( 181050 )  2024/06/15 17:41:26  
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各方面にケンカを売りまくっている粗品(写真:つのだよしお/アフロ) 

 

 お笑いコンビ「霜降り明星」の粗品(31)の言動が連日ネット記事になり、世間を騒がせている。最も激しく炎上したのは、元雨上がり決死隊の宮迫博之とのバトルだろう。「酒のつまみになる話」(フジテレビ系)で、宮迫を呼び捨てにしながら「先輩ちゃうやろ、あんなもん」といきなり攻撃。それを受けた宮迫はYouTubeで「テレビ出ていたときの俺を超えてから言え! 『アメトーーク!』みたいな番組作ったけ?」などと応戦し泥仕合に発展した。 

 

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 週刊誌の芸能記者は言う。 

 

「最終的には、宮迫さんが『もう勘弁して。僕は負けでいい』と敗北宣言をして幕引きしましたが、SNSでは『粗品はいくらなんでもやりすぎ』という否定的な声が多く上がりました。大先輩である明石家さんまさんもラジオでこの2人の騒動に言及し、苦言を呈したほど。粗品は、先輩芸人だけでなく、人気YouTuberや一般人にまで、とにかくケンカを売ることでSNSやネットニュースを沸かせ続けています。最近でも、木村拓哉さんの身長をイジったり、ヒカキンを『トップクラスでおもんない』と言ったり、もはや無敵状態です」 

 

■ケンカを売り続ける動機 

 

 6月7日には自身のYouTubeチャンネルで、突然「パンサー向井っておもろい?」「どの芸人も捨ててきたおもろさ」などと発言し、SNSでは「新たなターゲットを見つけたか」と話題に。さらに6月8日には自身のラジオ番組で、一般人にコンビニで舌打ちされたことをきっかけに口論になったと報告していた。なぜ彼は相手構わず”爆撃”し続けるのか。 

 

「シンプルに言えば、完全に炎上戦略です。『酒のつまみになる話』で宮迫さんをディスったとき、そもそもは『YouTuberなんかおもろいやつはいない』という話から始まりました。『YouTuberより芸人が上』という思いはプロの芸人なら当然持っているわけで、まずはそこで千鳥の共感を得る。そのうえで、宮迫さんを呼び捨てにしながら『今はYouTuberなので、だからおもろない』というアングルを出した。同番組で共演していた蛍原さんもいい気がしなかったはずですが、粗品さんのアングルは確かに正しいから、ガチではキレられない。だから、あの場では彼のロジックが正義となったのです。粗品さんがケンカを売り続ける動機としては、『俺はM-1まで制覇したのに芸人として芯を食ってない』という自覚があるからだと推測しています。つまり、粗品さんは徹底的に怒りのアングルを打ち出すことで、真剣に世代交代をしようと画策しているのです」(放送作家) 

 

 

■闇営業騒動などで「不運」も 

 

 2018年に「M-1グランプリ」を制し、世間からみれば、お笑い界のど真ん中を順調に歩んでいるように見える粗品。だが、本人の思いはまったく違うようだ。 

 

「20代中盤でM-1を取り、全国区の知名度を得ましたが、翌年には闇営業騒動が起こりお笑い界の地殻変動が起こり始めた。気づけば千鳥やかまいたちがテレビで大ブレークし、圧倒的な場数の違いもあって、霜降り明星は彼らに当たり負けした格好になりました。そして、今年になって松本人志さんがテレビから姿を消し、吉本は“千鳥・かまいたちシフト”をより強化すべく体制を整えた。実力もあり、若くしてチャンスをつかんだかに見えた粗品さんでしたが、実はこういった不運にも見舞われているのです。19年4月から始まった、霜降り明星の冠番組『霜降りバラエティX』は、『アメトーーク!』を生んだ加地倫三プロデューサーのチームが手掛けて鳴り物入りで始まりましたが、21年10月からは土曜の深夜3時の20分枠に降格しました」(前出の放送作家) 

 

 「ピンズバNEWS」(6月8日配信)は、同番組に関して粗品が降板の意向を示し、番組が終了の調整に入っていると報じている。粗品にとっては、登録者数200万人を超えるYouTubeのほうが注目度が高く、話題にもなるので、深夜の地上波では限界があると感じているのかもしれない。 

 

■先輩芸人は好意的? 

 

 一方、フジテレビのバラエティー看板枠と言われる「土曜8時」で放送中の「新しいカギ」では、現在もメインキャストとして出演中。今年の「FNS27時間テレビ」では「新しいカギ」チームが総合MCを務めることも発表された。民放バラエティー制作スタッフは言う。 

 

「霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコという3組がメインの『新しいカギ』はコント番組として始まり、当初視聴率的は低かったのですが、『学校かくれんぼ』などの企画がヒットし“親子で見られるバラエティー番組”として見事に再生。今やフジテレビが局を上げて猛プッシュする番組になりました。この番組は粗品さんにとっても唯一のゴールデン帯でのレギュラーであり、メインキャスト。破天荒キャラを押し出しつつも戦略家なので、絶対にこの番組をつぶすような炎上の仕方だけはしないはず。彼のケンカ芸のボーダーラインはここにあるのではないでしょうか」 

 

 派手なケンカ芸をしながらも、ボーダーラインはわきまえているということなのだろう。一方で、前出の放送作家は「きっと今の粗品さんを見て先輩たちは懐かしい思いをしているはず」と語る。 

 

「お笑い史をさかのぼると、とんねるずやダウンタウンも前の世代を否定することから始めて、自分たちの時代を作った。千原ジュニアさんや太田光さんも周囲と対立しながら自分の立ち位置をつかんできた人たちなので、大御所芸人の中には粗品さんに対して親近感を覚えている先輩も少なくないはずです。今はコンプライアンスが厳しくなり炎上発言を避ける芸人が多いなか、デジタルネーティブの粗品さんはネットで拡散されることを前提としたケンカが非常にうまい。しかし、オリエンタルラジオの中田敦彦さんのようにケンカの仕方を間違えるとお笑い界に居場所がなくなり、弾き出されてしまう。したたかな粗品さんはその辺のグリップを巧みに変えつつ、今後もケンカをし続けていくことでしょう」 

 

 

■すべてエンターテインメントの範囲 

 

 お笑い評論家のラリー遠田氏は粗品についてこう述べる。 

 

「先輩を呼び捨てにしたりするのはもちろんマナー違反ですが、粗品さんの中ではテレビ番組やYouTube動画などの表舞台でそれをやるのはすべてエンターテインメントの範囲内である、という感覚があるのでしょう。誰かの悪口を言えば、その人から嫌われたり怒られたり信頼を失ったりするリスクもありますが、そのことで損をするのは粗品さん自身ですから、自分で責任を取れる範囲であえて過激なパフォーマンスをしている、というふうに見ることもできます。粗品さんの言動のすべてを擁護するつもりはありませんが、お笑いは“面白ければ勝ち”の世界。『M-1』『R-1』の二冠を制した抜群のお笑いセンスを持っている粗品さんの露悪的な振る舞いは、あくまでも自分なりの面白さを追求した結果だと考えるべきでしょう」 

 

 気をもむ視聴者をよそに、粗品は今後もこのスタイルを貫きそうだ。 

 

(藤原三星) 

 

 

 
 

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