( 180500 )  2024/06/14 01:27:22  
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写真:LIMO [リーモ] 

 

6月、正社員の方の中には夏のボーナスを受け取る人も多いのではないでしょうか。 

 

実質増税により、昨今は手取りが減りながらも物価上昇を痛切に感じます。今後も我々は自分にとっての生活最低水準を維持できるか不安を感じる人も見受けられます。 

 

【一覧表】東京都23区内・大阪市の「住民税非課税」世帯の目安収入は?年代別の世帯割合の比較結果とあわせて一気見! 

 

一方、住民税が非課税になるほか様々な優遇措置が受けられる「住民税非課税世帯」もいます。住民税非課税世帯に該当すれば経済的負担が軽くなるといえるでしょう。 

 

生活が苦しい人のなかには「自分は対象になるのかどうか」気になる方も少なくないかと思います。 

 

本記事では、たびたび耳にする「住民税非課税世帯」とはどういった世帯を指すのか、さらに住民税非課税世帯で高齢者の占める割合はどれくらいなのか確認してみましょう。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

住民税とは、行政サービスの活動費充足のため、地域に住む個人に課する地方税のこと。 

 

たとえば公共施設や上下水道、ごみ処理などのサービスを受けるために必要な税金です。 

 

ちなみに住民税には「道府県民税」と「市町村民税」がありますが、一括して各市町村に納めることで市町村から都道府県に支払われる仕組みが採用されています。 

 

そして、2024年度に新しく住民非課税世帯となった世帯に10万円が給付されることになりました。 

 

2024年度分の個人住民税において、新たに住民税非課税となった世帯に対して「1世帯当たり10万円を給付すること」を政府が決定しました。 

 

ちなみに、2023年度に給付を受けている方は重複して受け取ることはできません。 

 

なお、住民税のうち「均等割」だけは課税されて「所得割」は課税されない世帯にも、同様に10万円が支給されます。 

 

さらに、いずれのケースにおいても18歳以下の子どもがいる場合は、1人当たり5万円が上乗せして給付されます。 

 

次の章では参考までに、所得割が課税されない所得目安について自治体の例をみていきましょう。 

 

 

住民税非課税世帯になる条件は、厳密には自治体によって異なります。 

 

参考までに、東京23区内と大阪市の例を確認しましょう。 

 

●東京都23区内の場合 

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方 

(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方 

(3) 前年中の合計所得金額が下記の方 

 

<同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合> 

35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下 

 

<同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合> 

45万円以下 

 

●大阪市の場合 

(1)生活保護法の規定による生活扶助を受けている方(医療扶助、教育扶助など、生活扶助以外の扶助を受けているだけでは非課税にはなりません) 

(2)障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合、年収204万3999円以下)である方 

(3)前年の合計所得金額が、次の算式で求めた額以下である方 

 

<同一生計配偶者または扶養親族がいる場合> 

35万円 × (本人 + 同一生計配偶者+扶養親族)の人数+ 21万円 + 10万円 

 

<同一生計配偶者および扶養親族がいない場合> 

35万円 + 10万円(給与所得者の場合、年収100万円以下である方が該当します。) 

 

ほとんど同じ基準となり、給与所得者の単身世帯であれば約100万円の年収が目安になるといえそうです。 

 

ちなみに前提として、生計を一にする家族全員が住民税非課税の場合にのみ「住民税非課税世帯」となります。世帯に一人でも課税される人がいるケースでは、住民税非課税世帯に該当しないので注意が必要です。 

 

納税額は個人によって異なり、前年所得をもとに均等割(誰もが一律)と所得割(所得×およそ10%)の合計額で決まります。 

 

住民税非課税になる年収は居住地や収入の種類、家族構成等複数の要素によって変わるので、不明点があれば自治体の窓口などで相談してみましょう。 

 

 

厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」から、年代別の住民税非課税世帯の割合(全世帯に占める住民税非課税世帯の割合)を確認してみましょう。 

 

 ・29歳以下:29.7% 

 ・30歳代:9.2% 

 ・40歳代:9.2% 

 ・50歳代:11.3% 

 ・60歳代:19.2% 

 ・70歳代:34.9% 

 ・80歳以上:44.7% 

60歳代の約2割が住民税非課税世帯だとわかります。その後も増え続け、80歳代では44.7%が該当しているようです。 

 

29歳以下をのぞき、年齢を追うごとに住民税非課税世帯の割合が増えているとわかります。 

 

高齢者が多くなる理由として、以下が考えられます。 

 

 1.年金収入が給与所得よりも比較的下がる 

 2.「年金所得控除」の影響で所得が少なくなる 

●【住民税非課税世帯に高齢者が多い理由】年金収入が給与所得よりも比較的下がる 

現役世代に比べ、高齢者世帯の所得は少なくなることが一般的です。そのため、対象世帯が増える可能性が高まります。 

 

厚生年金の平均額は約14万円であり、平均以下で暮らす世帯の多くは非課税の対象となります。 

 

●【住民税非課税世帯に高齢者が多い理由】「年金所得控除」の影響で所得が少なくなる 

年金の「所得控除」は、給与の所得控除よりも大きくなる傾向があります。 

 

大阪市の場合、扶養親族なしの方が住民税非課税になる目安年収として、年金受給者(65歳以上)は155万円以下に設定されています。 

 

こうした調整が、住民税非課税世帯に年金受給をしている高齢者世帯が増えている背景として挙げられるでしょう。 

 

次の章では、非課税対象とならなくても物価高などに苦しむ現役世代にもおすすめしたい「老後資金」や「物価高」対策を現役ファイナンシャルアドバイザーが解説します。 

 

住民税非課税世帯に対して対策が取られていますが、現役でバリバリ働いている課税世帯にできる対策はどういったものがあるでしょうか。 

 

過去にはなかった制度として、投資による収益を非課税化できる制度が登場しています。 

 

代表的なものがNISA制度。一見、どの年齢でも不公平が少ない制度ではあるように思える制度ですが、年間投資最大額が決められている以上、一括での運用は制限があります。そして、働く世代は時間を味方につけた投資が可能です。 

 

特に、毎月決まった額で投資を行えば、運用先の「値上がり益」だけではなく、安い時に買い付けを増やし、高い時には買い付けを減らすという増減が自然と達成されます。 

 

投資の世界では「ドルコスト平均法」という、立派な投資のテクニックです。 

 

この購入方法は時間を味方につけているため、年齢を重ねてからの買い付けは不利と言えるでしょう。 

 

しかし、投資にはリスクもあります。自分に無理のない範囲で継続的に続けることが重要です。 

 

 

今年度から住民税が非課税になった世帯にはまもなく、自治体から「給付案内」などが届くかと思われます。 

 

しかし、短期の給付金で持続的に生活が豊かになるとはいえません。特に収入の中心が年金となる老後はお金が足りず、生活が困窮するリスクもあるでしょう。 

 

6月からは定額減税が始まりますが、1度に4万円が減税されるわけではありません。実際に減税されているかどうかを確かめるには、給与明細の税額欄を見てみてください。 

 

まずは住民税の課税・非課税にかかわらず、将来の生活に困らない資産づくりと準備が重要といえるでしょう。 

 

 ・東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」 

 ・総務省「個人住民税」 

 ・大阪市「個人市・府民税が課税されない方」 

 ・内閣官房「定額減税・各種給付の詳細」 

 

足立 祐一 

 

 

 
 

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