしい」と嘆息する。
「大手企業との取引が多いので、うちもそうした会社を見習おうと、新しい制度を取り入れたりして、就労環境を改善するのは良いことだと思います。でも何も初任給まで、その水準に合わせることはないのでは。中小企業だから初任給アップで少しでも惹きつけて、人材を獲得したいのはわかりますが……」
新卒の初任給が上がったならば従業員の「賃上げ」に期待がかかるが、ふたを開けてみると、まさかの“代償”が待ち受けていた。
「新卒の初任給を上げる代わりに、管理職の給料を少し下げたようなんです。私の給料は据え置きでしたが、それでも不公平感は拭えません。このまま会社が従業員の扱いを改めないなら、給与が上がらない中堅社員と、給与を下げられた管理職から退職者が出てもおかしくないと思います。そうなる前に一足先に逃げるかもしれません」(Dさん)
一律の年功序列はもはや時代にそぐわないが、あらためて年代と働きに応じた給与制度の見直しを求める声も出始めているようだ。(了)
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